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【長崎県平戸市移住】若者向けに音楽フェスを企画。いずれは自然も生かしたい/vol.3

移住後、カフェ開業までの経緯をまとめたvol.2の記事はこちら

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力武秀樹(りきたけ・ひでき)さんは、東京で映像ディレクターとして働いていたものの、東日本大震災をきっかけに働き方や暮らしを見直し、ふるさとである長崎県平戸市にUターン移住を決意。地域を元気にしたいという思いからの行動だった。それが、2012年4月のこと。現在はカフェを開き、平戸の若者たちが集うハブ的な場所としてにぎわいを見せはじめています。今回は、どういうコミュニティづくりをして行ったのか、街おこし活動を中心にお話を聞きました。

若者を中心とした街づくりをしようと音楽フェスを企画

ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスに興味を持ち、地元を元気にしたいと平戸に戻って来た力武さん。漁師、情報サイト運営、格闘技教室など、カフェ開業に至るまでさまざまなビジネスにチャレンジした。奮闘するなかで、若者同士のつながりが薄く、そもそも集まれる場所もないことに気づき、それなら自分でやろうとカフェ『3rdBASEcafe』を2014年に開業した。

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「若者を中心とした街づくりをしたいという目的で、このカフェをはじめました」と力武さんは語る。イベントを開催するなどして、コミュニティづくりを進めている。

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「『平戸一番音楽祭』という音楽フェスを主催しました。カフェを開いた年に初めてやったので、初回は2014年だったかな。はじめから、もう2デイズでやろうと決めて、このカフェでやりました。2015年は、平戸島の廃校になった小学校を舞台に1日、もう1日はカフェでやって、この年も2日間。2016年は2日間とも、その小学校でやりました」

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平戸一番音楽祭の舞台となった廃校での写真。体育館内には大漁旗が飾られた

出演者は、知り合いのツテだったり、自身でSNSなどから声をかけたりして集めた。また、音楽祭のスタッフは9割がたカフェのお客さんだった人を巻き込んでいる。ゆるやかにつながりが生まれてきている様子だ。

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平戸一番音楽祭のスタッフや出演者の方々。力武さんは前列左端

ちなみに、2016年開催の平戸一番音楽祭はアーティスト数が53組143名、観客動員数は約400名、チケットは2,500円だった。これに対して、スタッフは42名で対応し、プラス早福町の方々にも手伝ってもらったという。平戸ではかなり大きなイベントとなり、平戸の若者を中心に、市外からも注目を集めている。

BBQイベントをやってわかったこと アウトドアは都会の人の方が得意かも

ほかにも50人くらいのBBQイベントをしたことも。

「BBQコンロを5台おいて、“火をつけておいて”と頼んで、食材の準備などをしていたんですけど、1時間して戻ったら、1台しか火がついていなかった。こっちの人は火を起こせる人がいなかったのには驚きました。都会の人のほうが多摩川とかでやり慣れているのかもしれないですね」

力武さんは釣りやキャンプが好きだが、平戸の人にとっては自然が身近すぎて、アウトドアで遊ぶ人は案外少ないという。

「平戸は、土地自体に魅力があると僕の中では考えています。特に自然とかアクティブ系が好きな人にとっては最高な環境だと思う」

釣り好きな力武さんのキャンプスタイルとは

力武さんのキャンプスタイルは、釣りありき。朝が弱いから前の晩に行き、テントで寝れば早く起きられるので、朝イチから釣りを楽しめる。

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「こっちではキャンプに付き合ってくれる人はいないですね。いまのところひとり(笑)。あとは、すぐ近くに中瀬草原キャンプ場っていう無料のとこがあって、暖かい時期にはそこに純粋に寝にだけ行きます。日中、仕事の合間にテントを張っておくんです。それで、仕事が終わったら酒だけ持って行って、テントの中で酒飲んで寝る(笑)。もう最高です!」

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力武さんがしばしば行くという、奥に海原が広がる中瀬草原キャンプ場。まさに独り占め状態でなんとも贅沢だ

テント泊の気持ちよさ、屋外で過ごす開放感を周りに広め続けた結果、ようやく数人が興味を持ってくれた。

「そういう人を集めて、テントイベントでもやろうかと話をしています。外で寝るってただただ気持ちいいじゃないですか」

都会の人にとってはアウトドアは非日常であり、レジャー感が強く、ブームになっている。自然が身近な土地で、いかにその自然が面白いのかを再発見させるのはなかなか難しい。とはいえ、目を凝らせば、平戸には海も山もあり、アウトドア好きにはたまらなく魅力的な場所だと気づくはずだ。

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カヤックフィシングを楽しむ力武さん

楽しいことで耳目を集めて、コミュニティづくりをステップアップしていく

「真面目な話、コミュニティの仕組みづくりを最初からやろうとしたんですね。でも、平戸でそこに関心を持っている若い人はまだまだ少ない。これは田舎に限った話じゃないかもしれないですけどね。だったら、まずは自分たちが楽しいと思えることから始めて、人を巻き込んで一緒に動いていこうと。次の段階にステップアップしても、そのなかから何人かはついてきてくれるんじゃないかという意図を持っています」

音楽フェスのような大型イベントだけでなく、カフェでライブをしたり、ギャラリーにして写真展をしたり、さまざまな仕掛けを実践し、若い人が集まる場を育てている。そして、『3rdBASEcafe』は少しずつ活動の範囲は大きくなっているという。

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個展やギャラリーなど、さまざまなイベントを行っている

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落語会を行ったときの様子

自身の経験も踏まえ、移住者の起業を支援する拠点づくり

「カフェの近くに、もともと長崎県の職員寮だったところがあるんです。そこを平戸に移住した若者が起業できる拠点にするプロジェクトを長崎県と進めています。まだどうなるかわからないですが、なんとか形になりそうな気配です」

このプロジェクトの背景には、苦労した自身の移住経験がある。もともと平戸出身だった力武さんですら、Uターンで戻ってきてからカフェを開いて続けていく大変さを痛感している。

「特にゆかりのないIターンの人にとっては、平戸で商売を始めようとすると、家を借りて、商売する場所を借りて、最初から大きなリスクを背負わないといけない。なので僕のいちばんの目的はそういったリスクをなくして、まずはその場所に住んで、その場所でお店を出すというスタイル。そういった場所として、その寮を活用できないかと考えています」

そういう人が何人も集まれば、全員でその場所自体をプッシュすることができ、相乗効果も期待できる。

「なによりも少ないお金で始められて、足がかりがつくれます。その循環が生まれ続けてくれれば、平戸ももっと面白くなるのかなと思うんです」

移住にあたっては、住む場所、仕事が最大の障害といっても言い過ぎではない。また、いま移住を検討する人は、自身でローカルビジネスを起こそうとする人が多い。住む場所と仕事場が一緒で、さらに同じ場所でタッグを組む仲間がいるのは心強いだろう。リスクを避けられれば、移住へのハードルもグッと下がるはずだ。

移住者と地元、民間と行政 異なる立場が集まる難しさ

一方で、地方ならではの悩みも抱えている。

「Uターンといっても10年離れていたので、感覚的には普通の移住者と変わらないです。それなりに成果を残せば評価してもらえて信頼も得られますけど、本当に時間がかかるなと思いました。最近、田平地区の街づくりを考えていく組織の副委員長をやるようになりました」

この組織は、民間主導でまちづくりをおこなっていく組織だとか。

「さまざまな人が参加していて、上の世代と若い世代でも意見は違うし、民間と行政でも違います。なかなか視点がそろわないのが大変です。それに、予算の関係もあり短期のスパンで検討するんですが、もっと長期で計画を立てないと、地域の課題解決をするには難しいかなとジレンマを感じています」

この会議で、いちばんの課題となっているのは過疎化問題だ。

「僕としては、ある意味、人口減少は避けられない問題だと思っています。いまの人口をどう維持するか、どう新しい人を呼んでくるか、策を練っていますが、日本全体の人口が減っていくわけなので、かなり難しいと思います」

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むしろ、発想の転換が必要だと力武さんは続ける。

「減らないに越したことはないですけど、そうではなくて、もし減ったとしても町を維持できるような仕組みを話し合ったほうがいいんじゃないですかね。そこが抜け落ちている気がします」

人口減少に歯止めをかける施策は考えつつ、一方で、人が減った場合にどうやって維持させるのか、2軸で対策を考えていく必要がありそうだ。まだ、準備委員会の段階で、これから本格的な組織へとステップアップしていく予定だというが、自身だけの活動から、より高い次元での町づくりへの関わりも始まっている。

「町づくりをやりたいっていう視点で話せば、全然現状には満足してないです。まだまだこれからです。でも自分個人の生活だけ見れば、辺鄙なところでカフェをやってごはんも食べられているし、空いた時間で好きな釣りもできるし、普通に生きてれば満足なんだろうなと思います」


【vol.4へ続く】

カフェを中心にしたコミュニティづくりから、より大きな規模でも町づくりへも関わりだした力武さん。次回(vol.4/3月24日公開予定)は、移住者だからこそわかる、移住コミュニティの特徴や違いについて迫ります。お楽しみに。

 

力武さんが開いたカフェ、長崎県の移住情報はこちらまで。

『3rdBASEcafe』
フェイスブック:https://www.facebook.com/thirdbasecafe/
ながさき移住ナビ

http://nagasaki-iju.jp/

力武さんの連載記事はこちら

【長崎県平戸市移住】釣り好きの青年が3.11を機に地元を盛り上げたいとUターン/vol.1
【長崎県平戸市移住】若者が集まるハブを目指して海沿いにカフェをオープン/vol.2
【長崎県平戸市】若者向けに音楽フェスを企画。いずれは自然も生かしたい/vol.3

長崎県の移住にまつわる記事はこちら

キャンピングカーで移住先探しができるってよ in 長崎県 軽キャン大解剖!
【長崎県平戸市 移住ライフvol.1】きっかけはUターンしていた友人 旅行3日目で移住を決意
【長崎県平戸市 移住ライフvol.2】ガイドにわな猟、農業…収入半減も暮らしは豊かに
【長崎県平戸市 移住ライフvol.3】移住者は自分が変えなきゃと強く思いすぎないこと
【長崎県平戸市 移住ライフvol.4】本土と橋続きの平戸島はアウトドア好きの移住者にぴったり

text:george

【PROFILE/george】

茨城県東海村出身の32歳。インテリア雑誌、週刊誌、書籍、ムックの編集を経て、現在Webディレクター。4年前の朝霧ジャムに行って以来、アウトドアにハマる。テントはMSRのエリクサー3、タープはZEROGRAM。車を持っていないので、キャンプに行くときは知人の車に相乗りが常。なので、基本の装備は「軽くコンパクトに、友人の負担にならないこと」が信条

 


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