無骨すぎる南部鉄器のホットサンドメーカー
南部鉄器のホットサンドメーカーがあると聞いて興味を惹かれ、なにげなしにフェイスブックに「ほしいな」と投稿したら友人たちがプレゼントしてくれた。なにごとも言ってみるものである。
というわけで、ひょんなことで手に入れたホットサンドメーカーこそ、1852年創業の南部鉄器の老舗、OIGEN(及源)のダッチオーブン天火 ホットサンドメーカーだ。
とにかく無骨なアイテムだ。持った瞬間にずしりと鋳物ならではの重さを感じる。ウルトラライトな装備は好みの自分としては、この重量感はかなりの大物だ。ザラザラとした手触り、黒く渋く光を放つ鉄器。存在感抜群である。
たしかに重い……だが、見た目がとにかく渋くてかっこいい!
直火OK ”マジ”なホットサンドメーカー
最近のホットサンドメーカーは、取っ手がたためたり、かわいい焼印がついたり、軽さをアピールしていたりするが、OIGENにはそういうものを求めてはいけない。取っ手も鉄なので、もちろん直火OK。パンを挟んだら焚き火に突っ込む、そんなワイルドな使い方もできてしまうのだ。
やたらに本気感がすごいというか、とにかく”マジ”な雰囲気ぷんぷんのホットサンドメーカーなのだ。それに、日本の伝統工芸である南部鉄器の老舗がアウトドアグッズに挑戦するというのが、ギア好きの男にはたまらないのです。
と、前置きが長くなってしまったが、さっそく使用感をレビューしてみる。なかなかキャンプに行く機会がなかったので、まずは自宅で試してみた。
新品鉄器の使い始めのポイントは? まずは鍋ならし
新品の鉄器は油膜が表面にないので、焦げ付きにくくするために鍋ならしをする必要がある。
1.洗剤を使わずに温水ですすぎ、水気をふき、強火にかけて水気を除去
(水分が蒸発して鍋肌が乾いたらすぐに火を止める)
2.鍋にオリーブオイルやサラダ油などの食油を多めに入れる。そして火にかけ、野菜くずなどをしんなりするまで炒める。鍋肌に油をなじませたら野菜を捨てる
3.洗剤を使わずにタワシで洗う
(洗剤を使うと、せっかくなじませた油が落ちてしまうので注意)
4.火にかけて水気を除去して火を止める
(水分が蒸発して鍋肌が乾いたらすぐに火を止める)
これで準備は完了。
挟み込む力は申し分なし! カリッとした焼き上がりも魅力
バターで炒めた千切りキャベツ、スライストマト、とろけるチーズを食パンにのせ、いよいよホットサンドを作り始める。
鋳物だけあってかなり強固な作り。具材を多めにのせても、ギュギュギューっと挟み込んでプレスできるのは、OIGENならではの特徴だろう。
蓄熱の良さが鋳物の特徴でもあるので、火入れは、はじめは強火で加熱して、あとは中火〜弱火(むしろ弱火よりでいいかも)でOK。熱の周りがよいので、ずっと強火だと焦げ焦げになるのでご注意を。
焼き上がり! 表面はカリカリです。OIGENのホットサンドメーカーは上下2パーツに分かれるので、お皿に取り出すのもラクちん。対角線に割れ目が入っているので、カットするのも簡単です。
耳や表面はカリサクッとした軽い食感。でも中身はふっくら柔らかで熱々! 熱したトマトのほのかな酸味と甘みが増した果汁がたまりません。
プレスする力が強いからか、ホットサンドは思ったより薄く仕上がった印象。個人的に薄めのパンが好きなので、今回は8枚切りの食パンをチョイスしたものの、6枚切り食パンで具材を詰め込んでプレスしたらちょうどよいくらいかもしれない。
OIGENホットサンドメーカーの重さをどう捉えるか
冒頭でずっしり重いと書いたが、それもそのはず、重量は1.5kg。2枚焼きできるスノーピークのホットサンドメーカー「トラメジーノ」(トラメジーノのレビュー記事はコチラ)ですら850gといえば規格外の重さがわかるだろうか。それに、取っ手部分も折りたたむことはできない。鉄器なので、お手入れも気を使う。
これを使いたいがためにキャンプに行きたい、そんな道具
ある意味で、人を選ぶギアだと言える。「お前にオレを使いこなせるのか?」と問われているような気分すらしてくる。でも、圧倒的な存在感を放つデザインはかっこいいし、なにより焼き具合が最高。こんなにカリカリとした食感のホットサンドにはなかなかお会いできない。
個人的にはコンパクトで手軽なアイテムを求めるキャンパーだが、ひとつくらい無骨なギアがあってもいいかなと。なにより使うのが楽しい道具と出会えたことがうれしいかぎり。
text:george
【PROFILE/george】
茨城県東海村出身の34歳。インテリア雑誌、週刊誌、書籍、ムックの編集を経て、現在Webディレクター。7年前の朝霧ジャムに行って以来、アウトドアにハマる。テントはMSRのエリクサー3、タープはZEROGRAM。車を持っていないので、キャンプに行くときは知人の車に相乗りが常。なので、基本の装備は「軽くコンパクトに、友人の負担にならないこと」が信条。
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