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ゴアテックスの秘密に迫る!メーカー直撃インタビュー

ゴアテックス プロダクトにまつわる素朴な疑問をリサーチ!

梅雨は開けたが、夏は大気が不安定となり、例年、夕立やゲリラ豪雨に悩まされる。そんなとき、サッと羽織れるようなレインウェアやシェルジャケットをバッグに忍ばせておくと便利だ。そして防水性をうたうウェアでよく見かけるのが”GORE-TEX(ゴアテックス)”という表示やタグ。

防水生地の1種というのはわかっているけど、どんな歴史を持っているのか、どんな技術なのか、どうして防水できているのか、そんなゴアテックス プロダクトにまつわる素朴な疑問を大調査!

ホグロフスのゴアテックス アクティブを採用した軽量重視のジャケット。最近のシェルジャケットは、デザイン性が高く、街着としても使える。L.I.M SERIES COMP JACKET MEN(42,000円+税)

ゴアテックス プロダクトはアメリカで生まれた

ゴアテックス プロダクトは、アメリカの「W. L. Gore & Associates」という会社で開発されたもの。

「この会社は1958年の創業なので2018年で60周年を迎えます。元々は工業資材のケーブル被覆材を作っている会社で、『PTFE』というフッ素樹脂の素材を中心に扱っていました。当時はそれを薄く軽くする技術がなかったのですが、この『PTFE』が持つ素材の可能性を活用して成長して来たのが、ゴア社のバックグラウンドになります」

そう教えてくれたのは、日本ゴア社でゴアテックス プロダクトのマーケティングを担当する平井康博さんだ。この『PTFE』が元になってゴアテックス テクノロジーは生まれていく。

「生み出された『PTFE』を元にして『ePTFE』という物質ができます。“e”は“expanded”という意味なのですが、『PTFE』を延伸加工してできるものです。それを発見したのが会社の二代目で開発者のボブ・ゴアで、1969年のことです」

開発者の名前を取り、ゴアテックス プロダクトと名付けられたのだ。

「延伸加工することで特殊な構造を持ち、それにより用途が格段に広がりました」

『PTFE』はもともとワイヤーやケーブルといった工業製品に使われていた。現在では『ePTFE』を使用した人工血管をはじめとする医療用製品にも展開が広がっている。

ゴアテックス素材の原料は何?

「『PTFE』、『ePTFE』の原料は、ホタル石と呼ばれる天然鉱石です。この鉱石を原料として化学的な処理をして『PTFE』を抽出します」

ホタル石は世界中で採掘されていて、日本でも採れるとか。ホタル石を特殊加工して生まれてくる『ePTFE』にたくさんの特性があるのだ。

「防水性や透湿性、水をまったく含まない非吸水性。あとは熱的安定性、温度が変わっても形が変わらないということです。化学的安定性もすぐれていて、薬品や水による影響をうけません。あとは生体適合性、身体の中に入れても拒絶反応が起きないなどのさまざまな特性を持っています」

先ほども挙げたが、人工血管のような医療分野以外にも、防水の携帯電話やスマートフォンにも採用されているという。

アパレルやフットウェア、帽子、グローブなど、アウトドアの環境から体を快適に保護するアイテムとして展開しているのがゴアテックス プロダクトなのだ。

水分子より小さく、水蒸気より大きい穴

ゴアテックス メンブレン

「ゴアテックス プロダクトの技術を専門的に言うと、“連続多孔質構造”という、クモの巣が何層にも重なったような構造を持っています。細かい孔がたくさん開いているわけです。水の分子の2万分の1の細かさなので、水の分子は通れない。ただ水蒸気よりは700倍大きいので、水蒸気は簡単に透過できる構造になっています」

つまり、何か加工をして水を防いでいるわけじゃなく、そもそも素材の特性として水を防いで湿気は透過する、という機能がいちばん大きなポイントだ。その特徴を備えた膜のことをゴアテックス メンブレンといい、1㎠あたり14億個以上の孔が空いている。微細な孔構造が優れた防水性、防風性、透湿性を生み出している。下の動画を見ると、その構造がよくわかる。

「このゴアテックス メンブレンに、いろいろなアクティビティや用途に合わせて適切な裏地と表地を張り、それぞれの用途に合わせた生地を作るのがゴア社の仕事です」

開発から42年 老舗素材ならではの技術の蓄積が強み

最近では、さまざまな防水透湿素材が出ているが、ゴアテックス ファブリクスが優れている点はどこなのだろうか。

「1つは素材の耐久性です。心臓部のメンブレンに関してはほぼ劣化しません。経年変化して水を通してしまったり、湿気を通さなくなったりということが起きません」

ゴア社として60年、ゴアテックス ブランドとして42年の歴史があり、これまでさまざまなファブリクスを世に送り出してきた。その技術の蓄積は他の追随を許さない。

「ゴアの技術としては、張り合わせるラミネートに関してもこれまでに培ってきたものがあるので、メンブレンと表地や裏地の合わせ方は何千・何万通りとあります。あらゆる素材としっかり張り合わせる技術もあるので、生地になった時点での耐久性は非常に強いです。表面や裏地の対磨耗性、引き裂きに対する強度、はがれにくさなどあらゆる角度から耐久性を日々研究しています」

3レイヤーと言われるのは、メンブレン、表地、裏地の3層構造のため。メンブレンにはり合わせる生地により、さまざまなシチュエーションに耐えうる生地を作っている

ゴアテックス プロダクトのポリシーがかっこいい!

ゴアテックス プロダクトのブランドプロミスは、”GUARANTEED TO KEEP YOU DRY”。「あなたの体をドライで快適なままにすることを担保しますよ」という、高温多湿でジメジメと不快な時期にはぴったりな理念と言える。透湿性もあり水を防げるゴアテックス プロダクトがあれば、ゲリラ豪雨や夕立もへっちゃらだ。

取材協力:日本ゴア社 ホームページ https://www.gore-tex.jp/

取材協力:ホグロフス ホームページ https://haglofs.jp/?ref=hd

取材・文/george

【PROFILE】

茨城県東海村出身の33歳。インテリア雑誌、週刊誌、書籍、ムックの編集を経て、現在Webディレクター。アウトドを主軸にしながらも地方移住などローカルトピックにも積極的に関わっている。


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