”サスティナブル”がテーマの注目施設「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」
2019年秋、千葉県木更津市にサスティナブル ファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」が開業する(第1期オープン日:10月5日)。
クルックフィールズはファーム、イート、アート、プレイ&ステイ、ネイチャー、エネルギーの6カテゴリーを軸に、30ヘクタールの広大な土地を舞台に開発される注目プロジェクトだ。場所は都心から車で約1時間の木更津市。350台収容可能の大型駐車場も完備されている。
彼らが掲げる”サスティナブル”とは”持続可能”の意味。地球環境に配慮しながら、人間の社会や経済などを持続する考え方で、主にエコロジーの視点で用いられる。最近は、トレンドのキーワードとなっていて、さまざまなジャンルにおいて、サスティナブルを掲げる企業・ブランドが増加中だ。
代表を務めるのは音楽プロデューサーの小林武史氏
施設を主導するのは日本を代表する音楽プロデューサーとして知られる小林武史氏だ。
2003年にサスティナブルな社会をテーマに取り組む非営利団体「ap bank」を立ち上げたほか、2005年から「快適で環境によい未来に向けた暮らし」をコンセプトにした企業「KURKKU(クルック)」を設立。以来、これからの時代のオーガニックな消費や暮らしの在り方を提案し続けている。
オープンに先駆けた記者会見で小林氏は、「これまでの活動の集大成がクルックフィールズ。ここは新しい農場の形です。ようやくこうした農場が運営できるタイミングになりました」とコメント。クルックフィールズにかける思いを熱く語ってくれた。
小林武史/音楽プロデューサー、作曲家、編曲家、キーボーディスト。1980年代からサザンオールスターズやMr.Children、最近ではback numberやDAOKOなど、数々のアーティストのレコーディングやライブプロデュースを手掛ける。2010年から農業生産法人「耕す。」を始め、農業に着手したほか、東日本大震災の復興支援も行っている。現在はクルック代表。
オーガニックを推進する木更津市
クルックフィールズが開業する千葉県木更津市も、環境への取り組みに熱心な自治体である。
同市は2016年に策定した「木更津市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中において、新たな視点として「オーガニックなまちづくり」を掲げた。取り組みは、人と自然が調和した持続可能なまちとして、次世代に継承しようとするもの。
「オーガニックなまちづくり」を地域一体となって推進するため、関係団体・企業等の参画のもと、木更津市オーガニックシティプロジェクト推進協議会が設立されている。
こうした背景を持つ木更津は、クルックフィールズの開業地としてはうってつけだったといえる。
オーガニックなまちづくりを掲げる木更津市のほか、理念に共感し建築物を担当した住友林業、SDGsなどの観点から支援する環境省も関わり、それぞれが大きな役割を果たしている。
クルックフィールズってどんな施設? 6つのカテゴリーを紹介!
では、次にクルックフィールズのコンテンツを紹介してみよう。
カテゴリー1 ファーム
土と水が育む自然の恵みが感じられるコンテンツ。オーガニックファームでは2種類の畑で有機野菜(有機JAS認証取得)を育て、レタスやニンジンなどベーシックな野菜を、比較的安価で供給することを目指す。オーガニックファーム、エディブルガーデン(食べられるハーブ、野菜、花を栽培)、酪農場/チーズ工場、養鶏場を展開。
酪農場では希少な水牛を飼育。本場イタリアと肩を並べるほどのモッツァレラチーズの試食、販売が行われる。
カテゴリー2 イート
のどかな自風景と自然に調和する建築で、採れたてのフレッシュな素材をシンプルに提供するダイニング、ベーカリー、シャルキュトリ、シフォンの施設からなる。
ダイニングは新鮮な野菜のサラダ、モッツァレラと旬の野菜で彩られた天然酵母のピザが代表的なメニューだ。
ベーカリーでは自家製の天然酵母を使ったさまざまなパンが提供される。ファームで栽培した野菜やシャルキュトリで作ったハムなどを使ったサンドイッチも登場する。
シフォンでは放牧されているブラウンスイス(乳牛)のミルクや平飼い鶏の卵を使ったシフォンケーキを提供。
カテゴリー3 アート
心の滋養を味わうために、アート作品を鑑賞できる。草間彌生、カミーユ・アンロ、ファブリス・イベール、名和晃平の作品が集められる。
カテゴリー4 プレイ&ステイ
自然を満喫するためにサスティナブルや遊びや滞在を体験できるコンテンツが用意される。
ブラック棟:料理教室やパーマカルチャー講座、企業研修などが行われる多目的施設。
クリエイティブパーク:自然を満喫できる見晴らしのよい広々とした草原。ピクニック、日光浴、ヨガ、ベーカリーのメニューをテイクアウトしての飲食など思い思いに楽しめる。
カラビナカー:旧式のスクールバスをリノベーションした空間。イベントスペースなどに活用が可能だ。
タイニーハウスビレッジ:小型の宿泊施設。それぞれが古材やアンティークを使って手作りされた温もりのあるデザインに注目したい。
ミュージックベース:最大3000人が収容可能なイベント用スペース。イベント開催時以外は雨や日差しを避けるリラックススペースとして活用できる。(2020年竣工予定)
カテゴリー5 ネイチャー
緑と水と小さな生き物たちの営み、多様な生態系に接して大切な豊かさを体感する。
クルックフィールズの象徴の一つが、マザーポンド(母なる池)。ここには野鳥やザリガニ、エビ、モリアオガエル(特別天然記念物)なども生息する。
マザーポンドを取り囲む野生の森はヤマモモや桑の実、ワラビ、タラの芽なども採れる場所。遊歩道に沿って自由に散策できるのがうれしい。
また、マザーポンドの水をポンプ(太陽光発電で稼働)で汲み上げて作られた小川とそれによる生態系の循環がビオトープ。メダカやドジョウ、ゲンゴロウなど豊かな生態系が育まれていて、多様な生物がいることで害虫の大量発生を防がれて、自然のバランスを保つことに。
カテゴリー6 エネルギー
大事なエネルギーは「無駄なく、サスティナブルでクリーン」を目指している。クルックフィールズは数々のエシカルな取り組みを実践している点が興味深い。
ソーラーファームには2MW(メガワット)の発電量を持つソーラーパネルを設置。場内の農業用の電力はこの発電を活用している。
また、植物や微生物など自然の力を使った水質浄化システム、バイオジオフィルターを運用。植物の根の表面に生息する微生物が汚水の有機物を分解し、分解物を植物が根から吸収することで水がろ過される仕組みだ。
クルックフィールズのバイオジオフィルターには吸水力の高い柳の木に加え、水辺の環境に適応するクレソンや空心菜を活用。
ダイニングなどから出る場内排水は、浄化槽を通ってバイオジオフィルターで浄化され、マザーポンドへ流れる仕組みだ。そのほか、酪農や養鶏場から出る動物のフンを場内の大型プラントで発酵させて堆肥にする堆肥舎も用意されている。
さて、話題のキーワード、サスティナブルを、身をもって体験できるクルックフィールズは2019年10月5日に第1期オープン。自然の営みの中に飛び込んで、おいしい食を食べたり、新鮮な空気を吸ったりして、ぜひサスティナブルの重要性について考えてみたい。
クルックフィールズ 施設概要
第1期オープン日時 2019年10月5日 午前9:00
住所 千葉県木更津市矢那(やな)2503
営業時間 9:00~17:00
定休日 祝日以外の火曜、水曜
入場料 平日:無料。休日:大人(中学生以上) 1000円、子供(4歳〜小学6年生)500円、未就学児(3歳以下)無料
※荒天時(飲食エリア以外クローズの場合)は入場料無料
駐車場
平日:クルマ1日1000円/バイク1日500円 ※30分まで無料/1店舗1会計につき1000円以上のお会計で無料。
休日:クルマ1日1000円/バイク1日500円 ※30分まで無料
文/T.Kawata、cazual編集部