「ずんだ餅」は地元家庭でもよく作られる仙台の郷土料理
「ずんだ」は、宮城県仙台市近郊では郷土料理「ずんだ餅」として、昔から愛されてきました。「ずんだ餅」は宮城のほか山形、福島でも親しまれており、実は地域によって味が少しずつ違います。その歴史は伊達政宗の戦国時代から始まったというから驚きです。
仙台では、本来は夏やお盆の時期にこの「ずんだ餅」を食べましたが、現在では季節を問わず「ずんだ餅商品」が流通しており、仙台のお土産品としても人気を博しています。
「ずんだ」とは?
簡単に説明すると、枝豆をすりこ木ですりつぶしたものがずんだです。
枝豆には白毛豆(青豆)、茶豆、黒豆などの品種がありますが、風味と甘みの強い茶豆が使われることが多いようです。
郷土料理「ずんだ餅」を作るには、たくさんの枝豆を使います。そのため、一般家庭では枝豆が旬になる夏に作られることが多いです。また、お盆のお供え物の定番として作る家庭もあるようです。
近年人気の「ずんだ」スイーツ
ずんだと言えば、餅を絡めて食べるという概念を覆すような「ずんだスイーツ」も、近年人気です。仙台駅には、気軽にずんだスイーツを楽しめるずんだ専門店が立ち並んでいます。
ここでは、「ずんだどら焼き」や「ずんだまんじゅう」といった和菓子から、「ずんだシェイク」や「ずんだアイス」、「ずんだロールケーキ」といった洋菓子に至るまで、幅広いずんだスイーツを楽しむことができます。
枝豆を使用しているぶん、栄養価も高いため、ヘルシーフードとしても注目されています。仙台駅にお越しの際は、ぜひ新感覚の「ずんだスイーツ」をお試しください。
仙台で愛される「ずんだ餅」の作り方
ここからは、仙台の家庭で昔から作られている「ずんだ餅」の作り方をご紹介します。
① まずは、柔らかめに茹でた枝豆をさやからはじいて取り出します。さや付きの枝豆が手に入らない場合は、風味は落ちますが、冷凍枝豆で代用しても大丈夫です。
② 次に、枝豆についている薄皮をひとつずつ取り除きます。
手間がかかりますが、薄皮を取らないと枝豆をすり潰せないので根気強く作業しましょう。今回は茶豆を利用したので薄皮を取る前は茶色がかった緑色ですが、取った後は綺麗な緑色になります。
③ そして、薄皮が取れた枝豆をすり鉢に入れます。
少量の塩を入れて、すりこ木で枝豆を潰していきます。
フードプロセッサーなどで撹拌する方法もあるようですが、仙台の家庭では、すり鉢で作るほうが食感も風味も良くなるとされています。
力のいる作業なので、普段台所に立たないお父さんに手伝ってもらう家庭も多いようです。
④ だんだん潰れてきたら少量の水と砂糖を入れます。水は一度にたくさん入れず、少しずつなじませるように入れましょう。
水を入れずに作るという家庭もあるようですが、宮城県の県北出身の我が家ではとろりとしたペーストに仕上げるのが「家庭の味」でした。
できあがったずんだに、追加で砂糖を調整しながら入れます。甘味や塩分は家庭によって違いがあります。砂糖を入れない地域や、スイーツのように甘いずんだを食べる地域など様々です。お好みの味付けに仕上げましょう。
⑤ 最後に、つきたてのお餅をずんだに絡めます。
角餅を使う場合は、茹でて柔らかくしたものを使うと、ずんだ餡が絡みやすいのでおすすめです。
ずんだを絡めたら、器に盛り付け完成です。ずんだ餅は少し手間のかかる料理ではありますが、枝豆の風味漂う、東北地方の夏定番のおふくろの味が楽しめます。
仙台名物「ずんだ餅」を食べてみよう!
はじめて「ずんだ餅」を食べる方は、甘い枝豆の味に驚くかもしれません。しかし、豆の風味と甘みが感じられるずんだ餅は、他にはないクセになる味わいですよ。
自宅で餅を料理するまではできない、という方や、仙台から遠い地域にお住いの方は、お土産品の通信販売で手に入れることもできます。和菓子だけでなく、洋風のアレンジを加えたずんだスイーツもぜひ一度お試しください。
【PROFILE/さとう あい】
宮城県仙台市在住の料理家。薬膳料理教室の運営や、レシピ提案などのフードコーディネーター業をする傍ら、ライターとしても活動中。やんちゃ盛りの2児の母であり、子どもと海や川、山などアウトドアへ出かけ、休日は自然の中で遊ぶのが日課。
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※この記事は2022年の記事を再編集して再掲したものです。