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自宅で手軽に作れる!帆布素材の焚き火用陣幕の作り方&使い心地をレポート

自作の陣幕で焚き火を風から守る

陣幕とは、昔、軍の陣地を区切るために使用されていた幕のこと。戦国時代を舞台にしたドラマなどで、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

実はキャンプ用品にも陣幕と呼ばれるものがあります。風を防いだり、周囲の視線を遮ったりするために使われる便利なアイテムです。

陣幕のほか、「ウインドスクリーン」や「焚き火リフレクター」などという名前で販売されている商品もありますが、形状が似ている製品が多く、どれもシンプルな構造で作られています。

これは自分でも作れるのでは?と思い、挑戦してみることにしました。初めての試みなので、手探りで進めていきます。

焚き火用陣幕作りの材料・道具

・帆布生地・・・1m×3m
・パラコード・・・4m
・PPベルト・・・70cm
・自在金具・・・2個
・ペグ・・・4本
・ペグ(小)・・・2本
・アルミパイプ・・・1m×2本

陣幕の素材として、とても丈夫で熱に強く、火の粉がついても穴があきにくい帆布(キャンバス)生地を選びました。

焚き火のすぐ近くで使用することを考えると、もっとも最適な素材です。

また、帆布の厚さは号数で分けられており、数字が低いほど厚くなります。今回はもっとも薄い11号を選択しました。

とにかく厚くて丈夫な陣幕を作りたい場合は、8号くらいの帆布を使用するといいでしょう。縫うのが少し大変になりますが、ガシガシ使ってもびくともしない頑丈なものができはずです。

ペグ(小)は、陣幕の骨となるアルミパイプを自立させるために使用します。先にペグ(小)を地面に刺し、地面から飛び出ているペグ(小)の頭にアルミパイプをスポッとはめる構想です。

そのため、ペグ(小)はアルミパイプのなかに入るサイズのものを選ばなくてはなりません。

そして、材料のほかに裁縫道具も用意する必要があります。

・工作用紙
・差し金(ものさし)
・裁ちバサミ
・ステッチルレット
・チャコペンシル
・布用接着剤
・縫い針(厚地用)
・縫い糸(厚地用)
・しつけ糸

L字型の差し金は垂直を出すのに便利ですが、普通のものさしでも大丈夫です。

ステッチルレットは縫う穴の目印をつけるための道具ですが、なくても構いません。今回は手縫いするラインを引くためだけに使用しました。

しつけ糸は画像の左端に置いているピンクの糸で、本縫いをする前に、仮縫いをするために使用します。

これらの道具はすべて100均の商品でそろえることが可能なので、費用を抑えて陣幕が自作できます。

焚き火用陣幕作りに挑戦!

①完成イメージを工作用紙に書く

まずは設計図を書くところから。自分がイメージしている完成図を工作用紙に描きます。寸法も書いていますが、その通りにはいかないでしょうから、これはあくまで目安です。

頭のなかのイメージだけで作ろうとするのは失敗のもと。少々雑でも構わないので、かならず完成イメージを紙に描いてから進めましょう。

②1枚の帆布生地から必要なパーツを切り取る

生地をハサミでカットする大事な工程です。まずは完成イメージに書いた寸法を見ながら、チャコペンシルでカットするラインを引きます。

すべてのパーツのラインを引き終わったら、ハサミでカット。ミリ単位のズレはあとから修正できるので、大きくずれないように注意しながらも、思い切ってカットしましょう。

もっとも大きい生地が陣幕の本体です。三角のパーツは陣幕の角の部分を補強するためのもの、長方形のパーツはアルミパイプを通すスリーブになります。

大きい長方形のパーツが4つありますが、2つは予備として余った布で作りました。

長方形のパーツは、小さいもの2つ、大きいもの2つで問題ありません。

また、70cmのPPベルトから15cmを2本、20cmを2本カットしておきます。

③パーツすべての折り返す部分にアイロンをかけてクセをつける

切り離したパーツはほつれが出ないように、最終的にはすべてフチを折り返して縫います。

しかしその前に、折り返した部分をアイロンでクセづけしなくてはなりません。帆布は厚くて固い生地なので、そのままの状態で縫うのは困難だからです。

アイロンがけする際は、今回使用しているようなナチュラルカラーの帆布であれば、そのままアイロンを押し付けても大丈夫です。

濃色の生地を使用する場合は、アイロンの熱による変色を防ぐために当て布をしながらクセづけしましょう。

もしも帆布以外の生地を使用する場合には、アイロンを使用しても大丈夫な素材であるかをかならず確認してください。

パーツのフチすべてをクセづけしていくと、このように余る部分が出てきます。綺麗に処理する方法もありますが、今回は面倒だったのでハサミでカットしました。

下の画像のように、カットした場所を折り返すと断面が隠れるので、ほつれの心配も無用です。

④縫合する場所を接着剤で仮止めする

先ほどアイロンでクセづけした場所に接着剤を塗り、縫いつける場所に貼りつけていきます。

ただし、アルミパイプを差し込む上側のスリーブのパーツは、裏側のPPベルトを縫い終わってから取り付けるので、ここでは接着しません。

PPベルトだけは用意した接着剤でくっつかなかったので、しつけ糸で仮止めしました。

まず、幕の左右両端のペグで地面に固定する場所には20cmのPPベルトを折り返して仮止めします。

次に、外側からパラコードで引っ張る場所には15cmのPPベルトを2度折り返して仮止め。

PPベルトの仮止め、幕本体のフチの折り返しの接着、幕本体へのスリーブの接着、三角のパーツの接着が終わったら、次の本縫いの工程に進みます。

なお、接着や仮止めは、本縫いを進めながら並行しておこなっても問題ありません。時間がかかっても慎重に作業したい方は、むしろその方が確実です。

⑤本縫い

ここからが大事な本縫いです。まず最初に、4か所のPPベルトから縫っていきます。PPベルトを縫ったあとで上から取り付けるパーツがあるので、この順番はとても重要です。

縫う順番は以下を参考にしてください。

①PPベルト4か所
②幕本体の斜めの部分
③幕本体の下の部分
④三角のパーツの縦のライン
⑤上側のスリーブの左右(上下は縫わないこと)
⑥下側のスリーブの左右(上下は縫わないこと)
⑦幕本体の上の部分

縫うラインは、あらかじめステッチルレットで印をつけておくと楽です。

スリーブにはアルミパイプを通すので、上下のラインを縫わないように注意しなければなりません。上側のスリーブは、最終的に幕本体の上側のフチと一緒に折り込んで袋状にしています。

手縫いは間違えてしまっても簡単に糸をほどくことができるので、焦る必要はありません。

ただし、折り返しの部分は針を通すのに力がいるので、誤って手に針を刺してしまわないように注意しましょう。

⑥パラコードをPPベルトに通し、自在金具を取り付ける

本縫いが終わったら、あとは簡単です。4mのパラコードを半分にカットし、片方を輪っか状にして張り綱を取りつけるためのPPベルトに通します。

反対側は自在金具に通して、抜けないように玉結び。自在金具の通し方は、商品の説明書きを確認しましょう。

自在金具を取り付けたら引っ張ってみて、しっかりロックされるかをチェックします。問題がなければこの工程は完了です。

⑦アルミパイプをスリーブに通して完成

最後に、2本のアルミパイプをスリーブの下から通して完成です。アルミパイプが長すぎると感じたら、金属用のノコギリでカットしてもOKです。

その際には、アルミパイプを短くしすぎて幕がたるまないように注意しましょう。幕の「すそ」の部分が、ほんの少しだけ地面から浮く長さがベストです。

自作焚き火用陣幕をキャンプ場で設営してみた

自作した焚き火用陣幕をキャンプ場に持っていき、実際に設営してみました。

まず最初に、アルミパイプを支えるためのペグ(小)を2本地面に刺します。ペグ(小)の間隔は90cmほどです。

アルミパイプの長さが1mなので、これをメジャーのかわりとして使用しました。

続いて、ペグ(小)にアルミパイプをかぶせるようにして自立させます。

アルミパイプを2本立てたら、陣幕のスリーブを通します。

陣幕の張り具合を見ながら、両サイドをペグで地面に固定。

後ろ側にまわり、パラコードをペグで地面に固定していきます。このときはパラコードを少しゆるい状態にしておくことがポイントです。

最後に自在金具をスライドして、陣幕がピンと張るようにパラコードの長さを調整。

以上で設営は完了です。市販されている陣幕とちがってアルミパイプが自立するので、とても簡単に設営できました。

これであれば、風が強い日でもストレスなくスピーディーに設営できるでしょう。

手間がかかるぶん達成感もかなりのもの!

手探りでもなんとか完成した帆布製の陣幕。今回自作した陣幕は幅が250cmほどあり、縫うのが少し大変だったのでかなりの時間を要しました。

しかしそれだけに、完成したときの達成感もひとしお。これからキャンプで使用し、少しずつ改良をほどこしていくのが非常に楽しみです。

ちなみに、今回の陣幕制作におけるこだわりのポイントは、アルミパイプを内側だけむき出しにしたこと。これにより、ランタンハンガーの装着が可能となっています。

ナチュラルカラーの白っぽい帆布生地にランタンの光が反射し、陣幕の内側が少し明るくなる構想です。

このように、独自の工夫が思い通りになったときの気持ちよさがDIYのいいところだと思います。

今回使用した11号の帆布生地であれば、それほど材料費は高くなりません。ぜひ風を防いでキャンプを快適にしてくれる陣幕の製作に挑戦してみてください。

写真・文/斎藤純平

【Profile/斎藤純平】

キャンプ、バイクツーリング、スキューバダイビングを趣味とするアウトドアライター。加えてこれから狩猟を始めようかと画策中。何をするのにも基本的にすべて一人で、キャンプもツーリングも思い立ったら即出発。読み手にとって本当に役に立つ情報を発信します。

※この記事は2020年の記事を再編集して再掲したものです。

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