アクセス方法や阿智村名物についてはまとめた前編はこちら
”スタービレッジ 阿智”に日本一の星空を見に行こう!
長野県南部にあり、岐阜県との県境にある長野県阿智村。標高410mから2191mまでの山間地にあり、2006年には環境省による全国星空継続観察で、「星が最も輝いて見える場所」第1位に認定されました。つまり、環境省お墨付きの”日本一の星空”というわけ。阿智村は、”スタービレッジ阿智”として、星空を生かした観光プロモーションを展開しているのです。
阿智村では、2012年8月より春から秋にかけての観光施策として、「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」を開催しだしてからは、夏になるとたくさんの観光客が訪れるようになりました。2014年は約3万人、2015年は約6万人、2016年は11万人と動員数はうなぎのぼりなのです。
夏の時期はスキー場のロープウェイで標高1400mまで登るナイトツアーをやっていますが、氷点下10度になることもザラの冬の時期は、夜のロープウェイ操業はストップ。そこで冬季は屋外でのプロジェクションマッピングを星空鑑賞に組み合わせたナイトツアー「天空の楽園 Winter Night Tour STARS BY NAKED」を実施しているのです。このナイトツアーにいよいよ出発です!
会場までは昼神温泉郷の各ホテルから送迎バスが出ているので、それを使うと便利です。
デジタルと自然を満喫! 星空鑑賞をエンターテインメントに!
期待に胸躍らせてエントランスへ。
真っ暗な山中に突如、現れるプロジェクションマッピング。なんだかとっても未来的です。コンテナの間を通り抜けるとメイン空間へ。
コンテナにプロジェクションマッピングを投影。空間全体を使ったショーが楽しめます。
映像は、宇宙船に乗って星空の旅に出かけるという設定。途中途中に出てくる映像は、実際に阿智村を空撮したものが使われ、阿智村の上を飛んでいるかのような感覚が味わえます。
月ってこんなに明るいの!?
15分ほどの映像が終わると、カウントダウンが始まります。5、4、3、2、1……….一斉に映像や街灯が消えます。あたりは月明かりに包まれます。
徐々に目が慣れてくると、どんどんと星が見えてきます。それと月の明るさに驚かされました。ライトは何もついていないのに、周囲がよく見えるんです。印象としては、豆球の電気がついているくらいの明るさでしょうか。がんばれば本も読めるんじゃないかと思いました。
月の明るさに感動していると、
「月は明るくてきれいですけど、星を見るという目的からすると、月はないほうがいいんですよね」と、ナイトツアーのガイドさん。「月が明るいと、他の星が見えなくなってしまうんです。本当の星空を見たいなら、月が隠れたあとがおすすめですよ」とのこと。
なるほどなるほど。して、月が隠れる時間帯とは?
「今日は深夜0時30分から1時くらいですかね」
・・・・・・行きたい! 行くしかない! でも翌日は6時30分から朝市見学だ。でも、ここまできたら行きない選択肢なんかないでしょ!
※ちなみに、深夜の星空ツアーはナイトツアーには含まれていませんので、ご注意くださいね。
天体望遠鏡を使ってスマホで月を撮影!
ナイトツアーはというと、会場にはVixenの天体望遠鏡が設置されていて、月鑑賞ができました。
どれどれとレンズをのぞいてみると、
漆黒の闇に浮かび上がる月! クレーターのひとつひとつが見えます。天体望遠鏡ってすげーーー!! 上の写真は天体望遠鏡越しにスマホで撮ったものですけど、きれいに撮れるもんです。
ほかに会場にはカフェもあり、暖もとれます。
メニューもプロジェクションマッピング。徹底しています。
お土産コーナーを物色。
エントランス近くのプロジェクションマッピングは映像を触れると花火が打ち上がる仕掛けになっていました。けっこうハマりますね。
プロジェクションマッピングのプロデュースはクリエイティブ集団「NAKED」
プロジェクションマッピングは、東京駅のプロジェクションマッピングなど日本各地でさまざまイベントにたずさわっているクリエイティブカンパニー「NAKED」が担当していて、映像の質の高さは折り紙付きです。
「阿智村を舞台にした企画をやろうと思ったのは、”日本一の星空”という魅力的な素材があったことと、それを使って何かを起こしたいと熱意を持つ人がいたから。この2つを信頼できたので、なにか物語を作れると思ったんです」と村松さんは言います。さらに「われわれのプロジェクションマッピングはいわば前座。阿智村が誇る星空を引き立たせるためのもの」とも。
2016年夏からプロジェクションマッピングを使ったナイトツアーをやっていましたが、夏に引き続き、冬も星空をエンジョイしてもらうと、この冬から「天空の楽園 Winter Night Tour STARS BY NAKED」をスタートさせたのです。当然ながら、星空は曇っていれば見えません。星空ツアーではなく、ナイトツアーという名称も、星だけではなく、星空やプロジェクションマッピングなどを含めて夜を楽しんでもらいたいという思いで付けられたものだとか。
自然とデジタルを駆使して、阿智村の夜を楽しむツアーなのです。
眠い目をこすり、いざ深夜の星空鑑賞へ
日本一の星空の真の実力を見るべく、深夜0時30分、ホテルを出発。月は山の向こうへと隠れた様子です。昼神観光局の方に穴場へ連れて行ってもらいました。
(※あらためて言いますが、深夜の星空鑑賞は、ナイトツアー「天空の楽園 Winter Night Tour STARS BY NAKED」にはふくまれていませんのであしからず)
ここからはカメラビギナーの筆者が撮ったつたない星空写真をご覧ください。
月がなくなると、1つ1つの星の明かりがよく見えます。目が慣れてくれば慣れてくるほど、どんどんと見える星の数が増えていきます。
星降る夜というのはこういう夜空のことを言うんでしょうね。
夜空の撮影はなにぶん初めてだったので、設定が難しかったです。下のはなぜか赤くなってしまった写真。これはこれできれいですかね。
圧巻の星空を見られましたが、とにかく寒くて大変でした。
星空撮影にチャレンジして、なかなかうまく写真が撮れず、粘っていたら、結局、3時30分まで外にいました。
ホテルに戻ったのが午前4時。冷え切った体を温めるべく深夜(早朝?)のラーメンをいただきました。
桁違いの星空 これが日本一の星空だ!
僕のつたない写真だとあまり”日本一”感が伝わらないので、悔しいですが、阿智村の方から写真をいただきました。カメラの腕がよければ、こんなにきれいな星空が撮れるんですね。
上の2枚は冬の星空。お次は夏の天の川2連発です。
昼神温泉観光 朝市〜クセが強いおやき屋さん〜絶品信州そば
昨夜は、8時からナイトツアーに行き、一度、宿に戻り、12時30分に星空撮影に出向き、朝4時に帰宿。すぐさま6時に起きて、眠い目をこすりながら名物の昼神温泉朝市へ。
朝市は地元のお母さんやお父さんたちが農産物や加工食品などを売っていて、観光客や地元住民の方々でにぎわっています。
果樹栽培も盛んな長野ですが、これには驚きました。なんと梨が売っていたのです。南水という品種で、収穫が遅いので、冬でも出回っているんだとか。果樹園をやっている売り子のお母さん曰く、「ほとんとが中国向けに出荷されているので、普通のスーパーにはあまり入っていないから珍しいかもしれないね」とのこと。
朝市会場の近くにおいしいおやき屋さんがあるということで立ち寄り、みょうがみそレンコン味をゲット。みょうがのアクセントが大人の味でした。
昼は信州名物のおそばをいただきました。
阿智神社にお参りして帰京
阿智神社がバスの停留所である昼神温泉郷観光案内所のすぐ近くだったので、お参りしてきました。
知恵の神様が祀られているということで、受験期には近隣地域からけっこう参拝客は集まるとか。
まとめ ”星空はおらが村の誇り”となる日まで
日本一の星空はとってもとっても素敵でした。ただ、阿智村は人口6500人ほどの小さい村です。ほかの自治体の例にもれず、ここも過疎化という問題に頭を悩ませています。”日本一の星空”という自然資産をもとにして観光客を呼び込み、雇用を生もうと活動を始めました。2012年に「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」を企画し、2016年には年間11万人が訪れるほどになり、村への経済効果も出ています。星空という夜のコンテンツのため、宿泊しなくてはならず、ホテルや旅館に人は来るようになっています。
ですが、ディナーを食べに行くような飲食店がなかったり、日中をどうすごすかという昼のコンテンツが整備されていなかったりと、まだまだ課題も多くあるようです。とはいえ、地元の人たちのとっては当たり前すぎる夜空が、外の人にとってはキラーコンテンツとなるということが少しずつ村の人にも認識され始めたそうです。地元からの人材の流出を阻止したり、移住者を呼び込むのは雇用が絶対に必要です。星空を軸にした阿智村の動きが今後どのように進んでいくのか、楽しみです。
観光面だけでなく、地元の小学校で天体にまつわる授業をするなど、”星空”という自然資産・文化を地元に根づかせる動きも徐々に始まってきています。”星空はおらが村の誇り”と、阿智村のみなさんが口にする日も遠くはないのかもしれませんね。
ツアーインフォメーション
天空の楽園 Winter Night Tour STARS BY NAKED
開催日時:2017.03.31(Fri)まで
会場:富士見台高原ロープウェイ ヘブンスそのはら
〒395-0304 長野県下伊那郡阿智村智里3731-4
text:george
【PROFILE/george】
茨城県東海村出身の32歳。インテリア雑誌、週刊誌、書籍、ムックの編集を経て、現在Webディレクター。4年前の朝霧ジャムに行って以来、アウトドアにハマる。テントはMSRのエリクサー3、タープはZEROGRAM。車を持っていないので、キャンプに行くときは知人の車に相乗りが常。なので、基本の装備は「軽くコンパクトに、友人の負担にならないこと」が信条