半農半Xとは
みなさんは、「半農半X(はんのうはんえっくす)」という言葉をご存知ですか?
半農半Xとは、田舎に滞在しながら自分の仕事(本業)をリモートワークで継続しつつ、農林漁業など(副業・複業)でも収入を得る働き方のことを指し、1990年代に塩見直紀氏が提唱したライフスタイルと言われています。
半農半Xは令和2年3月に閣議決定された農林水産省「食料・農業・農村基本計画」にも盛り込まれており、農村を支える新たな活力の創出、多様な農への関わりが期待されています。
昨今においては、都会で働く農ある暮らしに関心をもつ若者が増えてきていると同時に、人手不足に悩む農家とのニーズも一致していることから、今後こうした動きは加速すると考えられています。
秋田で取り組む半農半X
こうした中、秋田県では自分の仕事と農林漁業を組み合わせた新しい兼業スタイル「あきた型半農半X」モデルの構築を目指し、令和3年度から調査事業を実施。
秋田県内における農林漁業の労働力不足を克服する一手として、期待が集まっています。
なかでも八峰町観光協会では、これまで8組10名を受け入れ、今後さらに2名を迎える予定となっているなど、順調に半農半Xの実現に貢献しています。
東京都、神奈川県、愛知県、大阪府のほか、秋田県内から応募があり、ITエンジニアやカメラマン、モデル、セノグラファー、ギタリストなど多岐に渡る職業の参加者が半農半Xを体験。
参加者には5万円上限に交通費を助成し、リモートワーク拠点となる宿を提供しています。
農林漁業のアルバイト代は受入先から支給され、参加者には約3週間の滞在期間中、自分の仕事と農林漁業アルバイトをこなしながら、取り組みの様子を情報発信してもらうなどひとつのスタイルとなって半農半Xを進めています。
取り組みによる効果
八峰町半農半Xの体験参加者の中には、単に働き手としてのみならず、自らのスキルや経験をもって地域に貢献したいという想いのある人が存在しています。
例えば、椎茸農家でお手伝いした参加者は、パック詰めされた椎茸のパッケージデザインを提案。
また、冬にやってきた参加者は、田植えを手伝いたい理由から半年後に再訪するなど、体験終了後も参加者と農家がSNSで繋がり続ける様子もうかがえます。
今後さらに半農半Xが切り口となり、付加価値創造のイノベーションや関係人口の創出に貢献してくれるのではと期待されています。
今後の展望
近年では新型コロナウイルス感染症の影響により、フルリモートで勤務するスタイルが急加速しています。
そして都市部に暮らす人にとって居住地と働く場所が同じである必要がなくなった今、地方に拠り所を求める「移業」の流れが現実になりつつあると言われています。
こうした中、都市のニーズと地方の課題を丁寧にマッチングする秋田県八峰町の半農半X的ライフスタイルは、人手不足に悩む農家にとってひとつのモデルケースとなり、大きな成功事例として今後さらに普及してゆくのではないでしょうか。
お問い合わせ
特定非営利活動法人八峰町観光協会
住所:〒018-2509 秋田県山本郡八峰町峰浜沼田字ホンコ谷地57-2
電話:0185-76-4100
FAX:0185-76-3248
メールh-kanko@shirakami.or.jp
第2・4火曜日お休み
文/中山 圭
【Profile / 中山 圭】
東京都立川市出身。広告代理店、出版社2社での広告営業を経て2019年に独立。趣味はルアー釣り、カメラ、音楽(ベース)。学生時代に始めたバス釣りで、2年もの間釣れなかったことから、ルアー釣りにのめり込むことに。ここ数年はバラした70cm以上のGTを追い求めて、南の島遠征を繰り返している。将来の夢は風景写真で入賞を果たすこと。モットーは、“釣果と景色は足で稼ぐべし”。