林業にアイデンティティを持つ上川町
町の南東に大雪山国立公園を有し、町面積の94%を森林が占める自然豊かな町、北海道上川町。
上川町は林業によって栄え、町の基盤がつくられていった町で、木材の運び出しのために建設されたロープウェイが大雪山国立公園の玄関口となる黒岳登山に活用されるなど観光の発展にも林業が深く関係してきました。
しかし、現在の上川町での林業は、外国産材の供給拡大に起因する町産材の競争力低下、担い手不足や整備放棄林の増加といった状況だけでなく、人々の森に対する関心の低下や「林業の町」というイメージが希薄化しているのが現状です。
こうした中、株式会社Pioneerworkは、北海道運輸局が実施する『令和3年度「サステナブルな観光コンテンツ強化事業」林業を柱とした持続可能な観光コンテンツ強化事業』の委託事業者として採択。
「森で遊び、森を育てる」をコンセプトに、北海道上川町の町有林を取り巻く林業・観光・行政の各関係者の皆様と協働して、マウンテンバイク(以下MTB)と森林由来のカーボンクレジットを掛け合わせた、サステナブルツーリズム事業を推進していくこととなりました。
林業・MTB・カーボンクレジットを掛け合わせた価値の創出
上川町では、サステナブルツーリズム事業の一環として、以下の取り組みを行うことを発表しました。
・林業と森林空間を活用したマウンテンバイク(以下MTB等)を組み合わせたサステナブル観光コンテンツの造成
・町産材の高付加価値化
・森林由来のカーボンクレジットの創出
そして、これらを行うことで「観光客・住民の森林保全や資源に対する理解の促進」「森の活用の未来への継続(森に継続的に人が入る)」「収益と知識の森林保全活動への再投資」を目指します。
なかでもMTBとカーボンクレジットを組み合わせたプロジェクトは世界でも例がなく、非常に先進的な取り組みということで注目を集めています。
※本プロジェクトによって創出されるカーボンクレジットを活用して脱炭素化を推進したいと考える企業様からの問い合わせを募集しているとのこと
山林におけるマウンテンバイク導入の意義
上川町の山林には、森林の管理や木材を運び出すための道「森林作業道」が多く存在しています。
しかし、現在は林業自体が衰退傾向にあり、森林作業道も多くが使われない状態のまま。
このような中、森林作業道をMTBでも利用できるものとして再生し、新たな利用機会の創出によって作業道を維持し、森林整備活動にも繋げるということとなりました。
作業道が整備されれば、これまでアクセスできなかった(=施業が行き届かなかった)森の施業も可能となり、結果的に温室効果ガス吸収量増加にも寄与することとなるはずです。
事業目的
多様な体験による「森への関係人口の創出」
林業体験×MTBをコンテンツとした「森を遊び、育てる機会」の創出
森林を活用した新たなマネタイズ手法の創出と付加価値化
サステナブルツーリズム、町産材の高付加価値化、カーボンクレジット
収益や知識の森林や地域社会への還元
新たな収益の森林保全活動への投資、人々の森林資源への理解促進
自律的・持続的な体制づくり
上記の目的と継続・発展させていくための町内・関係者による体制の構築
事業コンセプト
森で遊び、森を育てる
~森の価値最大化によるサステナブルなまちづくり~
お問い合わせ先
株式会社Pioneerwork
info@pioneerwork.co
文/中山 圭
【Profile / 中山 圭】
東京都立川市出身。広告代理店、出版社2社での広告営業を経て2019年に独立。趣味はルアー釣り、カメラ、音楽(ベース)。学生時代に始めたバス釣りで、2年もの間釣れなかったことから、ルアー釣りにのめり込むことに。ここ数年はバラした70cm以上のGTを追い求めて、南の島遠征を繰り返している。将来の夢は風景写真で入賞を果たすこと。モットーは、“釣果と景色は足で稼ぐべし”。