移住するなら海の近く? 山の近く? 住んでみて分かったこと
都会の喧騒から離れ、静かな田舎に移住して第二の人生を送りたいという考えが、若い世代の間でも広まってきています。見ず知らずの土地に移住する場合、住み慣れた現住地からの距離と共に悩むのが、海の近くにするか、山の近くにするか、といった自然環境についてではないでしょうか。
生まれは福島県南会津郡の山の中、育ちは宮城県仙台市の海の近くという生活を経験した筆者が、それぞれの土地のメリット、デメリットをご紹介します。居住経験者が肌で感じた、その土地ならではの素晴らしさもあわせてお伝えしていきますよ。
【海近に移住するメリット1】海と共にある生活
海の近くの生活のいちばんの醍醐味は、やはり広大な海の眺めを身近に感じながら、海と共に生活が送れることではないでしょうか。
日々変化する海の様子や波音を聞いているだけで、生活に心の余裕と潤いが生まれます。刻々と変わる空の色と海の色をただ眺めているだけでも心が癒されます。
【海近に移住するメリット2】海で遊ぶ機会が増える
海の近くで生活をしていると、季節に関わらず自然と海で遊ぶ機会が増えます。
サーフィンや釣りなどのマリンスポーツをされる方はもちろんですが、そうでなくても、砂浜をランニングしたり犬と散歩したりなど、いつもそばに海がある生活を送ることができます。筆者自身も、海遊びをしながら幼少期、少年期、青年期を過ごしました。現在は、子ども達との遊び場でもあります。
【海近に移住するメリット3】美しい朝焼けや夕焼け
仙台市に面する太平洋からは、海からの日の出を見ることができます。山間部の夕焼けや朝焼けもきれいですが、どこまでも続く広い海から昇る朝日や沈む夕日には、また違った良さがあります。
【海近に移住するメリット4】新鮮な海の幸
市場やスーパーに並ぶ魚や貝類は、どれも新鮮で味が全く違います! 筆者も、仙台市へUターン生活をして、常に新鮮で美味しい魚を食べられる幸せを文字どおり噛み締めています。
子ども達は、苦手だった青魚や貝類の料理が食べられるようになりました。旬の魚を買いに市場に出向くのももちろん楽しいですが、釣りたての魚をご近所さんからいただくこともあり、そんなときの喜びは格別です。
海近に移住するデメリットとは
海好きにはメリットの多い海の近くの生活ですが、デメリットや注意点もあります。
まずいちばんに挙げられるのが、海風による「貴金属のサビ」です。長年、海近に住んでいる方の頭を悩ませるのが車のサビ。海風にさらされると、やはりサビやすくなってしまうので、こまめな洗車が欠かせないようです。
そしてもうひとつ、海風で気をつけたいのがその強さです。
仙台市も海から吹く風が強く、海岸沿いの公園へ遊びに行ったり、海遊びをしに行ったりする予定がある際には、外出前に必ず天気予報の風速を確認をします。特に、寒い季節の風は身体を芯から冷やすので、防寒対策が欠かせません。
【山近に移住するメリット1】緑豊かな自然の中での生活
山暮らしのいちばんの醍醐味は、山の様々な表情を身近に感じられるところではないでしょうか。
季節によって色合いを変える木々を眺めながらのハイキングは、まさに「森林浴」という言葉がぴったりです。森林浴は、森林の中を歩くことで精神的な安心感が生まれることから、森林セラピーとも呼ばれています。
小動物や野鳥との出合いがあったり、季節の山菜やキノコ採りをしたりと山暮らしならではの楽しみ方も豊富です。
【山近に移住するメリット2】自家菜園を楽しむ
山の肥沃な土で、家庭菜園を楽しむ方も多いです。趣味に留まらず、地元の産直市場への出荷までしている移住者の方もいるようです。もちろん地元住民のに方は、農家を営んでいる方も多いので、ご近所さんに農作の方法を聞いたりする機会もあるでしょう。
きれいな空気と水の中で育ったとれたての野菜は、それだけで最高のごちそうになります! 畑の中で、もぎたて野菜をガブリッとする楽しみもありますよ。
【山近に移住するメリット3】夏でも涼しい川辺でのレジャー
海遊びに比べて、川遊びは夏でも涼しく快適です。木陰でBBQをしたり、川に入って泳いだり、広大な自然を満喫できますよ。川のせせらぎに耳を傾けながら過ごす休日は最高です。
【山近に移住するメリット4】冬の静寂と、凜とした空気感
暖かい季節に活動していた動物も、冬になるとその息を潜め、山の中は凜とした静けさに包まれます。車や人、動物のいない澄み切った山の中の空気は、心が洗われるようです。
山近のデメリット
山間部で標高の高い場所に移住をすると、やはり積雪の問題が浮上してきます。
筆者の生まれた福島県南会津郡は、全国でも有数の豪雪地帯です。一晩で1mの積雪がある日もあるので、各家庭にも除雪機が欠かせない地域です。
はじめての方は慣れない雪かきに苦戦しますし、雪道の車の運転も危険を伴うので注意が必要です。
そしてもうひとつの注意点としてお伝えしたいのが、山の天気は急変しやすいということ。特に夏は、上昇気流により急速に雲が発達し、天候が崩れやすくなります。
山遊びに出かける際には、空模様の確認を怠らずにしています。
山と海、その土地ならではの楽しみ方を模索しよう
今回は、海の近くと、山の近くのふたつのパターンで移住先の紹介をしました。自然と共に暮らすというライフスタイルでは、自然の豊かさと楽しさを味わうことができるとともに、自然の厳しさにも直面することになります。
どちらもメリットデメリットがありますが、「住めば都」といった言葉もあります。大変な部分も含めて好きになれるような土地に出合えるといいですね。
【PROFILE/さとう あい】
宮城県仙台市在住の料理家。料理教室の運営や、レシピ提案などのフードコーディネーター業をする傍ら、ライターとしても活動中。やんちゃ盛りの2児の母であり、子どもと海や川、山などアウトドアへ出かけ、休日は自然の中で遊ぶのが日課。
【関連記事】移住者インタビュー記事はこちら!
【長崎県平戸市 移住ライフvol.1】きっかけはUターンしていた友人 旅行3日目で移住を決意
福井県大野市移住vol.1/Uターンして地元で野外フェスを企画し1万人を動員
虫が苦手、ガチなアウトドアも無理、お酒も飲めない40目前の会社員がなぜ移住できたのか/宮崎県小林市移住ライフvol.1
【東京・御前崎・白馬乗鞍】スタイリスト野崎美穂さんが営む海と山のデュアルライフ
この記事は2022年の記事を再編集して再掲したものです。