ド定番のシェラカップと注目株のロッキーカップ
キャンプ用品の定番の器といえば、シェラカップを想像する人が多いだろう。対して、コレクターの中で絶大なる人気を誇るロッキーカップは、昨今各アウトドア用品メーカーがこぞって販売する再注目アイテム。
定番のシェラカップと注目度の高いロッキーカップ。この両者はどう違うのか、比べてみた。
シェラカップとロッキーカップの生まれ
シェラカップは、アメリカの自然保護団体・シエラクラブが、設立当初にクラブ会員の証として配られたアメリカ製のカップ。設立は1892年とのことで、じつに100年以上このデザインが継承されている。
対するロッキーカップは、サンディエゴに住んでいたバックパッカーのチャールズ・A・ヒル氏が、シェラカップの形状に不満を持ち、パイントサイズのカップを開発したことが発端。1パイント(アメリカ式)は473mlで、ビールの単位としてよく用いられる。
ちなみに、シェラカップは商標登録をしていないため、どのブランドでもそのまま名称を使用されているが、ロッキーカップは商標登録しているため、厳密には固有名詞になってしまう。
10年を過ぎて存続期間は終了しているので、今はその名称を使ってもいいということになっているらしい。
2つのカップを見比べてみた
ということで、さっそく2つのカップを並べて比べていこう。右のシェラカップはユニフレームの定番「UFシェアカップ300」で、左のロッキーカップは「リサーチ(……. RESEARCH)」のアルコカップ「1/2pt (Mod.)」を使用する。容量の違いは商品によって異なるため、その点はご了承いただきたい。
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まずは上から見た形状。口径の長さはシェラカップのほうが長く、
横から見ると、左のロッキーカップのほうが1cmほど高い。すぼまった形状においては、右のシェラカップは底面に向かってなだらかな角度になっているが、左のロッキーカップは直角とも言える急な角度になっている。
この時点で、シェラカップとロッキーカップとではまったく異なったデザインであることがわかるだろう。
ハンドルデザインも多少異なる。ともにS字カーブを描いた形状だが、右のシェラカップは内側へのうねりが極端についている一方で、左のロッキーカップは緩やかである。この違いがどうなるかというと、シェラカップの場合はうねりの部分に人差し指だけ引っかけ、残りの指は曲げて尾の部分に添えるかたちになるが、ロッキーカップの場合はうねりの部分に人差し指と中指を引っかけ、残りを尾の部分に添えるかたちになる。
これによって、ロッキーカップのほうが中にある程度のものを入れて重くなっても安定して長く持ちやすい。一方で、シェラカップは中にたっぷり入れてしまうと指が痛くなり、長くは持てなくなってしまう。
ハンドルは形状だけでなく、シェラカップのほうが長めに設計されている。個人的には、長いほうが火元から遠くなるため、調理時には指に火が当たりにくくなり、安心して料理が作れるのではないかと感じた。
スタッキングしてみたらどうだろうか。右のシェラカップは隙間なくぴったりと重ねることができたが、ロッキーカップは空間が空いただけでなく、重ねた上のカップがやや揺れてしまう。
ロッキーカップの形状はブランドによって異なるが、シェラカップはある程度均一のデザインになっているので、スタッキングはシェラカップのほうが便利だと感じた。
最後に、ドリンクを飲む際の違いを比べてみた。シェラカップは角度をつけなくてもスムーズに水が口の中へ入っていったが、口径が広いためか水が横に伸びて流れてくるため、口を横に広げないとこぼれてきそうだった。
一方のロッキーカップは、口径と底径の差が少ないため、ある程度の角度をつけないと水が中へ入らない。しかし、口径はシェラカップと比べて短いため、水は少量ずつ口に入ってきて、口を大きく広げなくてもゆっくり飲むことができた。
2つのカップを比べてみた結論
シェラカップとロッキーカップを比べてみた結果、
①重みがある料理やドリンクを入れるならロッキーカップが◎
②スタッキングしやすさ(収納力)ならシェラカップが◎
③少しの角度でラクにドリンクを飲むならシェラカップが◎
④少量ずつドリンクを飲むならロッキーカップが◎
以上のようになった。使い勝手に関しては個人差があるのと、愛用度合いによって「オレはシェラカップじゃないとダメなんだ!」という人もいるので、筆者の検証結果は参考までにしていただきたい。
試しに2種類のカップを使って、使い比べてみてはいかがだろうか。
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商品詳細 ユニフレーム「UFシェアカップ300」
商品詳細 アナルコカップス「1/2pt (Mod.)」
https://sett.co.jp/shop/index.jsp?dir=%2F156%2F157%2F.3532
【文/撮影】小川迪裕
【Profile/小川迪裕(オガワミチヒロ)】
『ロウホウ』代表。雑誌やWEBメディアの編集、
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