子どもと覚えたい、ロープワークの基礎の基礎
アウトドアでも日常でも使えるロープワーク。知っているとカッコいいし、役立つことは間違いありません。
でもいざ、ロープワークに挑戦してみようと手引き書などを手に取ってみると……そのあまりの種類の多さに驚きませんか?
ロープワーク初心者は、「なんだかむずかしそう。いったい何をどれだけ覚えたらいいの?」と感じてしまうかもしれません(なにしろ、私がそうでしたので!)。
そこで、まずは3種類だけ、基本のロープワークを覚えてみませんか?
子どもでもすぐに覚えられる、本当に簡単で使えるものだけを選び抜きました。
アウトドアでも日常でも役立つ、便利なロープワーク3選。気負わずトライしてみてください。
【準備】ロープワークに使うロープ(ひも)を用意しましょう
ロープワークの練習をするのに、特別なロープは必要ありません。まずは家にある手近なロープ(ひも)で、試してみましょう。
手芸用のアクリルひもや、荷造りに使うポリプロピレン製のひも、くつひもなどでも大丈夫です。
実際にアウトドアなどでロープを使用する際は、用途や目的に合わせたものを選びます。
種類はさまざまで、代表的な素材は綿・ポリエステル・ポリエチレン・ナイロン・麻など。
この素材や撚り(より)によって、耐候性、耐水性、耐熱性、耐薬品性などの特性が変わってきます。
例えばタープを張るときには、強度に優れ、使いやすいポリエステル製のものを。園芸用でしたら、熱や摩擦、紫外線に強い天然繊維の麻を。
ホームセンターなどのロープ売り場には特性などの説明書きがあることが多いので、購入される際は探してみてください。
【基本の結び方1】2重8の字結び(エイトノット)
ロープの先に輪っかを作る方法で有名なのが「もやい結び」ですが、大変優れたロープワークである反面、子どもにはなかなか手強い相手のようです。
そこで、今回はもう少し簡単な結び方をご紹介します。
簡単ですが、登山など自分の体重をあずける重要なシーンで利用される、信頼性の高いロープワークです。
ロープは1本、用意してください。
<結び方>
1.折り返したロープの先を2本そろえたまま、写真のようにひねります。
2.上からロープを回します。ロープは2本そろえたままです。
3.左側の穴に、回したロープの先端を入れます。8の字になっているのが分かるでしょうか。
4.引き絞って、完成です。輪っかの大きさは用途によって調整して下さい。
子どもでも覚えるのに苦労しない簡単な結びですが、ものを吊したり、牽引したり、さまざまなシーンで活躍するロープワークです。
【基本の結び方2】つぎ結び(シングルシートベンド)
別々のロープ、違う太さのロープ同士を結ぶことのできるロープワークです。
バリエーションとして、2重つぎ結び(ダブルシートベンド)という方法もありますが、ここではより簡単にできるつぎ結び(シングルシートベンド)をご紹介します。
ロープは2本、用意してください。
ここではわかりやすいよう、色違いのロープで説明していきます。
<結び方>
1.片方のロープの先を折り返します。太さが違う場合は、 太い方のロープを輪の形に折り返してください(写真でいうと黄色いほうです)。
2.つなぐ青いロープを、輪っかの下から通します。
3.ぐるっと黄色いロープ(2本そろえたまま)の下から、手前にくぐらせます。
4.円を描くように、青いロープの下から黄色いロープの上に出るように通します。
5.左右を持って、引き絞れば完成です。写真は引き絞る直前のものなので、もっと、ぐっと引き絞ってください。
ロープの先は、結びから10cm程度、残しておくと安心です。
【基本の結び方3】巻き結び(クローブヒッチ)
どこかにロープを固定したいときなどに、役立つロープワークです。消防士さんたちがよく使う結び方も、これが元になっています。
ブランコを吊り下げたり、ぶら下がって遊ぶときは、巻きを2重にしたり、半巻きを加えたりして信頼性を高めます。ここでは、基本の形のみご紹介します。
ロープは1本、用意してください。
<結び方>
1.結びたい場所に、上からロープをかけます。
2.ぐるっと回して、もう一度上からロープをかけます。
3.中心の交差しているところを、下から通します。
4.引き絞って、完成です。ロープの先は、結びから10cm程度、残しておくと安心です。
結びたい場所が横になっても、もちろん使えますよ。
ロープワークで知っておいてほしい5つの注意点
ロープワークを覚えたら、キャンプに出かけたときなどに使ってみたいですよね。「木にハンモックを吊してみたい」なんてシーンもあるかもしれません。
そこで、アウトドアでロープを使うときに知っておいてほしい注意点が5つあります。
1)ロープは正しく使えば大変便利な道具ですが、長くてからまるという特性を持っています。思わぬ事故につながらぬよう、小さな子どもだけでロープを使って遊ばせるのはやめましょう。
使用するときにはロープの全体をよく把握し、自分だけでなく、周りの人の動きも見ることが必要です。間違っても人を転ばせるような使い方をしないように注意してください。
また、運搬時にほどけて他のものにからまることのないよう、管理にも気を配りましょう。
2)ロープに体重をかけるときは特に慎重に、正しい結び方ができているか点検してください。自分の命をロープにあずけていると考えましょう。
3)木にロープを巻くときは、木全体を見て、枯れ枝があるなどの樹勢の弱い木を避けましょう。
4)木にロープを巻く前に、樹皮の保護(布で養生など)をしましょう。
5)どこでもロープを使っていいわけではありません。家の中以外では、使える場所かどうかを大人と一緒によく確認しましょう。
写真は木を保護するためのツリーウェアの上から、ロープを巻いているところです。固いフェルトと柔らかいフェルトを重ねて自作したものですが、市販品でもツリーウェアは色々な種類があります。
自然の木にロープを結ぶときには、こういった専用の保護パッドがなくとも、布などで樹皮を保護してあげましょう。
まとめ
ロープの使い方を知れば、アウトドアでの遊びはもっと楽しくなります。
その中で、人や自然に迷惑をかけないこと、危険への意識を持っておくことも、どうぞ忘れないでいてください。
もっとたくさんのロープワークを試してみたい方は、本屋さんで自分に合う一冊を探されるのがオススメです。
手引き書は大半が丁寧なイラスト入りで解説されていますから、あまり考え込まず、好きなものからチャレンジしてみるといいでしょう。
ロープワークの達人を目指して、親子で楽しんでみてくださいね。
【PROFILE/天嶺 葵】
アウトドア系フリーライターで、3児の母。海にも山にも出没するママキャンパー。子どもを中心に楽しめる、ファミリーライクなアウトドアライフを提案します。料理、DIYが得意。”ないもの、欲しいものはお金をかけずに作る!”がモットー。