福島は長い歴史をもつ由緒ある地方
福島の歴史はとても長く、旧石器時代にはすでに村を作って生活をしていたとされる。しかし、福島の歴史でもっとも盛んにかつダイナミックに変化したころといえば、平安時代末期から江戸時代末期にかけてだろう。
そこで今回は、福島の歴史を知ることができる観光スポットにフィーチャー。
先日に福島で開催された世界規模のオートキャンプの祭典「FICCオートキャンプ世界大会」で行われたエクスカージョンというプログラムの一環に同行して、実際に回ってみた感想も紹介する。
スポット1:ミュージアム「会津武家屋敷」
最初に向かったのは、会津藩士が住んでいた屋敷(家)を復元し、歴史の資料と合わせて展示する総合ミュージアム。当日は雨だったが、駐車場は満車となり多くの人が来場していた。
ここには、幕末の会津藩家老・西郷頼母(さいごうたのも)を中心とした西郷家が住んでいた家老屋敷(いわゆる武家屋敷)の復元したものが建つ。外国人観光客はその奥ゆかしさに、何枚も写真を撮る姿が見られた。
徳川幕府の直参にして5000石の旗本・松平軍次郎が、代官所として使われていた福島の重要時文化財・旧中畑陣屋も復元して展示。
水車を使った藩米精米所で、実際に水の重みを使って精米するところも見られる。当時は1日で16俵も精米していたそうで、東北でも規模が大きい部類だったそうだ。
そのほかに、当時使われていた本物の家財道具や武器を保管する資料館や、ミュージアム最後にちょこんと建つ茶室「嶺南庵麟閣(れいなんあんりんかく)」もある。
茶室は千利休の子・千少庵が鶴ヶ城本丸内に作った茶室を復元したもので、入り口だけ入ると奥の庭の緑が美しく、ほんのり流れる風が気持ちいい印象だった。
日本茶や茶道といった日本の文化や飲食が注目を集めるなか、このような昔ながらの空間に触れるのは貴重だろう。
会津武家屋敷について詳しく知りたい人はこちらをチェック
http://bukeyashiki.com
スポット2:天守閣「鶴ヶ城」
日本を代表する建物といえば、お城は外せない。今回のエクスカージョンでは、会津若松にある鶴ヶ城というお城へ行った。
この城は、1384年に葦名直盛(あしな なおもり)が前身である東黒川館を建てたのがきっかけ。直盛は鎌倉時代の鎌倉御家人・佐原義連の一族で、鎌倉幕府の中で重要なポストに就く一族でもあった。
しかし、建武年間の動乱によって鎌倉幕府が滅亡したことを機に、葦名氏は会津に戻り、そこで覇権をめぐって一族同士の抗争が起こった。
鎌倉時代から南北朝時代へ変わる1384年、直盛が当時の小田木という場所に東黒川館を築造。紆余曲折しながらも、16世紀の後半には葦名氏が戦国大名となって会津をおさめたとされている。
敷地内には、この鶴ヶ城とその周辺のマップがあり、そこでも歴史を見ることが可能。
また、鶴ヶ城城主の歴代の家紋も展示されるなど豆知識になるポイントもあるので、天守閣だけでなく周辺も見ておくと楽しめる。
鶴ヶ城について詳しく知りたい人はこちらをチェック
http://www.tsurugajo.com/turugajo/shiro-top.html
スポット3:ミュージアム「日新館」
江戸時代に藩士を育てる藩校という学校があり、全国に250ほどあった中でトップクラスの優れた藩校として有名だったのが、この日新館。
当時、数え年で10歳になったら入学することができ、素読と武術を必須科目として多くの授業を受けられた。水練という授業で使われた水練水馬池は、日本で最初のプールとしても有名だ。
「ならぬことは、ならぬのです」という言葉を聞いたことはあるだろうか。
会津の子供たちが必ず所属する地区ごとのグループ・什(じゅう)のルールで、7つの掟に加えてこの言葉が付け加えられたものを「什の掟」という。このルールを守り、会津藩士にふさわしい人物として育っていったとされる。
日新館にはこの掟のわかりやすくした看板があるので、寄った際にはぜひ見ていただきたい。
スポット4:開成山大神宮
最後に紹介するのは、“東北のお伊勢さま”として知られる開成山大神宮。
明治9年(1876年)完成と歴史は浅いが、天照大御神・豊受大神・神倭伊波禮彦命(神武天皇)の御山神を御神徳とし、過去に明治天皇や初代内閣総理大臣の伊藤博文らが親拝に訪れた。
同大神宮では19のご祈祷を受けることができ、一般の人は予約なしで受けることが可能。心願成就を受け、初めて受ける外国人観光客は終始熱い眼差しで神殿を見物していた。
年間行事も豊富なので、福島を観光する際にタイミングがあえば立ち寄ってみてほしい。
開成山大神宮を詳しく知りたい人はこちらをチェック
https://www.kaiseizan.jp
観光は食や絶景スポットだけでなく、その土地の歴史を知るとまたおもしろい面が見られる。福島へ訪れたら、ぜひ歴史の名所を巡ってみてはいかがだろうか。
撮影・文/小川迪裕(オガワミチヒロ)
【Profile/小川迪裕(オガワミチヒロ)】
フリーランス編集者、ライター。得意ジャンルはキャンプとファッションで、雑誌からWEBまで幅広く寄稿する。最近はタブロイドやイベント冊子の製作、イベントの企画、ブランドPRなどもやる何でも屋に。