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キャンプブームはいつからはじまった?第一次・第二次の違いとは

世の中は空前とキャンプブーム

1990年代前半のキャンプブームを第一次ブームというなら、近年のブームは第二次ブームということになります。

では最近になってなぜ再び、キャンプブームの波が訪れたのでしょうか。

ここでは、第一次キャンプブームと第二次キャンプブームについての違いについて考えていきます。

増え続けるキャンプ人口

近年、週末ともなればバーベキュー場には人があふれ、人気のキャンプ場では半年先まで予約でいっぱいなんて状況も珍しくありません。

第一次キャンプブームが訪れた1990年代。その頃のキャンプ人口は、なんと現在の約2倍にもなっています。

キャンプ人口とは年間1泊以上キャンプを行った人のことを指しますが、日本オートキャンプ協会の調査によると第一次キャンプブームのピークである1996年のキャンプ人口は、約1,580万人とたくさんの人がキャンプを楽しんでいました。

第一次キャンプブームは徐々に落ち着きキャンパーの数は徐々に減少していきましたが、2018年頃から第二次キャンプブームが到来。

子どものころ、自分が親と楽しんだキャンプを今度は自分の子どもと一緒に楽しもうとなった結果が、第二次キャンプブームの引き金となったと考えられます。

また、人口比率と並びキャンプブームを後押ししているのが、インターネットの存在です。

いまやほとんどの人が当たり前のように利用しているインターネットですが、第一次キャンプブームが訪れた1990年代前半は、インターネットどころか現代人の生活に欠かせない携帯電話すら、さほど普及していませんでした。

それがインターネットの普及によって、誰でも事前にキャンプについての下調べができるうえに、通販サイトなどを利用すれば必要なアウトドアグッズがいつでも簡単に購入できるようになりました。

また第一次ブーム衰退の影には、1996年がパソコンのOS「Windows95」の発売年であることから、ネット文化の拡大と共に、人々の興味がアウトドアからインドアへと変化していったこともあげられます。

しかしインターネットのすっかり普及した現代では、Twitterやインスタグラムなど、SNSの活用によりキャンプの楽しさや魅力を配信する人たちが増えていることも、第二次キャンプブームに勢いをつけている要因ともいえます。

何が違う?キャンプの第一次ブームと第二次ブーム

第一次ブームと第二次ブームのキャンプの大きな違いは、「一緒にキャンプを楽しむ相手」の違いです。

どちらのブームでも、キャンプの中心は「ファミリー層」が主流ですが、近年ではひとりでキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」が人気を集めています。

さらに、小さなテントが集う様子から、「部族キャンプ」と呼ばれるSNSなどで参加者を募り開催するキャンプなど、第一次キャンプブームの頃とは違った楽しみ方でキャンプを楽しむ人も増えています。

また、キャンプ場ではなくあえて野山でよりハードな野営を楽しむなど、第一次キャンプブームのころとはまったく異なる形のキャンプ形態に興味を持つ人たちが増えたことも、第一次ブームと第二次ブームの大きな違いといえるでしょう。

この好機にキャンプ場もただ黙っているわけではありません。キャンプ場によっては、女性客を取り込みやすいようにシャワールームやトイレを整備したり、女性限定キャンプの開催を行ったりと、集客率アップのために余念がありません。

ちなみに、日本オートキャンプ協会に加盟するキャンプ場の18%が、「外国人利用者が増えた」という印象を持ったと回答しており、その結果、2018年は、1施設当たり平均約60人の外国人客が日本でキャンプを楽しんだということになります。

これも、第一次ブームと第二次ブームの違いともいえますね。

第二次キャンプブームでは女性キャンパーたちも増加

第一次キャンプブームでは女性が一人でキャンプをするのはめずらしいとされていましたが、近年の第二次キャンプブームでは女性のソロキャンパーも増えました。

さらに最近では「キャンプに興味があるけどテントの設営やギアの組み立てがうまくできるか心配」「気軽にアウトドアを楽しみたい」など、アウトドア初心者の女性をターゲットにしたグランピング施設も続々オープンしています。

グランピングは「グラマラス(魅惑的)」と「キャンプ」を掛け合わせた造語で、グランピング施設はキャンプ気分を味わいながらホテルような快適な空間で過ごしたい人を中心に人気を集めています。

日本では2015年に星野リゾートが経営する「星のや富士」がグランピングの認知度を高めたと言われていて、今では全国各地で工夫を凝らしたさまざまなグランピング施設が営業中です。

そもそもキャンプはいつ生まれた?

「キャンプ」という言葉を私たちは当たり前に使っていますが、日本キャンプ協会ではキャンプを「ともに生活し、自然体験をすること」と定義しています。

そして、語源をひもとくとラテン語に行き着きます。語源となった「CAMPUS」はラテン語で「平らな」や「平らな場所」という意味を表す言葉です。

大学や構内などを「キャンパス」とも言いますね。この由来も、キャンプの跡地にローマ大学を建てたことが始まりだと言われています。

ちなみに、「キャンペーン」や「チャンピオン」も実は同じ語源だそうです。

実はもともとは軍事用語だった

「CAMPUS」は古代ローマ時代の練兵場や戦場そのものを指してもいます。キャンプは軍事用語でもあったのです。いまでも、アメリカ軍のベース基地などは”○○キャンプ”という呼称が多く使われています。

古代ローマ時代、平らなところに砦を築き、そこが兵隊の駐在所兼訓練所となったことに由来しています。このことから「共に生活しながら兵隊の訓練をするところ」をCAMPと言い、転じて「仲間と友に生活する」ことにつながりました。

軍事訓練は山の中を移動しながらすることも多く、そのときに野営をしながら訓練を続けます。そして野営のときはテントを設営します。

これらのことから「キャンプ」=「テント設営」につながりました。

テントの始まりは?一番最古の住居は洞窟から

人類の最古の住居は洞窟だったと言われています。まだ火をおこしたり、武器や道具を使うことができなかった時代、人類は猛獣や寒さなどから身を守るために自然に作られた洞窟の中で生活していていました。

そして、火を手にした人類はそこからめまぐるしい進化を遂げます。武器の作り方を覚えたことで狩りをするようになり、農具を作り出したことから農作をすることを覚え、人類は文明を築きあげていきました。

人類は狭い洞窟で過ごす必要がなくなり、川などの水回りに住居を作り、定住をするようになりました。

やがて家畜を飼うことを覚え、家畜のエサの牧草を求めて家畜と一緒に移動する手段として簡易住居のテントが生まれたと言われています。

テントの歴史

テントははじめは狩りで仕留めた獣の皮を使っていたそうです。遊牧民は、持ち運べることが重要であったため、簡単な構造で軽量で強く、設置と解体が容易なテントを重宝していました。農作業や家畜を飼うようになると、ヤギの毛で作った布や麻に変化してきました。

中世に入ると飾りや装飾として天幕が広まっていきました。18世紀に入るとイタリアなどでは玄関や店舗入り口、バルコニーを強い日差しから守るためにテントが使われるようになりました。

このころからカラフルな色合いも増えてきて街の外観にも彩りを与えるようになってきたようです。

そして現在、テント生地の素材はコットンが主流だったものから化学繊維になってきました。

ポリエステルやアクリル素材だと日よけのみだけでなく、雨にも強いことから主流の素材となりました。

日本でのキャンプの始まり

キャンプは遊牧生活や軍事生活ではじまったものですが、19世紀、イギリスで楽しむためのキャンプが生まれました。つまり今で言うアウトドアレジャーです。

産業革命の後、機械工業が発達したことから労働時間が少なくなり所得も増えました。

生活にゆとりができ娯楽を求めた人々は、サイクリングやカヌーなどのアウトドアレジャーを楽しむようになりました。

そして20世紀にはいって自動車が普及するとレジャーキャンプはオートキャンプという形に変わっていきました、オートキャンプが日本で初めて導入されたのは大正時代です。

その後、日本は1960年代の高度経済成長をきっかけに所得が増加し、マイカーの普及などからキャンプを楽しむ人が増えていきました。

1970年代に入ると日本経済が安定し、都市化も急速に進んだこともあり、屋外に出て自然とのふれあいを求めるようになりました。自然の中で過ごすファミリーレジャーとしてのキャンプが一般に浸透していきました。

そしてバブルを経た90年代に爆発的な第一次キャンプブームとなったのです。

バブルが崩壊し、消費が冷え込み、さらに2000年代に入ると娯楽の種類も増えたことで、キャンプ人口が減少したわけです。

2010年代に入ってからは野外フェスや登山ブームでアウトドアに親しむ人が増え、また子どものころにキャンプに触れた人が大人になって、自分でキャンプに行くようになり、現在のキャンプブームにつながっています。

そして、現在は「グルキャン」「ファミキャン」「おしゃキャン」「冬キャン」など、さまざまなスタイルが生まれています。90年代のブームのときはオートキャンプ一辺倒で大がかりなものが主流でしたが、いまは日帰りのデイキャンプ、身軽な装備で楽しむ「ソロキャン」など、気軽に楽しむ人も増えています。

キャンプという言葉を当たり前に使っていましたが、実は長い歳月を経て、今日の形になったのですね。

こうした歴史を知ることで、一味違ったキャンプの楽しみ方が見つかるかもしれません。

語源や歴史を知ることで、キャンプに詳しくなるだけでなく、ちょっとした豆知識として会話のネタに使ってみてはいかがでしょうか。

アウトドアの第一次ブームと第二次ブームの違いはさまざまでしょうが、やはりインターネット、TwitterやインスタグラムなどのSNSの普及が大きく関係していると考えられます。

第一次ブームを衰退させた原因のひとつとされるインターネットの普及ですが、これからの時代は、それらの情報源を上手く活用することで、より楽しいアウトドアを体験することができることでしょう。

今年は、コロナ禍のなか、密を避けられるとしてアウトドアへの注目がよりいっそう高まっています。今後のキャンプブームの動向から目が離せません。

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※この記事は2020年の記事を再編集して再掲したものです。


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