自然を活用するブッシュクラフトとは?
アウトドア界の用語でもある「Bushcraft(ブッシュクラフト)」。意味は、Bush(ブッシュ)=茂み、Craft(クラフト)=工作。茂み、つまり自然の環境を生かして工作すること。ざっくり言えば、装備は必要最低限のシンプルなものに押さえて、自然の中にある素材を活用してアウトドアを楽しむというスタイルのことです。
サバイバルの考えに近いように見えますが、サバイバルは生存脱出をゴールとしています。ブッシュクラフトは、知恵を使って自然の中で生活し、自然を身近に感じようというもの。火おこしやナイフ技術など、自然と暮らす知恵を学び、それを生かして遊ぼうというノリですかね。
火おこし(ファイヤークラフト)の道具・手順をチェック!
自然のなかで暮らす上で最も大事と言っても過言ではないのが火の存在。そこで火おこし(ファイヤークラフト)にチャレンジしてきました。さっそく、どんなツールで、どんな手順でやるのか、おさらいしましょう。
火起こしで使う道具が、下の写真に写っているファイヤスターター。いわば現代版の火打ち石です。とても小さいものなので一家に1つ常備しておくのもいいと思います。
スティック部分がマグネシウムの棒で、それをヘラ(ストライカーとも言う)でこすることで火花を散らせます。うまくいくとブファッと火花が散ります。
徐々に火を大きくするための火種の準備がポイント
この火花で点火して火を大きくしていくのです。このときに大事なのは火種をきちんと準備していくこと。
はじめに火を点けるのは麻ひもをほぐした繊維。麻の繊維→樹皮→小枝→薪というように、徐々に火を大きくしていくのがコツ。いきなり薪に火を点けるのは無理。なので、”火おこしは準備は9割”と言ってもいいくらいとっても準備が重要です。
ファイヤスターターはほん一瞬、火花が散るだけですから、その火で点火し、そのか弱い火が燃えうつるように、火種を準備しておく必要があるのです。
麻の繊維は、極細でよく燃えるものの、すぐに燃え尽きてしまうので、これだけでは実用的な火にはなりません。そこで樹皮をはがして、繊維がバラバラになるように揉んで柔らかくしたものなどが必要です。
ほかにはフェザースティックもとても有効です。
フェザースティックは細い薪の角部分をナイフで羽根状にうすく削り出したもの。薄く削り出すことで着火しやすく加工しています。
筆者も試してみたものの、ナイフの微妙な力加減がうまくできず、フェザーにはほど遠かったです。こういったナイフ技術もブッシュクラフトには欠かせないものだとか。
いざ点火!!
いよいよ点火です。麻の繊維のうえに、樹皮をほぐしたものを重ね、ファイヤスターターで火花を散らすと、麻がファッと燃え上がり、樹皮の細く避けた部分に燃え広がりました。
そしてさきほどのフェザースティックを重ねます。このとき、むやみやたらに重ねればいいというわけではなく、空気が通るように隙間を考えながら重ねるのがポイントです。
初めてだったので一度で火おこしはできなかったですが、2度、3度やるうちにコツをつかみ、火花を大きく出すことに成功。ライターやバーナーではなく、原始的な器具で火を起こすと、徐々に育てていく感覚がたまらなく面白いなと感じました。これはハマります。
ファイヤスターターは、防災時にも活躍してくれるのでキーホルダー感覚で常に携帯していくのもアリだと思います。備えあれば憂いなし。アウトドアも防災もそれは同じこと。ブッシュクラフトの技術は、いざというときのタメにも身につけておいて損はないですね。
text:george
【PROFILE/george】
茨城県東海村出身の34歳。インテリア雑誌、週刊誌、書籍、ムックの編集を経て、現在Webディレクター。7年前の朝霧ジャムに行って以来、アウトドアにハマる。テントはMSRのエリクサー3、タープはZEROGRAM。車を持っていないので、キャンプに行くときは知人の車に相乗りが常。なので、基本の装備は「軽くコンパクトに、友人の負担にならないこと」が信条。