ブランド設立者・椎名哲朗さんのぶっちゃけトーク(3)
アウトドアギア・アパレルの輸入代理店に長く従事し、世界の逸品をよく知る椎名哲朗さん。輸入代理店を退職し、「INGA(インガ)」そして「SPOONFUL(スプーンフル)」を立ち上げた。
道具を知り尽くした男の新しすぎるアイデアを詰め込んだスプーンフルのトートバッグは、斬新がゆえに、時代が追いついてこれないとさえ感じさせる。
だが、いつかはスプーンフルのトートバッグが、街中に溢れる予感さえもする。
椎名さんと古くから付き合いのあるcazual編集部スタッフだからこそ聞けたインタビュー。
椎名さんらしさも表れるいい感じのぶっちゃけトークで展開!
cazual編集部(以下、c) 椎名さんが、日本製にこだわった理由は?
椎 今のアウトドアマーケットって、エコな商材が多くって、リサイクルの素材を使ってというのがひとつのテーマでもあるわけじゃない。でもそんな理念を掲げていながら、遠く離れた海外とかで余計な油を垂れ流しながら作ってるわけよ。
どんなにいい素材を使おうが大量生産して、大量輸送して、大量消費させて、それっていわゆる浪費だよね。
本来は、正しい消費をして、社会を循環させるってことの方が重要であって、そこにはあえてエコな素材を使う必要もなく、正しい量を正しい数だけ販売してればいいだけ。
だから「スプーンフル」は日本で作る。国内で作れば運ぶのだって余計な油を使わないわけじゃん。
c 8号帆布のトートバッグの正しい消費となると……。
椎 アスファルトで引きずるとかしない限りは、一生使えるんじゃないかな(笑)。
c それじゃあ、なかなか儲からなさそうですね(笑)。
椎 アウトドアシーンだけでなく、日常的も全然使えるから。
c マーケットはアウトドアだけじゃないってことですね。
椎 デッカい植木鉢とかを運ぶときには、開いた状態で植木鉢を真ん中に置いて、それからファスナーを閉じる。それで運べちゃう。土が入っててもね。
大工さんが肩に担いでいた角材を運ぶとかもできる。
まずは職人にも使われるような道具になっていければと思ってるんだよね。
アウトドアシーンでは、もっとトートバッグを使う場面を復活させなきゃと思ってて。
キャンプなんかに行くとき、今はみんなキャリーカートとかでキャンプ道具運んじゃうでしょ。重さも感じないで運べてたしかに楽だけど、あれで運んでてもカッコよくない。
キャリーそもそもがデカいでしょ。それだけでクルマん中が一杯になっちゃう。
でもこのバッグだと開放して平らにして置いとける。
普通のマチのあるトートバッグって、キレイに畳めないじゃない。「スプーンフル」のトートバッグだと畳んでしまっておける。
それでいて、たとえば縦型の「エニィデイ」は10インチのダッチオーブンが入る。「ハーベスト」は12インチのダッチオーブンが入るようになってて、「ザ・ウェイト」はマチ幅をボタン留めの上下で変更できるから、上側で留めてマチを広げれば14インチのダッチオーブンがジャストサイズ。
c いい製品だなあって目で見てましたけど、しまっておくときのことまで想定して見てませんでした。たしかにトートバッグって家にあるとき、やけに立体感があって邪魔だったりしますもんね。
椎 トートバッグって長い距離を運ぶものじゃないと思うのね。それよりは短い距離だけど持ちにくいものを運ぶ。
アウトドアの遊びって荷物が多くなるから、クルマで運ぶことが多いじゃない。キャンプ地について、クルマから道具を降ろして人が運ぶ。そんなときに平面に畳んでしまえる「スプーンフル」のトートバッグは活躍するものだよね。
カヤックパドルとか、タープポールとかの長ものをバッグの下だけ開けて貫通させて運んだりとか。
片方だけファスナーを開けて、放り込むように入れるっていうのもできるんだよね。それってクルマから降ろすときだけじゃなくて、家でもできる。
納戸とかウォーキングクローゼットって狭いじゃん。しまってある道具をとりあえずかき集めるとき、開いているところに放り込むようにして入れて、広い部屋で改めて整理するとか。いちいち上から入れてかなくていい。
c なるほど! ほかのトートバッグだと上から入れてかなきゃいけないので、狭いところだと煩わしい作業かも。
椎 キャンプのときだけじゃなく、普段使いでも結構使える。
8号帆布にパラフィン加工してあるから、硬くて立ち上がりがいい。だから部屋において、脱いだ服を入れるランドリーバッグみたいにしても使える。
貯まってきたらバッグごと持って行って洗濯する。
洗濯物を取り込むときも、肩に掛けたまま片方だけファスナーを開けて放り込むように入れてけば早いじゃん。
使い方はいくらでも想像できる。
買ってから使い方を発見できると思う。
使い方コンテストとかやったら、メーカーも思いつかなかったような使い方の発見もあると思うんだけどなあ。
L.L.ビーンのトートバッグは頑丈で、さらに水も運ぶことで、一大センセーションとなり、アウトドア界では長らく重宝された。いまでもアウトドアでの愛用者は多いが、そんなタフな部分を求めない一般ユーザーからも支持されている現状がある。
アウトドア市場より、一般市場の方がマーケットは100倍とかでは利かないほど格段に広い。
エポックメイキングな「スプーンフル」のトートバッグは、L.L.ビーンのトートバッグと同じくらいのインパクトがあり、それでいてファッション性も兼ね備え、商品名にも遊びがあるので、いつか街に溢れるのではないかと想像してしまう。
果たしてそれは、現実となるのだろうか?
ホールドオール
神奈川県逗子市小坪6-5-2
電話 0467-33-7250
メール info@spoonful-tote.jp
スプーンフルホームページ http://www.spoonful-tote.jp
インガホームページ http://www.inga.jp
バッグ時寸法:W44×H37×D22(cm)
展開時寸法:W66×H96(cm)
約35ℓ
http://shop.spoonful-tote.jp/?pid=130160646
text:アマキン
【PROFILE/アマキン】
本業はクリエイター。アウトドアアクティビティ、DIY、クッキングを得意とすると豪語しながら、すべてはプロフェッショナルには遠く及ばない「素人にしては、まあ上手だな」程度のレベル。