いまや寝袋の6割が自社ブランド。ウエアの自社製品比率も増えてきている。
コラボしたいと言う申し出は増えてきているのに、それを請けられない現状がある。
シングルネームでの発売の道筋が見えてきたと横田智之社長が言う。
謙遜しているが、ナンガは、とっくにトップブランドとして君臨している。
製品は、完全に自社工場内でできるんですか?
「ここの中でひと通りできます。ただ現在は、自社の縫製工が30人程度しかいませんので、協力してもらってる工場さんが、近くに5、6社あります」
生地はオリジナルで作ってるんですか?
「生地は、ウチの方でこういったものを今後作って行きたいっていうのを生地屋さんに話して、それに沿ったものを企画してもらって、採用するかしないか決めて行くっていう感じですね」
寝袋って、選び方が難しいんですけど、いいダウンと悪いダウンってあったりするんですか?
「はい。難しいんですよ。
口頭で説明しても絶対伝わらないので、結局使ってもらわないと、よかったかどうかっていうのは判断でしかできないと思うし。
いまどこのブランドでもフィルパワーの数値を謳ってますけど、果たして数値とおりの中身がホンマに入ってるかどうかっていうのは、検査してみないとわからないと思うんです。
ナンガの製品が良いねって言ってもらってるっていうことは、他社の製品がそれよりも良くないってことじゃないですか。
でも他社が謳ってるフィルパワーって、ウチよりも高いんです。
ナンガでは検査機関に出して、フィルパワーを計測してもらってる。その数字を元にカタログベースに落とし込んでるですけど、他社さんも多分同じこと言わはると思うんですよ。
その数字って、ウチが低く言いすぎてるのか、他社が高く言ってるのか、どっちかがウソついてるんことになると思うんですよね。
ほれって、お客さんにはわからない。数字ではわからないから、実際に使ってみないことには……」
一般的にはフィルパワーと、羽毛が何グラム入ってるか、スペックで温かさを予想しますよね?
「それが基準ですよ。お客さんの中には『スペックで買ったけども、ちょっと寒かったよ』とか『でもナンガのは、これよりもスペックが低かったけ温かかったよ』みたいな話になって。
それでウチの知名度が、ちょっとずつ上がっていくっていうような流れになったんやと思うんです」
フィルパワーとか、グラムじゃ選べない。しかも個人個人、体感温度って違いますよね?
「僕が入社してころの話なんですけど、オヤジが営業に行ったときに『これ、何がいいんですか?』って取引先の担当の方に聞かれて、『使えばわかるわ!』って、オヤジが怒るんですよ、『説明できるかあ!』って。
そんなん言われたら向こうも怒りますわね、それで『帰れ』ってなって。
そのあと、僕が謝りに行って、説明させてもらって、一回ぜひ使ってみてご判断くださいみたいにして、オリジナルに採用してもらうんですけど。
いま思えば、オヤジの言っとった一言が、ホントすべてやったなって、近ごろ思うんすよ。
いろんな方とお話ししてて思うことは、使ってもらわなきゃ絶対わかんないんじゃないかな」
ダウンを仕入れるときにも、難しい面がありますか?
「たとえばポーランド産ホワイトグースダウン90%・フェザー10%を使って、製品化しましょうってなるじゃないですか。そのダウンをどのルートでどういう風に仕入れてくるかで、値段全く違うんですよ。同じポーランド産の、メーカーが同じダウンであっても。
でも、品質表示的には同じものなんですよ。
ほんで、フィルパワーを検査すると若干の差がある。それでも10〜20くらいしか変わんないんですよ。フィルパワーは若干でも、値段が全然違う。
企業側としてどっちを買うかって問われたときに、安く仕入れたいもんじゃないですか。
でも僕らは違うんすよ。ここで品質のいいのを仕入れるんですよ。その仕入れた中で、一番下の数字で謳うんです、基本的に。
品質が一番いいものを仕入れて、フィルパワーが絶対に出る数字で謳ってるから、使ってもらったときに『温かいな』って言われる」
もしかして横田智之社長って試験のとき「全然勉強してこなかったよ!」 なんて言いつつ、徹夜でガッツリ勉強してたタイプですか?
知ってるようで知らない寝袋のこと、世界一と名高いNANGAに聞いてきました/その4へ続く
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