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アウトドアを軸に幅広く活動~クリエイティブディレクター/伊藤正裕さん~
静岡県川根本町で運営する不動の滝自然広場オートキャンプ場を核に、『南アルプス マウンテンマラソン』を開催した伊藤さん。初めての大会にして、約1000名が参加するほどの大成功に終わったものの、その運営には大変な苦労があった。
川根本町が持つ自然の豊かさをダイレクトに感じるトレランのコース設定
「コース設定にあたり、地元では当たり前と思っていた自然を見直しました。すると景観がすごくいいんですね。そこで魅力を生かしつつコースを考えたところ、8か所ほど、県や企業・個人、町の所有する土地を走る必要が出てきました。この土地の権利に関わる問題をクリアできたのは、地元の森林組合の副組合長でもあった方が顧問で関わってくれたり、山の会の協力を得られたりしたおかげ。これはすごくラッキーでした」
そこから自分たちで草を刈り、邪魔な石をどかし、倒木を片付けてルートを開拓したりと、大変な苦労の上にコースが完成。町の若い世代の方たちもボランティアとして手伝ってくれたという。
「また、“しまだ大井川マラソン”の救護もしている川根のEMSチームに救護を引き受けてもらえたので、コース全体に無線が届くネットワークが築けたほか、AEDポイントが8カ所確保できました。本当に人に救われた大会でした」
川根本町の活性化の目的
では、最終的な理想の姿を伊藤さんたちはどのように考えているのか?
「川根をリサーチしてよいところを発信していきたいと思っています。アメリカのポートランドや、長野の白馬、神奈川の湘南地域などが注目を集めているのを参考に、地域社会をしっかりと作っていきたいですね。過疎化が進んでいる町をどうやって盛り上げていくのか? 人が増やせない、ランドマークがない。そんなハード面が不足している部分を、ソフトでどうやって盛り上げていくかが課題です」
今後に向けて川根本町のゴールは?
町にどんな魅力があるのか? いま伊藤さんたちが注目しているのはお茶と柚子だ。ともに農業の後継者が少ないため、今後は廃業が続くと予想される。
伊藤さんたちが現在、検討しているのはオーガニックの茶葉で作るハーブティ。さらに地元の柚子のピールを入れることで喜ばれる名物になるのではないかというものだ。
また、漁協と一緒に渓流を使った釣りなどのアクティビティーの提案も進行中。
「少ない人数でどうすれば、大勢の人たちを継続的に呼んでこられるかが課題」と伊藤さん。
一方で、トレイルランの大会の成功を通じ、この町を舞台にして、町が持っている資源を使って、いろいろな提案ができることもわかってきた。
大会が成功を収めたものの、開催時期が紅葉シーズンと重なったため、現場では渋滞、駐車場不足などの問題点も見えてきた。これらを改善しながら、地元との連携を深め、新しい企画を模索する伊藤さんたち。その地元活性化に向けた活動は着実に前進している。
【連載の過去記事はこちら】
【静岡県川根本町vol.1】クリエイティブディレクターがキャンプ場を軸に取り組む、地域の活性化
【静岡県川根本町vol.2】キャンプ場やトレラン大会を企画して、地域を活性化
【静岡県川根本町vol.3】トレラン、渓流、お茶、ゆず…豊かな自然を元に地域の活性化を目指す
text:ビューティフルキャンピング
【PROFILE/ビューティフルキャンピング】
本業はメンズファッション誌、ファッション広告の編集・執筆。2011年春から、キャンプ空間をスタイリッシュに演出する楽しみ方「ビューティフルキャンピング」を広めようと活動中。
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