× CLOSE

【静岡県川根本町vol.2】キャンプ場やトレラン大会を企画して、地域を活性化

vol.1の記事はこちらから

アウトドアを軸に幅広く活動~クリエイティブディレクター/伊藤正裕さん~

東京から静岡県に移り住み、2014年10月に榛原郡川根本町で仲間と不動の滝自然広場オートキャンプ場をオープンさせた伊藤さん。

mamm2016_chabeck-00248

キャンプ場を運営しながら川根本町の魅力を発信したいという思いは持っていたものの、地元の方たちとの関係をなかなか築けなかったそう。オープンから半年ほど経って、地元の人たちとの繋がりを持つために動き出してみると……。

20170209_kawata_kawane_IMG_6659

不動の滝自然広場オートキャンプ場のエントランス。魅力的なデザインに伊藤さんのセンスが光る。

キャンプ場を有効活用するアイデア

キャンプ場オープンから半年後、2015年の春に町の人たちに自分たちが何者で、どんな思いを持ってキャンプ場を運営しているのかを伝えるためのプレゼンを実施。伊藤さんに、そのときの考えを聞いてみた。

「まずはキャンプ場を地域のハブ(ネットワークの中心的な意味)になるところにしたかった。だから地域とつながる必要があったんです。そして、そのために自分たちの考え方を紹介して理解してほしいと思いました」

伊藤さんたちは自己紹介にはじまり、キャンプ場をハブにして、川や水辺、山など川根本町の自然を使ったアクティビティに結びつけられることを提案。地元の人たちが当たり前に見過ごしていた自然は、第三者の目を通すことで資源になると考えていたのだ。特にカルチャーやアクティビティの情報に強い自分たちなら、従来と違う客層にアプローチできるほか、新しい見せ方も思いつく。それが伊藤さんたちの訴えだった。

20170209_kawata_kawane_IMG_2233

不動の滝自然広場オートキャンプ場では夜の演出にもこだわりを感じさせる。

トレイルランニング大会を企画する

「幸運なことにプレゼンの場にオリエンテーリングの競技者でアジアチャンピオンにも輝いた小泉成行さんがいらっしゃいました。また、プレゼンから1年ほど経って、トレイルランナーの望月将悟さんとも知り合うことができました。そこで私たちは2016年4月に川根本町でのトレイルランの大会の企画を持ち上げたのです。小泉さん、望月さんというスペシャリストと出会ったこと、川根本町の自然を生かせることが、トレイルランはぴったりはまると思ったんです

キャンプ場の有効活用のアイデアとして、伊藤さんたちが企画した「南アルプス マウンテンマラソン」。開催は2016年11月20日。準備期間は半年とかなりタイトなスケジュールだった。大会を企画し、いざ町の役場に話を持って行くと、はじめはきょとんとされたが、デザイナーだけあってプレゼン資料の作成はお手のもの。趣旨をきちんと伝えると、町も徐々に協力してくれた。果たして、結果は大成功だった。

20170209_kawata_kawane_chabeck-00121

南アルプス マウンテンマラソンのスタート風景。約940人の参加応募者があり、イベントは大成功。

「商工会、エコティかわね(エコツーリズムを発信する一般社団法人)、そして町が後援をしてくださったこともあり、約940人(実走は830人)のエントリーを達成。招待ランナーを含めると1000人弱の参加があり成功を収めました。過去に川根本町は国体のカヌー会場だったことがあるのですが、そのときに次ぐ動員だったと聞いています。『国体並みに人が来た』と町の人も驚いていました」

開催に際し、不動の滝自然広場オートキャンプ場を含む、町のキャンプ場が生かされた。町には全部で6つのキャンプ場があり、それらがすべて連動。1か所をスタート地点としたほか、もう一か所を前日のイベント会場、残りを宿泊場所とした。

20170209_kawata_kawane_chabeck-00074

町内のキャンプ場が宿泊場所になり、うまく大会とリンクした。

南アルプス マウンテンマラソンを通じて地元にも仲間が増えた

沖縄をはじめ福岡、北海道などからの参加者もあったという大会。「望月さんのような著名なランナーと一緒に走れるなら」という理由で参加した方も多かったそうだ。象徴的な存在に大会運営に加わってもらえたことが成功の要因だったと伊藤さんは振り返る。

いうなれば私はよそものですが、静岡市出身で望月さんは地元が近く、知名度も高い。だから、地元の人と私たちの関係をうまく中和してもらえたと思います」

20170209_kawata_kawane_MIC_0881

著名ランナーと一緒に参加できることもあり、南アルプス マウンテンマラソン参加者の満足度は非常に高かった。

商工会や役場の観光課の人たちは、伊藤さんたちよりも世代が上で、当初はジェネレーションギャップもあったという。しかし、大会を現場でオペレーションしてくれた地元の人たちは同世代。そのため、活動を通じて親交が深まり、仲間が増えていった。

「狭い町なので、地元の人々はみなさん、お知り合い。大会で必要なテーブルやマイクロバスなどは、『公民館にある』『旅館のバスが使える』と必要なモノを近所の方々に用意してもらえました。また、食事は川根本町の婦人部の女性たちが用意してくださった。そうして応援してくれる仲間が徐々に増えていったのです。これは本当にありがたく思っています。大会開催は地元の仲間に入れてもらえるきっかけとしてとてもよかった

トップランナーたちによる雰囲気づくりも好評

このほか、折り返すトップランナーたちがすれ違う一般参加の後続者に声を掛けたり、オフィシャルボランティアとして参加してくれた静岡の人気スポーツ店「アラジン」富士宮の「ATC store」を中心としたトレイルランニングコミュニティの面々がコース内で盛り上げたり。こうした関係者の協力もあり、参加者の満足度は非常に高かった。

20170209_kawata_kawane_chabeck-00169

川根本町の景観の素晴らしさも南アルプスマウンテンマラソンの魅力。


大成功に終わった『南アルプス マウンテンマラソン』。コース設定や大会運営には、さまざまな苦労が……。次回は大会開催の裏話や、地域を盛り上げる今後の施策について話を聞いた。

vol.3に続く】

text:ビューティフルキャンピング
【PROFILE/ビューティフルキャンピング】
本業はメンズファッション誌、ファッション広告の編集・執筆。2011年春から、キャンプ空間をスタイリッシュに演出する楽しみ方「ビューティフルキャンピング」を広めようと活動中。
http://beautifulcamping.net/
https://www.facebook.com/BeautifulCamping


  • この記事が気に入ったらcazual(カズアル)に いいね! / フォロー しよう

  • 漏れない”超精密タンクキャップ”!
  • おすすめ!しょうゆ香るアウトドアソース

クラウドファンディングサイト「Fannova」

クラウドファンディングサイト「Fannova」

L-Breath

新着記事

PAGE TOP
COPYRIGHT © SHUFU TO SEIKATSU SHA CO.,LTD. All rights reserved.