観光だけでは足りない!ぜひ移住先の候補にしたい境港
日本海に面した鳥取県の境港市。漫画家の水木しげるさんの故郷ということで、妖怪の町として知られています。さらに海産物の宝庫で、港町として繁栄している側面もあります。また、国から「西日本の物流拠点」として重要港湾の指定を受けるほど、海外からの船の往来も盛んな場所でもあります。
そんな境港市には、大山(だいせん)という自然豊かな山や、海水を活用した少ししょっぱいみなと温泉など、境港の風土が生み出す観光資源が豊富にあります。
そのため自治体は、魅力的な観光資源を地域活性化の材料としてアピールしています。しかし、筆者は自らの境港での長期間滞在の経験から、観光として訪れるよりも移住目的で訪れることで、この土地の本当の良さを堪能できるのではないかと考えています。境港市が、「観光よりも移住に最適」とはどういうことか。それでは見ていきましょう。
水木しげるロード、実は地域住民にとっての買い物ロード
筆者は6~7年前、取材のため境港市に長期滞在したことがあります。観光地と言えばお土産物店が多く、日常生活で利用できるようなお店は少ないのが基本。食に関しても、観光客向けの凝った料理が多く、すぐに飽きが来てしまうこともしばしばありますよね。
しかし、境港市ではそのように感じることが一切ありませんでした。むしろ、衣食住に関連したスポットが多いことに驚きました。観光スポットとして紹介されている水木しげるロードや水産物直売センター、大漁市場なども、実は地域の方々にとって「夕飯の買い物にふらっと立ち寄ることができる場所」なのです。
特に水木しげるロードは、GWやお盆などには旅行客で賑わいますが、日用品を売っている商店や薬局などが多くあり、普段は地元民の日用品の買い物の場として機能しています。実際、筆者は滞在期間中、帽子や日焼け止め、ちょっとしたお財布など、普段の生活において何かと必要になってくるアイテムをすべて商店街で購入しました。
これは観光客だけをターゲティングしていないからこその機能です。「観光地で暮らす」ことを可能としている境港市の、大きな魅力の一つです。
漁港に並ぶは新鮮なカニ・カニ・カニ
続いて、海産物に注目を。境港市は、カニの水揚げ量日本一を誇ります。境港産のカニは、紅ズワイガニ、松葉ガニともにうま味が濃厚なのが特徴。東京ではぜいたく品であるカニが、市場や直売センターでは当たり前のように売られています。
さらには、漁港周辺の至るところに、名物のカニを使った料理を提供してくれる食事処があります。
ここで当時、筆者が通い詰めたお店をひとつ紹介しましょう。その名も「御食事処弓ヶ浜」。こちらのお店の看板メニューが「かにトロ丼」です。ボイルしたカニの身ととろろを混ぜていただく丼で、カニみそや温泉卵をオプションで付けることができます。カニととろろというシンプルな組み合わせですが、うま味が濃厚な境港産のカニの風味をとろろが引き立ててくれます。口いっぱいに広がるカニの風味は食欲をそそり、何度食べても食べ飽きない不思議な魅力のある丼物です。
境港にはほかにも、通い切れないほどのカニ料理店があるので、ぜひお気に入りのお店の一品を見つけていただきたいです。
疲れたらドライブ気分で名湯へ
境港市内にもみなと温泉があり、疲れをいやすことができますが、当時筆者が通ったのはお隣の米子市内にある皆生温泉(かいけおんせん)です。
皆生温泉は海水が混ざった温泉で、なめると少ししょっぱいのが特徴です。この塩分が肌に栄養を与え、引き締めてくれます。べたつかずいつまでたってもしっとりした肌をキープできる、何とも魅惑的な温泉だったことを今でも覚えています。なお、この温泉を使ったミストも皆生温泉では販売されていて、筆者は当然のことながら購入。夏場の背中のあせも対策に、大いに貢献してくれました。
日常的に上質な温泉に浸かることができる環境は、移住先を決めるうえで重要なポイントになるのではないかと感じます。
結論:手ごろな値段で衣食住を豊かにできるのが境港市
筆者が感じた境港市の移住おすすめポイントはズバリ、カニや温泉といった都会では高級品とされているものを、日常的に堪能できる点だと感じています。
暮らしに根付いた機能が備わる観光スポットだからこそ体感できる、日常の贅沢が境港市での生活にはあります。腰を据えて暮らす移住の候補地の一つに、おすすめしたい場所です。
アイキャッチ画像・文/鈴木香里
その他画像提供/一般社団法人境港観光協会
【PROFILE/鈴木香里】
元テレビディレクター。現在は地方創生系、観光系の記事を中心に執筆するライターです。地域の魅力を発掘し、お伝えする記事を発信していきたいです。
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