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京都の魅力あふれる京町家暮らしをSNSから体験!

「京町家」での生活って?

皆さんは、「京町家(きょうまちや)」をご存じですか?

京町家とは、70年以上前に建てられた京都に存在する木造住宅のこと。伝統軸組構法という金物を使わない建築方法が採用されており、木と木が組み合わさるようにして建てられた、日本の昔ながらの家屋です。近年、京町家のような伝統的な建築物の保存活動が盛んになってきています。

都会暮らしに疲れていた筆者が、京町家暮らしの魅力にとりつかれたのは、とある京町家の中にあるカフェに立ち寄ったことがきっかけでした。少し狭く感じる門からは石畳が続き、玄関へといざなわれます。現代建築では味わえない、木のぬくもりに体が包まれる感覚を経験しました。

京町家の暮らしは、家屋の手入れが必須であるなど、近代建築の暮らしに比べれば少し不便に思えるもの。しかし、そんな暮らしの中だからこそ丁寧に暮らすことの大切さを再認識できます。京町家は、今では賃貸物件も出ており、実は手軽に住むことができるのです。

今回は、「京町家の伝統的な暮らしと文化」をSNS上で発信している、株式会社らくたびの若村亮さんの写真とともに京町家の暮らしをご紹介。些細な日常のスナップ写真から見えてくるのは、古くから日本で受け継がれてきた暮らしの知恵や文化です。京町家の暮らしに興味のある方はぜひ記事をお読みになり、さらなる魅力を知っていただければと思います。

京町家暮らしのプロ・若村亮さん

「京町家の伝統的な暮らしと文化」をSNS上で発信している若村亮さんは、株式会社らくたびの共同設立者。株式会社らくたびは京都旅行企画のプロデュースや、京町家に関わるイベントなどを行い、京都の魅力を全国に発信している会社です。

京都の魅力を知り尽くした若村さんのSNSには、京町家の何気ないスナップ写真がアップされています。若村さんの写真からは、日本文化の繊細さが伝わってきます。昔ながらの日本人の暮らしぶりが、どのようなものなのか。そんな事について想像させてくれる写真の数々は、京町家の暮らしに興味のある方にとっては非常に興味深いものばかりです。

京町家の暮らしその1:四季折々の日本の文化を体感

京町家の暮らしでは、四季折々の日本の文化を体感することができます。

まずこちらは、「軒菖蒲(のきしょうぶ)」という伝統的な飾り物を撮影した写真。5月5日は端午の節句、通称「菖蒲の節句」で、玄関の軒に菖蒲と蓬を吊して飾り、災厄を祓うという古来からの習わしがあります。

京町家での暮らしには、こうした古くからの習わしが今もしっかりと根付いており、住んでいる人はそれを実感することができます。

こちらは、ひなまつりの様子です。

ひな人形の手前にある、おいしそうな和菓子は「引千切(ひちぎり)」というひな祭りに欠かせないお菓子。引千切はもともと、宮中で女性にふるまうお菓子だったそうです。お餅を引きちぎって丸めたことから「引千切」と呼ばれるようになりました。

いまの日本では、伝統的な行事も重要視されない風潮になってきています。京町家での暮らしでは、そんな忘れ去られようとしている習わしや飾りに触れることができるのです。

京町家の暮らしその2:不便だからこそ愛おしくなる家屋

見た目も涼やかなこちらは「葦戸(よしど)」と呼ばれる、夏の京町家に欠かせない建具です。

京町家では、本格的な夏が来る前の毎年6月1日に、建具を冬から夏へ取り替える「建具替え」が行われます。洋服でいう衣替えのようなもので、「しつらえ替え」「模様替え」とも呼ばれているそうです。冬から春にかけて使っていた障子やふすまを風通しの良い葦戸に替え、厳しい京都の夏を乗り切ろうというわけです。

現代建築による家では、このような季節毎の大規模な作業は不要です。ただ、四季を感じられるこの「ひと手間」によって、筆者はよりいっそう京町家への興味がかき立てられます。筆者は過度なクーラーで体調を崩しがちなこともあり、こうした自然の力で涼しくするという工夫に憧れさえも抱きます。建具替えをしても京都の夏はやはり暑く、大変なようですが、現代病とも言える“家電に頼り切った生活”から抜け出すことで、身も心も安定するのではないでしょうか。

京町家の暮らしその3:映える庭が家を快適に保つ

若村さんのSNSでは、美しい庭が多く投稿されています。

この写真の庭は、決して広い庭というわけではありません。しかし、限られた敷地内にバランスよく石灯ろうや手水鉢などが配置され、趣ある空間になっています。このような庭は「坪庭(つぼにわ)」といわれ、通常京町家の奥か中に配置されます。坪庭は観賞するためだけでなく、風通しを良くし、家の中へ光を取り込む役割も兼ねているのです。

夏は坪庭に打ち水をすることで、家の中を涼しく保つことができるそう。日本の趣を感じられる庭ですが、実はそれだけではなく、とても機能性の高いエリアなのです。

京町家の暮らしその4:座敷の飾りつけで住人は個性を表現

京町家の一番奥にある「座敷」は、格式が高い部屋とされています。京町家の主はこの格式が高い部屋を思い思いに飾りつけ、お客様を招き入れた、という文化があるそうです。

ただ快適な暮らしをするだけはなく、空間演出まで楽しめるのが、京町家暮らしの魅力のひとつでもあります。調度品の飾り方ひとつで部屋の趣もがらりと変わります。部屋づくりの楽しさも、京町家暮らしでは欠かせない要素となってくるのです。

昔から伝わる日本の暮らしに立ち返る

最新家電に囲まれた暮らしは確かに快適です。

ただ、少し手間がかかったり不便であったりしても、先人たちの知恵を生かした京町屋での暮らしは、SDGsにもつながると筆者は思います。気候変動などの環境問題が取りざたされている現代。昔から伝わる日本の暮らしに立ち帰ってみませんか。京町家での暮らしは、現代人が忘れかけている大切な暮らしに気づくきっかけとなるかもしれません。

今回は、株式会社らくたびの若村さんのSNSを取り上げましたが、ほかにも京町家の魅力を発信し続けている方々はたくさんいます。些細な日常を垣間見られるSNSで、共感できる暮らしぶりを見つける楽しみを行なってみてはいかがでしょうか。お気に入りの京町家暮らしをのぞき見したあとは、ぜひ実際に京都に足を運んで、京町家の魅力を肌で感じてみてください。

写真提供/らくたび京町家

文/鈴木香里

【PROFILE/鈴木香里】

元テレビディレクター。現在は地方創生系、観光系の記事を中心に執筆するライターです。地域の魅力を発掘し、お伝えする記事を発信していきたいです。

【取材協力:株式会社らくたび】
HP:https://rakutabi.com/
SNS:https://www.instagram.com/ryowakamura/

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