武田信玄の軍も食べていた「ほうとう」
山梨県の郷土料理「ほうとう」は、幅広に切った小麦粉の麺をカボチャや季節の野菜と一緒にみそ汁で煮込んだものです。
農林水産省が主催する「農山漁村の郷土料理百選」の一つに選出され、その名は全国的によく知られています。
カボチャが溶け込んだスープにはふくよかな甘みがあり、とろみのあるスープがからんだほうとう麺は口の中でにじんでいくような柔らかい食感。
素朴でホッとするような優しい味わいがほうとうの魅力です。
ほうとうは簡単かつ短時間で作ることができるうえに栄養満点であるため、かの有名な戦国武将、武田信玄が自分の軍の兵士に食べさせていたことでも知られています。
普通は大きな鍋で作るものですが、今回は容量450mlのチタンマグを使用して作るレシピをご紹介します。
二重構造でないチタンマグはそのままシングルバーナーで加熱できるので、小さな鍋のようにして使用することができます。
もちろんステンレス製のマグや小さめのクッカーで作っても問題ありません。
通常のほうとうより量は少ないですが、サイドメニューやちょっと小腹が空いたときに作る料理としておすすめです。
キャンプ飯のレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
ほうとうに使用する食材
ほうとう麺 50g
カボチャ 50g
白菜 40g
ニンジン 10g
ネギ 5g
みそ 大さじ2
だしの素 小さじ1
水 300ml
ほうとうの麺は店頭で販売されている地域が限られているので、手に入れるためにはネットで購入するのがもっとも簡単です。
もしくはきしめんや普通のうどんで代用しても十分おいしく仕上がります。その場合には最初からゆでられている麺ではなく、生の麺を選んでください。
すべての食材を少しずつしか使用しないので、「このためにわざわざ買うのもな……」と感じる方もいるかもしれません。
その場合には、白菜や人参などが入っている鍋用のカット野菜を使用するのもひとつの手です。
ただし、ほうとうにはカボチャが欠かせないので、カボチャだけはできるだけ用意しましょう。
チタンマグを使ったほうとうの作り方
手順1 野菜をカットする
野菜はすべて小さめにカットします。チタンマグは普通の鍋とちがって口が狭く深いなので、食材を大きくカットしてしまうと食べづらくなってしまいます。
野菜のカットの仕方は以下の通り。
・カボチャは2〜3cmの角切り
・白菜は2×3cmのザク切り
・ニンジンは厚さ3mmのイチョウ切り
・ネギは幅2mmの小口切り
ここまでできたら野菜のカットは完了です。ニンジンもカボチャも皮をむく必要はありません。
キャンプに行ってからこれらの食材を切るのは面倒だという方は、あらかじめ家で切っておき、広口ボトルなどに入れて持っていくというのもいいでしょう。かなりの時短になるうえ、荷物が少なくすみます。
手順2 ほうとう麺とネギ以外の食材をすべて入れて火にかける
チタンマグに水300mlのうちの200mlを入れてだしの素をとかし、カボチャ、白菜、ニンジンをすべて入れます。最初に水を全部入れないのは、ほうとう麺を入れたときにあふれてしまうのを防ぐためです。
食材を入れ終えたら、バーナーを点火します。手軽さを重視するため食材を一気に入れていますが、白菜の食感をシャキシャキにしたい場合には後から入れても大丈夫です。
手順3 沸騰したらほうとう麺を入れる
沸騰したタイミングで、ほうとう麺をほぐしながら入れます。ほうとう麺は下ゆでせず、うっすらと粉がついた生の状態で入れてください。そうすることでスープにとろみが出ておいしくなります。
ゆで時間はほうとう麺のパッケージに書いてある時間に従います。
ふたたび沸騰したら火力を落とし、フツフツとおだやかに沸騰している状態を維持してください。そしてたまにかき混ぜてあげます。
火力が強すぎると底が焦げ付いてしまうので注意しましょう。
手順4 ほうとう麺がゆで上がったら水を足す
ほうとう麺がゆで上がるころには、水がかなり少なくなっています。このままだとスープが少なすぎるので、残っている水100mlを足してください。そして、ふたたび沸騰するのを待ちます。
手順5 みそで味を整えて完成!
仕上げにみそで味を整えます。みそ汁より少し濃いくらいの味付けが目安です。味には好みがあるので、最初から全部を入れず、少しづつ入れて調整していくと失敗しません。
ちょうどよい味になったら、チタンマグの中身をかき混ぜます。このときにカボチャ、白菜、ニンジンをいちばん上に持ってくると見た目がよくなります。
そして、最後にネギを乗せたら完成です。
ホクホクのカボチャ、ツルツルのほうとう麺、そこにシャキシャキのネギが加わり、味だけでなく食感も楽しめるカボチャのほうとうのでき上がりです。
切ってゆでるだけ!ほうとうは超簡単なキャンプ飯
いかがでしょうか。これならキャンプで気軽に作ることができるかと思います。
ほかの料理では食材を入れるタイミングが重要だったり、加熱する時間がシビアだったりしますが、今回のレシピではそういった難しさは一切ありません。
細かいことを気にせずにおいしく作れてしまいます。チタンマグひとつで作るこのキャンプ飯、山梨名物カボチャのほうとうにぜひ挑戦してみてください。
写真・文/斎藤純平
【Profile/斎藤純平】
キャンプ、バイクツーリング、スキューバダイビングを趣味とするアウトドアライター。加えてこれから狩猟を始めようかと画策中。何をするのにも基本的にすべて一人で、キャンプもツーリングも思い立ったら即出発。読み手にとって本当に役に立つ情報を発信します