100年以上もの歴史を持つランタンの名作「FEUERHAND」
「FEUERHAND(フュアハンド)」といえば、某キャンプ芸人が使っていたり、キャンプ場のレンタル品や雑誌の備品などで度々使われたりと、いたるところで見られる有名なランタン。
ライティングの主流は今ではLEDライトだが、燃焼系ランタンには冬だからこそ便利だと感じる点が実はある。
そこで、なぜいまだにフュアハンドの利用者が多いのか、その魅力を実際に使ってみたレビューと合わせて紹介する。
フュアハンドとはどんなブランドか
フュアハンドは、1893年にドイツで創業したランタンブランド。灯油(ケロシン)を燃料にし、手頃な価格と豊富なカラーバリエーションが多くのキャンパーを魅了している。
ちなみに、このランタンのデザインは別名ハリケーンランタンとも呼ばれ、ハリケーンのような悪天候の場面でも使えることから、そう名付けられたそうだ。
フュアハンドが冬キャンプで便利な理由とは
見た目の良さで購入する人も多いフュアハンド。冒頭でも説明したとおり、いまやLEDランタンが主流の時代で、なぜ注目されているのか、考えてみた。
(1)環境に左右されず安定して点灯できる
ライトで人気が高いのは、ガスタイプと電池タイプ。しかし、ガスは寒い場所で液体ガス燃料の気化効率が落ち、火力が弱まる「ドロップダウン」と呼ばれる現象により、寒い場面では使いにくい。
電池も寒い場所では消耗が激しく、短時間で切れてしまうことがよくある。
灯油を燃料としたランタンは、風だけでなく寒さに耐えられる。フュアハンドの火は、光量5W程度と正直小さいものの、ガスや電池より安定して灯せるのが魅力。
両サイドの柱は空洞になっており、上部の煙突から空気が入って下へ流れ、下から空気を押し上げ火を吹き上げる構造が安定性を高めている。そのため、今の時期の寒いキャンプではとても大活躍するのだ。
(2)石油ストーブと併用して使える
冬キャンプで必須のギアといえば、薪ストーブや石油ストーブといった暖房器具。特に石油ストーブは、家でも使えることから互換性があり、初心者キャンパーでも使えることで定評がある。
石油ストーブの燃料は灯油。ということは、フュアハンドにも使うことができるため、燃料を統一して使うことができるメリットがある。
荷物の削減にもつながり、いま人気の軽キャンパーなどにうってつけ。ただし、オイルを入れる際はジョーゴなどを使って、燃料がもれないように入れるようにしよう。
(3)点火・火消しが簡単
フュアハンドの使い方はとても簡単。点火する場合は、まずグローブ(ガラス)の下にあるネジをひねって中の芯を出し、その後、両サイドについているレバーを押し下げてグローブを持ち上げ、トーチなどで芯に火を当てればすぐに点火できる。
点火までの時間は、わずか1分少々。火消しする場合は、芯を中へ引っ込めればすぐに火が消える。暗くなってすぐに明かりを点けたい人にいいだろう。
ガソリンランタンで有名なものといえば、コールマンのホワイト ガソリンランタンがある。こちらはタンクが大きく、ワンマントルランタンの光量は約200CP(130W)で、フュアハンドの20倍くらいに相当する。
しかし、マントルの空焼きやポンピングといった作業が多く、すぐに点火できない点で、フュアハンドのほうが扱いはラクなのだ。
灯油を買うことがない!そんな人のおすすめは?
フュアハンドの燃料は灯油であり、ガソリンスタンドで購入できる灯油でも使うことができると紹介した。
しかし、都内を中心とした住宅地の暖房器具の主流はエアコンであり、これのためにわざわざガソリンスタンドまで出向いて灯油を購入するのは面倒。
そんな人は、アウトドアショップで売っている高濃度のパラフィンオイルがおすすめ。こちらは一般的な灯油と比べて引火点が高く、ススやニオイがほとんどないため、初心者や都心住まいのキャンパーにうってつけ。
また、最近では虫除けハーブを混合したパラフィオイルもあり、夏場の虫除け対策としても活用できる。
フュアハンドでキャンプの夜を明るくしよう
光量は少ないものの、扱いがラクで気候などに左右されずに使えるフュアハンド。冬キャンプではとても便利だが、もちろん夏場のキャンプでもオレンジの灯火に癒され楽しませてくれること間違いなし。
フュアハンドを使って、楽しいキャンプを過ごしてみてはいかがだろうか。
フュアハンド ベイビースペシャル276 詳細
サイズ(約):15×26 cm
重量(約):520g
容量(約):340ml
燃焼時間:20時間以上
明るさ:5W
撮影・文/小川迪裕(オガワミチヒロ)
【Profile/小川迪裕(オガワミチヒロ)】
フリーランス編集者、ライター。得意ジャンルはキャンプとファッションで、雑誌からWEBまで幅広く寄稿する。最近はタブロイドやイベント冊子の製作、イベントの企画、ブランドPRなどもやる何でも屋に。