自然豊かなキャンプ場にいるのは人間だけではありません。鳥や虫などさまざまな生きものがいますが、中には危険な動物もいます。
暖かくなって生きものたちが本格的に動き出す前に、危険生物の種類や対策、対処法などを勉強しておきましょう。
危険度生物の代名詞、出会いたくない獣たち
まずは有名どころから押さえていきましょう。
・クマ
山の中だけでなく人里にまで出没することもあるクマ。日本にいるのはヒグマとツキノワグマの2種類です。
冬は眠っていますが春になると冬眠から目覚め、エサを探しに行動し始めます。そんなときクマとばったり出会い、襲われたらひとたまりもありません。一撃で死んでしまうこともあります。
対策としては腰にクマ避けの鈴やラジオをつけること、エサになりそうな食料や食べ残しを山に捨てないことなどがあります。
また、クマがよく活動するとされる朝方や夕方などの薄暗い時間に出歩かないようにし、まずは出会わないよう気をつけましょう。
万が一クマに出会った場合は決して取り乱して叫んだり、背中を見せて走って逃げないように。
まずは落ち着いてクマから目線を外さず、静かにゆっくり背中を見せないように距離を取りましょう。むやみに刺激しないことが最大のポイントです。
・イノシシ
クマの次に危険度が高いのはイノシシ。よく見られるのはニホンイノシシです。
クマほどの大きさやパワーはありませんが、イノシシの突進も場合によっては一撃で命の危機に。
基本的には出会ってもイノシシのほうから逃げていくことが多いですが、子連れや発情期(秋~冬)は気が立っているので近づかないようにしましょう。
特に、イノシシの子ども(うり坊)がいるときは注意です。近くに必ず母親がいるので、かわいいからと不用意に近づくと攻撃されてしまいます。
イノシシに出会った場合もクマと同じく、落ち着いて背中を見せずに静かにその場から離れるようにしましょう。
棒を振り回したり、石を投げたりとイノシシを追い払う行動は、イノシシにとっては挑発でしかなく、たいへん危険なので絶対にしないようにご注意を。
クマやイノシシなどを避けて山を散歩する際は足元に注意してみましょう。動物のフンや足跡など、動物たちが自然に残した痕跡(フィールドサイン)をヒントに危険を回避してください
足から頭まで要注意な虫など
自然の中には毒を持った生きものも多いです。
・スズメバチ
言わずもなが危険な虫の代表格、スズメバチ。日本には6種のスズメバチがいます。
ハチのなかでも比較的大型で攻撃的な性格です。活発になるのは夏~秋ですが、春も巣作りのため出てきます。
スズメバチの持つ毒針に刺されると腫れや傷みのほかに、吐き気、発汗、頭痛、重度になれば失神や呼吸困難などの症状も見られます。
スズメバチに出会わないようにするためには、何より巣に近づかないこと。
うっかり近づいてしまったとき、まずは働きバチが2~3匹近づいてきてカチカチと音を鳴らしながら周りを飛び始めるので、それをサインに近くに巣があると判断し、来た道を戻れば大丈夫です。
このとき、焦って手で払うなど刺激しないようにしましょう。
クマのような黒色に反応するため、髪の毛を帽子で隠したり、黒っぽい服装を避けるのも対策のひとつです。
また、香水や整髪料の匂いに興奮することもあるので、山に入るときは匂いにも気をつけておきましょう。
もし刺された場合は、刺された部分をつまんで毒を絞り出し、流水で洗ってから傷口を冷やして市販の塗り薬を塗りましょう。
ただ、これはあくまで応急処置です。急にアレルギー反応が出ることがあるので、刺されたら体調の程度に関わらずすぐに病院へ行きましょう。
・ムカデ
キャンプでよく遭遇するムカデも危険性は高いです。
活発になるのは春先~夏。山や森だけでなく、街の石垣や植木鉢にもいる身近な生きものです。
種類によって強さが異なりますがムカデはハチの毒と似たような毒を持っており、噛まれると腫れやかゆみ、しびれやズキズキした痛みなどの症状が出ます。
ムカデに噛まれたときに絶対にやってはいけないことが3つあります。
1)冷やさない
冷やすことで痛みが増し、痙攣や失神など症状が悪化する場合があります。
2)ぬるま湯(約40℃)で温めない
ムカデの毒は噛まれてすぐならば43℃以上のお湯で失活させられますが、ぬるいお湯だと逆効果になり、症状が悪化する場合があります。
3)毒を口で吸い出さない
鋭い爪で皮膚に傷をつけてから噛みついて毒を浸透させるムカデ。その毒を口で吸いだそうとすると、口内の腫れや嘔吐などの危険につながるので絶対にやめましょう。
対処として、熱いお湯があれば理想ですが、出先だと用意が難しいので、まずは噛まれた場所をつまんで毒を出し、傷口にしばらく流水を当てて毒を流し、市販の塗り薬を塗りましょう。
こちらも同じように、噛まれてすぐ症状が出ない場合でも速やかに病院へ行くようにしましょう。
他にもまだまだ危険は潜んでいる…
キャンプ場にはほかにも危険生物がいます。
・ニホンマムシ
ヘビのなかには毒を持った種類もいます。なかでもマムシは日本の各地で見られる身近な毒ヘビ。
比較的大人しいですが、気づかずに踏んでしまって噛まれることがあります。
噛まれると激しい痛みや腫れ、ひどい場合は吐き気や頭痛、発熱、めまいなどの症状が出てきます。
噛まれても急激に毒が回ることはないので、焦らず傷口から毒を絞り出し、すぐに病院へ行けば大丈夫です。
このとき、急いで走って病院へ行こうとしないこと。身体を激しく動かすと毒の回りが早まります。
また、症状が軽くても必ずすぐに病院で診察を受けてください。数時間後に症状が悪化したり、重症化して治りが遅くなる場合があります。
季節によって変わりますが、マダニやイラガの幼虫、植物ではヤマウルシ、ハゼノキなど…危険生物は身近にたくさんいるものです。
特に家族でキャンプへ行く場合は、事前に子どもたちと勉強しておくと安心です。
危険を回避して安全なキャンプを
キャンプで出会える生きものがすべて危険なわけではありませんが、危険かどうか判断できない場合は近づかず、何もしないのがベストです。
思わぬ怪我や事故を回避し、自然や生物にも優しい、安全で楽しいキャンプにしましょう。