福島へ行ったらぜひ食を堪能しよう
福島には奥羽山脈と阿武隈山地という2つの山並みがあり、それを境に会津、中通り、浜通りの3つの地方に分けられている。
それぞれに異なった気候が存在することで食料の生産方法や採れるものが異なるのも興味深いところ。
そんな食に恵まれた福島へ行って、実際に食した食べ物と料理を紹介。福島へ行ったら、ぜひご自身の舌でその魅力を発見してもらいたい。
宝庫の理由1:全国トップレベルの評価を得る「お米」
福島のお米は、コシヒカリのほかに同県オリジナルの天のつぶ、新品種の里山のつぶなど多彩な品種がある。
そんな競合米がひしめくこともあり、一般財団法人 日本穀物検定協会が2018年に実施した米の食味ランキングにおいて、特A(もっとも高い評価)獲得数が全国で山形に並び一番を獲得。
おいしい理由として、7月中旬から9月中旬までの稲が育つ時期に、日中と夜間の寒暖差が大きいことが挙げられる。
全国のスーパーや専門店でも福島のお米は販売されているので手軽に食べられるが、やはり地元で育ちすぐに精米されて作られたお米は、香りがよくツヤがあり、そのまま食べてもおいしく丼物にして食べても味を損なわない。
ちなみに、筆者は鶴ヶ城近くにある鶴ヶ城会館に立ち寄り、わっぱ(輪箱)と呼ばれる杉の板でできた弁当料理「会津わっぱ飯」を食べた。
山菜やタケノコが入った山の幸が豊富で、なおかつ福島産のご飯もたっぷり入っており一瞬で平らげてしまった。福島へ行ったら、福島のお米を味わってもらいたい。
※同協会の評価は味を保証するものではない
鶴ヶ城会館について知りたい人はこちらをチェック
http://tsurukan.com
宝庫の理由2:1年間いろんなものが採れる「果物」
「果樹王国ふくしま」として全国にアピールすることもあり、福島では1年にわたって豊富な果物が採れる。特に全国2位の生産量をほこる桃は、7月〜9月まで約9品種も採れることで知られる。
今回は福島市にあるあづま果樹園で果物狩りを実施。9月に旬を迎えた梨の畑へ行き、たっぷり詰まった水分とほどよく熟した甘みを含んだ梨を堪能した。ちなみに、福島の梨は生産量全国4位だ。
桃や梨、春はサクランボやイチゴ、秋にはブドウやリンゴ(全国5位)が採れる。県内各地に果物畑が点在し、予約をすれば果物狩りをすることも可能。時期を見て新鮮な果物を食べてみてはいかがだろうか。
あづま果樹園について知りたい人はこちらをチェック
http://www.dab.hi-ho.ne.jp/aduma/
果実とお米だけじゃない! 食から見た福島の魅力
福島は果実やお米が圧倒的に有名だが、それだけにあらず100年以上の歴史をもつ食品メーカーや酒造がいくつもある。筆者が今回立ち寄ったのはそのうち2箇所で、1つ目は麹漬けに必要な三五八(さごはち)の素を開発した宝来屋。
同社は1906年に創業した老舗企業で、三五八の素のほかに味噌や甘酒、浅漬けの素といった調味料や飲み物を生産する。麹や味噌にはお米が使われており、福島のおいしいお米が使われていることがわかる。
1993年にはノルウェーに向けて魚漬け込み用として三五八の素を輸出。2012年にはアメリカのサンフランシスコで開催された食の展示会に出展するなど世界へ向けて展開。
現在の主力商品は、味噌と甘酒。特に後者においては2012、2015、2017年に「冷やしあま酒」がモンドセレクションで金賞を3度も受賞する輝かしい実績を残す。
今回は新しいパッケージにリニューアルした「百年糀のあまざけ」を試飲。ほどよい甘さと口当たりのよさが印象に残り、外国人観光客もおいしいと言いながら飲んでいた。
「飲む点滴」と言われる甘酒の本場へ足を運んでみてはどうだろうか。
宝来屋について知りたい人はこちらをチェック
https://www.e-horaiya.com/index.html
2つ目は、江戸時代の1850年に創業した老舗の酒造・末廣。厄除けの効果があるとされる鬼瓦が建物に設置され、嘉永蔵(お酒を作る蔵)が守られてきたと言われる。木造のてっぺんにあるので、訪れた際にはぜひ見てもらいたい。
お酒の原材料は麹や味噌と同じお米が使用されており、こちらでも福島のお米がふんだんに使用されている。
嘉永蔵の中心が、こちらの木造3階建ての建屋。色濃い木の色みと広々とした空間が広がる。この嘉永蔵は、計9つが有形文化財に指定されている。
ここでは1時間程度の酒蔵見学ができ、団体は要予約だが一般の人であれば無料で気軽に見られる。
酒蔵見学が終わると売店へ移動し、末廣を代表するお酒から話題の微発泡酒まで幅広い日本酒を購入できる。試飲コーナーもあり、常時6〜10種類のお酒を無料で飲むことが可能。
ドライバーは飲むことができないが、日本の老舗酒造が作る伝統的な味を堪能してもらいたい。
末廣酒造について知りたい人はこちらをチェック
https://www.sake-suehiro.jp/top.html
福島には、ここで紹介した場所や食材以外にもたくさんの魅力あふれるものが存在する。ぜひ足を運んで自身の感覚でその魅力を発見してほしい。
撮影・文/小川迪裕(オガワミチヒロ)
【Profile/小川迪裕(オガワミチヒロ)】
フリーランス編集者、ライター。得意ジャンルはキャンプとファッションで、雑誌からWEBまで幅広く寄稿する。最近はタブロイドやイベント冊子の製作、イベントの企画、ブランドPRなどもやる何でも屋に。