秋が深まりを感じられる今日このごろ。本格的に紅葉シーズンの到来です! 秋にしか楽しめないものは食をはじめいろいろありますが、景色という点ではやっぱり紅葉が一番のスタンダード。モミジやイチョウなど、さまざまな色に染まる山を見て目で秋を楽しみに行きましょう! 和歌山県内でおすすめの紅葉スポットをまとめました。
江戸時代に作られた名園で紅葉を愛でよう! 紅葉渓庭園
紅葉渓庭園(もみじだにていえん)は、和歌山県を代表する史跡・和歌山城内にある庭園のことです。和歌山城西之丸庭園というのが本当の名前ですが、現在はその美しい景色から紅葉渓庭園という通称で呼ばれることが多いんです。
和歌山城の歴史は、古くは秀吉が紀州を平定したころにまでさかのぼります。雑賀衆と呼ばれる地縁的共同体が自治を行っていたために戦国武将がいなかった和歌山県では、戦国時代には城が築かれることはありませんでした。関ヶ原の戦いの後、現在の本丸や二の丸、西の丸などに屋敷が造営されました。その後、何度かの火事や落雷、戦災による焼失を乗り越え、そのたびに再建され今の姿にいたります。
紅葉渓庭園こと和歌山城西之丸庭園は、江戸時代の初期、紀州藩の藩主であった徳川頼宣が造らせたものです。庭園内には”紅葉渓”の名前のとおり、たくさんのモミジの木が植えられていて、紅葉シーズンには真っ赤に染まった景色を楽しむことができます。
江戸時代初期に作られ、名園と名高かったそうですが、明治維新後は残念ながらしばらく放置され、荒廃していた時期も長くありました。ですが、城郭内に作られた庭園で、今も現存しているものはとても貴重ということで、1970年代から調査と復元・整備がスタート。2006年には御橋廊下も復元され、名園とうたわれていた往時の美しい姿を取り戻しました。
紅葉渓庭園は、紅葉の美しさもさることながら、歴史を感じられる庭園との調和も大きな魅力となっています。紅松庵という茶室ではお茶もいただけますので、庭園の景色を楽しみながら、そして和歌山城の歴史に思いを馳せながらのんびり過ごしてみるのはいかがでしょうか?
見頃は11月中旬から12月上旬ごろ。
INFO
和歌山県和歌山市一番丁3
【電車】南海電鉄和歌山市駅から徒歩10分、またはバスに乗り市役所前下車すぐ。JR和歌山駅からバスに乗り約10分、市役所前下車徒歩すぐ
【車】阪和自動車道和歌山ICから約20分
紅葉渓庭園の情報はこちら>>http://www.wakayamakanko.com/sightseeing/history3.html
日本仏教の聖地が赤く染まる! 高野山
高野山といえば、かの有名な弘法大師空海が開いた真言宗の総本山、金剛峯寺のあるお山として有名ですよね。ルーツは平安時代にまでさかのぼるたいへん由緒正しいお寺で、日本仏教の聖地として知られています。
山の中に作られたお寺は他にもたくさんありますが、それでも普通はお寺といえば本堂を中心として境内の敷地内を指し、山そのものとは区別されます。ですが総本山金剛峯寺では、高野山全体をお寺としています。さすが真言宗の総本山、スケールの大きさも桁違いです。
高野山全体がお寺であり、本堂をはじめさまざまな建造物も山が開かれたなかにありますので、紅葉シーズンにはどこを見ても美しい景色を楽しむことができます。
なかでも、高野山一番の見所でもある壇上伽藍の入り口から東塔付近にまで伸びる「蛇腹路」は、両脇を植え込みと山々の木々に囲まれた、山間ならではのとても美しい小道です。道の脇に映えた木々の枝や葉がまるでアーチのように道を通る人の頭上にまで伸びていて、紅葉シーズンにはとても見応えのある幻想的な景観を作り出しています。
ほかにも、蓮池では橋の上から池と紅葉のコントラストを楽しめますし、紅葉シーズンの夜間にはライトアップもされ、日中とはまた趣の違う紅葉を見ることができます。
さらに、金剛峯寺ではとても広い石庭「蟠龍庭」(ばんりゅうてい)と紅葉の対比が楽しめたり、奥之院の英霊殿では清浄な空気のなかきれいな景色を眺めたりと、同じ紅葉であってもひと味もふた味も異なる印象を得られるはず。神聖な仏教の聖地ならではの紅葉をぜひ味わってみてください。
INFO
和歌山県伊都郡高野町高野山600
【電車】南海高野線極楽橋駅から南海高野山ケーブルで高野山駅下車、南海りんかんバスに乗り、金剛峯寺前停留所下車、徒歩すぐ
【車】京奈和自動車道紀北かつらぎICから約45分
高野山の情報はこちら>>http://www.koyasan.or.jp/
滝、奇岩、磨崖仏! 唯一無二の紅葉に出会える! 奇絶峡
奇絶峡は、和歌山県田辺市にある峡谷で、景勝地として知られています。自然が豊かなエリアで、吉野熊野国立公園の一部にも指定されているほど。春には桜、秋には紅葉が楽しめる魅力的なスポットのひとつです。不動滝という滝もあり、夏にはその涼しい景観を求めて訪ねる人も多いのだとか。
奇絶峡の特色は、豊かな自然だけではありません。険しい絶壁に挟まれた奇絶峡には、巨岩はもとより不思議な形をした奇岩もたくさん並び立っています。自然豊かな土地はほかにもたくさんありますが、こうした奇岩が立ち並ぶ光景は日本ではなかなか見ることのできない貴重なもの。紅葉と一緒に楽しむのもオツなものです。
もうひとつ、奇絶峡の名物といえば不動滝のさらに上方にある一枚岩に刻まれた「磨崖三尊大石仏」です。
磨崖仏とは、その名前の通り自然に出来た岩壁等に直接彫られている仏像のことです。古くは平安時代から作られることもあったそうですが、奇絶峡にあるのは1966年に開眼された新しいもの。不動滝のある場所から100メートルほど登ると間近で見ることができます。
このようなさまざまな特色によって、奇絶峡は全体的になんとも不思議な景観をした峡谷となっています。秋にはこの景観を彩る木々が鮮やかに染まり、また新しい表情を見せてくれるのです。
見頃は11月上旬から11月下旬ごろ。
INFO
和歌山県田辺市秋津川
【電車】JR紀伊田辺駅から龍神バスで約20分、奇絶峡下車すぐ
【車】阪和自動車道南紀田辺ICから約15分
奇絶峡の情報はこちら>>http://www.tanabe-kanko.jp/midokoro/sizen/kizekkyo/
山の中に開かれたお寺、お城の中に作られた庭園、そして自然が作り上げた不思議な峡谷……同じ紅葉スポットといっても、それぞれに全く異なる印象を感じられること間違いなし! ぜひ一度足を運んでみてください。紅葉は、木々そのものの美しさだけを楽しむものではありません。周りの建造物との調和や歴史、自然の持つエネルギーが作り上げた景観とのコントラストなど、さまざまな要素を合わせて味わうものでもあるのです。