ミシン以外の仕事はすべてできるという横田智之社長。
生地の裁断、検品、資材の発注書づくり。
古くから続く歴史ある会社だが、ナンガという寝袋ブランドの黎明期から支えてきたプライドと、その知識が節々に見え隠れする。
そのプライドの表れが永久保証かもしれない。
ダウン製品は、何年かしたら劣化するもんなんですか?
「羽毛自体は劣化しないんですよ。
ただ羽毛に汚れが付着すると保温性が落ちるんです。
良く髪の毛でたとえるんですけど、頭洗ったあとって、フワってしてるじゃないですか。でも次の日、ワックスとかつけるとペタっとするでしょ。『じゃあ、保温性どうなの?』って言われたら、そりゃ、ベタッとしてたらあったかくないですよね。
羽毛も一緒。羽毛自体はもつんですけど、そこに付着する汚れが保温性の妨げになる。洗った後フワっとなる。クリーニングをしっかりとさえすれば、実は羽毛って50年60年も使えるんですよ」
800フィルパワーの製品は、洗えばまた800の数値がでてくる?
「出ます。キレイに洗えば。洗浄過程で、どこで洗浄するかですけど」
家庭での洗浄では、やはり無理がありますか?
「家やと、800フィルパワーのものが何年後かには、700フィルパワーぐらいになってるんじゃないですかね?
やっぱり、落としきれない汚れが残っていくでしょうし」
一般的なクリーニング屋さんでは?
「難しいです。
問題起こして、こっちに製品が帰ってきて、作り直したりっていうのも、何件か年にありますね」
製品になってどこで洗ってもらうのが1番なんですか?
「ナンガで契約してる丸洗いできる洗浄工場が1番いいです。だたし、ジャケットは1枚1,500円(税別)くらいかかります。ですけど、確実にキレイになってきます」
寝袋でもウエアと同じ金額で洗ってもらえるんですか?
「寝袋は、1枚クリーニングするのに5,000円(税別)くらいかかります。
でもナンガ製品の洗濯表記では、ドライクリーニングを推奨してるんです。ウエアとかは特に。
本来は水洗いしてあげた方がきちっと保温性は戻ってくるけど、水洗いは難しい。
羽毛の水洗いも難しいし、生地も難しい。生地のナイロンは水を吸いやすいんですよ。ナイロンは紫外線劣化するので、外で干しておくと生地が劣化するし。表面に撥水してあるけど、4回ぐらい洗っちゃうと撥水レベルが1段下がっちゃうんですよ。
そのメンテナンスまでができるところで洗濯しないと難しいから、全部ドライ表記にしてるんです」
一般の人が、ナンガで契約しているところで洗って欲しいなんて、リクエストはできないんですか?
「言ってもらえればね、できますよ。お預かり期間は2ヶ月ぐらいかな。サービスとしては、あまり僕らも謳ってないですね。あくまでも言われたときには対応するって感じですね」
そういえばナンガって、寝袋のダウンも詰め直してくれるんですよね?
「買った寝袋が寒く感じるようだったら、羽毛を足すことができます。ウエアはできあがったラインに、新たに羽毛を足すことが難しいんですけど、寝袋は縫製上できるんです。
『450グラムのを買ってみたけど、ちょっと寒かったから、やっぱり600グラムがよかったなあ』なんて思ったら、『じゃあ、150グラム足しましょう』っていうのはできます。ダウンの増量分は、グラムごとに有料ですけど」
寝袋のファスナーが壊れたとなれば、工賃は基本的に無料、ファスナー代と送料だけ実費支払いで修理をしてもらえる。
寝袋を15年使い続け、はじめて洗浄を依頼した人もいるという。ナンガが契約している洗浄工場で洗えば、フィルパワーは完全に復活する。
そういったメンテナンス性もふくめると、かなりコストパフォーマンスが高いのもナンガの特徴のひとつ。
永久保証を謳うナンガ寝袋は、品質だけではなく、隠されたジャパンクォリティがパンパンに詰まっているようだ。
<了>
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