ビーンブーツの中でも人気が高いモデル
1912年創業の老舗アウトドアブランド『L.L.Bean(エル・エル・ビーン)』は、ハンターであった創業者がゴム底にレザーを縫いつけたメイン・ハンティング・シュー(ビーン・ブーツ)を発明したことから歴史が始まる。
ビーン・ブーツは、「ハンティング・シューズ」や「ラウンジャー」などいくつか種類があるが、とりわけ人気が高いモデルの一つが「チェルシー」である。
今回は、数量限定で発売されていたメンズモデルを買える機会があったのでレビューしてみる。
エル・エル・ビーンの隠れた名品「チェルシー」とは
エル・エル・ビーンは、フィールド・コートやボート&トートなど名だたる名品を次々に世に送り出している。
しかし、創業から100年経った今でもアメリカ・メイン州にある自社工場で製造しているのは、ビーン・ブーツとボート&トートのみ。
こちらのチェルシーも、自社工場で職人が手作業で作っているこだわりの一品。アジア生産が増えている昨今のシューズとは違い、ブランドの原点が今でも楽しめるのは所有者の気分が上がるポイントだ。
しかも、定番はレディスのみで、メンズは不定期でしか作っていないのだ!
ところでチェルシーという名称は、サイドゴアの別名。
両サイドにゴア(マチ)を付けたデザインを指し、起源は1800年代に英国のヴィクトリア女王のために、脱ぎ履きしやすいブーツを開発したのが始まりとされている。当初は貴族がこぞって履くドレスブーツとして浸透した。
しかし、時代が下って1960年代に入るとビートルズなど有名な人たちが履き始め、次第に若者を中心に流行したことで一般層へ広まっていったそうだ。
エル・エル・ビーンのチェルシーは、ドレス感はないが両サイドにゴムを配して脱ぎ履きしやすい構造を受け継いでいる。
「チェルシー」を細かくチェック
では各部を細かく見ていこう。
アッパーはアメリカ製のフルグレインレザー(耐久性に優れた無加工の牛革)を使用しており、肉厚で丈夫なつくりである。
アッパーとゴム底は三重縫いで固定されており、ハードに使っても外れる心配はなさそうだ。
筆者はいちばん小さいサイズ7(日本サイズでは25.0cm)を購入し、こちらの履き口の直径は12cm。このままでもスムーズに足を入れられるが、両サイドのゴム部を広げればより簡単に足を入れることができる。
また、履き口の前後に指を入れられるループがついており、これによって足を奥までスムーズに入れられる。たとえば雨が降って足や靴下が濡れても、途中で引っかかることもなさそう。
ゴム底はビーンブーツのいちばんの特徴。完全防水でここから水が中へ浸透することはない。耐久性にも優れており、ぬかるみのある場所や不整地を歩いても安定感は抜群だ。
アウトソールは、溝に独自構造のチェーン・パターンを配しており、これによって地面をしっかりとつかんでくれる。ビーン・ブーツが生まれたころから変わらない仕様で、水の上を歩いても滑りにくくなっている。
インソールはクッション性のあるポリウレタンフォームを採用。ある程度の時間歩いても足が疲れにくい。また取り外しが可能で、濡れて乾かすときに便利だ。
実際にチェルシーを履いてみた
ディテールを紹介したところで、今度は実際に足を入れて履いてみた。
靴の高さは19.5cmで、パンツの裾がゴア部を隠すようにかぶさった。靴紐がないので裾を通しやすく、スッキリした見た目である。
ゴム底はやわらかく、指を圧迫することなくラクに歩けた。
ちなみに、履き口は広めになっているので、雨がひどい場合は裾をブーツの中に入れるのもあり。こちらのほうが足首は固定され、筆者にとっては歩きやすくなったように感じた。
使ってみて気になったこと2点
チェルシーはハーフサイズを展開しておらず、厚手のソックスが履けるようにゆったりしたつくりになっている。
正直筆者の足にはやや大きい印象で、歩いた際に若干かかとが浮いたのが気になった。
また、アッパーのレザーは雨や雪を弾くとはいえ、天然ものであるのは間違いない。そのため、使っていくとシミができることが予想される。
気になる場合は、事前に撥水スプレーでコーティングしておくことをオススメする。
どんな服と合わせればいい?
チェルシーは、履き口が広めなのでそれを覆うほどのワイドパンツか、パンツの裾を中に収納できるほどのスリムパンツがおすすめ。
レギュラーパンツ(一般的なサイズ)だと裾がもたつき、歩く際にソックスが見え隠れしてしまう可能性がある。
また、本革を使用しているので、それに合わせてコットン系もしくはウール系の天然素材のパンツを選ぶと統一感が出て、スッキリして見えるだろう。
チェルシーはキャンプでもガンガン使っていきたい
チェルシーは、レザーを使用したクラシカルなデザインではあるが、雨水を中に入れないレインブーツの確かな機能と、クッション性のあるインソールで履き心地も良好。
ラバー部分も高めなので、キャンプで使っても快適だろう。これからガシガシ使っていきたい。
なお、メンズは店頭もしくはオンラインストアにあるぶんで、いったん販売は終了するが、レディスは通年通して販売中。
他の人と異なるレインブーツをお探しの人は、チェックしてみてはいかがだろうか。
エル・エル・ビーン「チェルシー」商品概要
価格:23,100円(税込)
サイズ:7(25.0cm)〜14(32.0cm)
>L.L.Beanの公式サイトで詳細を見る
>L.L.Bean公式ページはこちら