週末だけ都内から離れるという「プチ移住」
筆者が秩父に初めて足を運んだのは、約10年前。テレビ番組の取材で訪れたことがはじまりでした。都心から電車で約2時間というアクセスの良さと、なによりも関東圏内とは思えないほど豊かな自然を誇る地域です。
仕事で訪れて以来、プライベートでも足を運ぶようになり、どんどん秩父の魅力にのめり込んでいきました。ほぼ毎週秩父に足を運びリフレッシュする生活を続けること3年。現在は足を運べていませんが、今思えば当時は短期間滞在を繰り返していて、まさに「プチ移住」だったなと感じます。
移動に負担がなく、加えて大自然の中で思いっきりリフレッシュできることがうれしく、3年も続いたのでしょう。
今回は筆者が体験した「プチ移住」の魅力をご紹介。秩父がプチ移住地として魅力的な理由をお伝えしていきます。
西武線で池袋から2時間、里山の風景が広がる秩父
秩父の大きな魅力のひとつに、豊かな自然があります。関東圏内であるにもかかわらず、電車を降りると広がるのは里山の風景です。古き良き住宅が点々と立ち並び、その地域に暮らす人々もどこかのんびりとした雰囲気があります。仕事に追われ疲弊しきった身も心も、秩父に足を踏み入れれば緊張の糸がほどけリラックスすることができるのです。
筆者のいう「プチ移住」は週末だけ居住地を移動させることです。旅館でのんびり過ごしても良いですし、資金面で余裕のある方はアパートやマンションの一室を借りても良いかもしれません。筆者の場合、行きつけの旅館があり、その宿に通っていました。山に囲まれた場所で、夜になると虫や風の音が心地よく響き渡ります。自然を耳からも感じ取れるのが魅力でした。宿泊先は、費用面でも立地面でも気兼ねなく通える場所がおすすめです。
平日の仕事の疲労は週末の温泉で癒す
心身の疲れを癒すのに欠かせないのが「温泉」ではないでしょうか。旅館に併設されている場合は気軽に楽しめますし、秩父には日帰り温泉施設が多くあります。宿泊しなくても温泉だけ利用できるスポットが点在しているのです。こうした日帰り温泉でさまざまな施設の温泉を堪能することも、ひとつの楽しみとなります。
温泉は無色透明で軽い湯ざわりが特徴です。とにかく湯冷めをせず、温泉に浸かったあとはぽかぽかとした状態がずっと続きます。冬はぬくぬくしながらぐっすり眠りに付けますし、夏場でも暑すぎて目覚めることはなく、寝て起きると体がすっと軽くなっています。
筆者の場合、あまりにも疲労度が高すぎると、温泉に入った際に足がじんじんとすることもありました。急に血行が良くなりじんじんしてしまうようなのですが、翌朝には足の疲れがとれてすっきりしているので不思議です。徹底的に体を回復させたいときに、秩父の温泉はおすすめです。
山に囲まれた中でのバーベキュー
武甲山をはじめとする山々がそびえる秩父では、バンガローなどキャンプを楽しめる施設も多く点在しています。大自然の中でぜひ体験していただきたいのが、バーベキューです。
自然に囲まれた中でのBBQは、格別のおいしさ。加えて、外で過ごす時間を多くとることで開放的な気分になり、ストレスを発散できます。
市街地には大型のスーパーが充実しているので、食材調達も問題ありません。都内よりも安く食材を調達できるのでお得感もあります。たらふく食べて残ってしまった食材も、東京に持ち帰ることができます。
キャンプ施設に設置されているバーベキューコンロを利用してもよし、折りたたみ型のコンロを持参して利用してもよし。ぜひ堪能していただきたい魅力のひとつです。
秩父は川遊びスポットが豊富 夏は川下り
秩父では川下りなどのアトラクションが充実しており、夏場は川遊びが堪能できる地域としても知られています。長瀞のライン下りは有名。ただ、小川もそこここにありますから、一息つきたいときに素足を川に浸けて涼を楽しむこともよいリフレッシュになります。小川のせせらぎの音も心地よく、癒しのひとときが過ごせるはずです。
日々の心身の疲れをリセットするには、自然を堪能できる秩父がおすすめ
プチ移住をうまく進めるポイントとしては「移動が負担にならないこと」、「仕事から完全に離れられる環境であること」があると思います。移動が負担になってしまうと旅行と変わりません。思い立ったら気軽に足を運べるアクセスの良さや価格が重要になってくるでしょう。
また、パソコンのある環境を避けることも重要ではないでしょうか。秩父では大自然の中に身をゆだねるので、場所によっては電波が不安定になります。こうした状況はビジネスを進める場合は不利になりますが、完全に休むためには理想的な環境といえるでしょう。仕事関連の連絡が取れないような場所にあえて身を置くことで、仕事の悩みがうまくリセットでき、次の週の仕事のスイッチが入りやすいのです。
仕事を効率的に進めるためにも、定期的な気晴らしは必要不可欠です。プチ移住であれば移住先で仕事を探す必要もありません。旅行とも違う、安心感が伴う環境変化が楽しめるのです。
どこかへ移住したい、と思っている方も、まずプチ移住というステップから始めて少しずつ地域の魅力を発掘していけば、移住のハードルも下がってくるかもしれませんね。
写真/(一社)埼玉県物産観光協会
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文/鈴木香里
【PROFILE/鈴木香里】
元テレビディレクター。現在は地方創生系、観光系の記事を中心に執筆するライターです。地域の魅力を発掘し、お伝えする記事を発信していきたいです。
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