世界中のバックパッカーを魅了したスノーピーク「ギガパワーストーブ”地”」
世界で一番小さい。
世界で一番軽い。
世界で一番コンパクト。
このキャッチコピーとともに1998年に誕生した、スノーピークのギガパワーストーブ“地”。同年のグッドデザイン賞受賞をはじめ、翌年1999年にはアメリカの権威ある賞EDITOR’S CHOICEを受賞しています。
そして2015年にはさらに名誉ある賞EDITORS’ CHOICE GOLDをあらためて受賞するなど、輝かしい経歴を持つシングルバーナーです。
常識破りなほどのコンパクトさが世界中のバックパッカーを中心に大きな話題を呼び、2021年現在も多くの人の心をとらえて離しません。そんなスノーピークの傑作、ギガパワーストーブ“地”の魅力をお伝えします。
スノーピーク「ギガパワーストーブ”地”」低重心がもたらす抜群の安定感
スノーピーク「ギガパワーストーブ”地”」は、ガスカートリッジの上部に接続する「一体型」のシングルバーナーとして重心がきわめて低い点が特徴です。
内容量110gの小さなガスカートリッジに接続した場合でも、見た目以上にどっしりと安定しています。
そしてゴトクの高さはわずか13cmほど。以前ご紹介したことがある、プリムスの「エッセンシャルトレイルストーブ」とほぼ同じ高さです。
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これほどまでの低重心を可能としているのが、極端に短い混合菅。混合菅とは、空気とガスを混ぜあわせる管のことをいいます。
ガスと空気が十分に混ざらないとまともに燃焼しないため、通常混合菅はある程度の長さが必要となりますが、ギガパワーストーブ“地”はバーナーヘッドの内部にもガスと空気を混ぜる空間を確保し、バーナーヘッド内部で複雑な流れを生み出すことにより、混合菅のショート化に成功しています。
そしてこれこそが、ギガパワーストーブ“地”の開発陣が苦心した部分とのこと。類まれなコンパクトさとすぐれた安定性の裏には、すさまじい挑戦のストーリーが刻まれているのです。
スノーピーク「ギガパワーストーブ”地”」軽量かつ高強度な4本のゴトク
スノーピーク「ギガパワーストーブ”地”」のすぐれた安定性に貢献しているのは、重心の低さだけではありません。ゴトクの作りも大きく影響しています。
軽さと収納時のコンパクトさを考えると、ゴトクは3本のほうが有利です。しかしギガパワーストーブ“地” のゴトクは4本。3本のゴトクと比べ、4本のゴトクは安定性においてはるかに上です。水がたくさん入ったクッカーやケトルを置いても、不安感はありません。
かといって軽さが犠牲になっているかというと、それはちがいます。ゴトクは曲げ加工がほどこされた、直径3mmほどのステンレス棒。十分な強度を確保しながら、軽さと安定性を両立できています。
ゴトクを開閉するときの操作が簡単な点も、スノーピーク「ギガパワーストーブ”地”」の長所だと言えるでしょう。
スノーピーク「ギガパワーストーブ”地”」立ち上がる青い炎が美しい
ギガパワーストーブ“地”が持つ魅力のひとつとして、燃焼時の美しさも挙げられます。バーナーヘッドから青い炎が立ち上がる姿は、まるで小さな花のよう。18個設けられたスリットの1つ1つから、花びらが伸びているように見えます。
バルブを開くほど炎が広がり、それとともに燃焼音は「ゴォー」とたくましい音へと変化。山頂などの静かで肌寒い環境においては、この音がなんともいえない風情を感じさせます。
そして最高出力は2500kcal/h。手のひらサイズのシングルバーナーとしては、十分すぎる火力です。
スノーピーク「ギガパワーストーブ”地”」点火装置は「あり」と「なし」が選べる
ギガパワーストーブ“地”は、点火装置ありと、点火装置なしの2パターンが用意されています。点火装置ありのモデルは「ギガパワーストーブ“地” オート」とモデル名が異なるのが特徴です。
点火装置ありのメリットは、いうまでもなく点火が簡単なこと。ライターを忘れたとき、あるいはライターのガスが切れたときでも安心です。点火装置が破損した場合でも、部品単体で購入できるためそれほど手間なく交換できます。
いっぽうで点火装置なしのメリットは、よりコンパクトで軽いこと。そして見た目がスマートなことです。
点火装置ありのモデルとくらべ、収納時の幅が2〜3mmほど小さく、重量は15gの差があります。そのかわり、点火用のライターやイグナイターを持ち忘れないように気をつけなければなりません。
機能性をとるか、シンプルさをとるか。どちらを選ぶかは、やはりそれぞれの好み次第です。
スノーピーク「ギガパワーストーブ”地”」一切ムダのない完成されたフォルム
手のひらにおさまるコンパクトさ、卵1個分に匹敵する軽さ、4本のゴトクがもたらす安定感、そして十分な火力。ギガパワーストーブ“地”の使い勝手や性能について良いところを挙げようとすれば、いくらでも挙げられます。
しかし2021年現在、それと同じ特徴を持つシングルバーナーは、めずらしくはありません。ギガパワーストーブ“地”よりもコンパクトに収納できる製品も、はるかに高出力な製品もたくさんあります。
しかし今もなお絶大な支持を得ている理由のひとつに、その完成されたフォルムが含まれていることは間違いありません。ただカッコ良くまとまっているだけでなく、小さく折りたたむための仕組みの導入やパーツ選びに対し、余念がないことがよくわかります。
いくつもの画期的な工夫を取り入れ、計算し尽くされたそのフォルムは、一見すると「簡素」に感じられるかもしれません。しかしそう思わせてしまうことこそ、ギガパワーストーブ“地”のすごいところ。そしてスノーピークが持つ、工業デザインにおける卓逸したセンスそのものです。
ただ眺めるだけでもその美しさを感じることはできますが、もっとも輝くのはやはり自然のなか。たった1杯のコーヒーを淹れる短い時間のなかでさえ、その魅力を堪能できます。
もしも今、コンパクトなシングルバーナーを欲しているのであれば、ギガパワーストーブ“地”はぜひ選択肢に入れてほしいアイテムです。長年の人気に裏打ちされた信頼性や、いまだ比類がないキャラクターは、一生のうちに1度試してみる価値があります。
スノーピーク(snow peak)ギガパワーストーブ“地” 詳細
使用時サイズ:106×67.5mm
収納時サイズ:44×35×82mm
重量:75g
最高出力:2500kcal/h
素材:ステンレス、アルミニウム合金、ブラス
価格:4950円(税込)
スノーピーク(snow peak)ギガパワーストーブ“地”オート 詳細
使用時サイズ:106×67.5mm
収納時サイズ:45×37×82mm
重量:90g
最高出力:2500kcal/h
素材:ステンレス、アルミニウム合金、ブラス
価格:6490円(税込)
写真・文/斎藤純平
【Profile/斎藤純平】
キャンプ、バイクツーリング、スキューバダイビングを趣味とするアウトドアライター。加えてこれから狩猟を始めようかと画策中。何をするのにも基本的にすべて一人で、キャンプもツーリングも思い立ったら即出発。読み手にとって本当に役に立つ情報を発信します。
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※この記事は2021年の記事を再編集して再掲したものです。