ダウンジャケットの洗濯、どうしてる?
※この記事は2021年の記事を再編集して再掲したものです。
冬のアウトドアシーンにおいて、もはや必要不可欠なダウンジャケット。
買いたてはフワフワであたたかくても、使用するにつれて身体から分泌される皮脂などがダウンに付着すると羽毛がつぶれたまま戻らなくなり、少しずつ全体のボリュームが失われていきます。
ダウン製品の役割は、体のまわりに厚い空気の層を作って保温すること。そのため、なかに詰められた羽毛のボリュームが減ることは、保温性能の低下に直結する問題なのです。
しかしダウンジャケットを正しい方法で洗えば、失われたボリュームを復活させることができます。
そこでおすすめなのが手洗いです。洗濯機で洗うこともできますが、ダウンジャケットに極力ダメージを与えずにしっかり汚れを落とすには、やはり手洗いがいちばん。
たまった汚れを落とすことで、生地の劣化防止にもつながります。
お気に入りのダウンジャケットを長く愛用するために、洗い方を覚えて適切なお手入れをしてあげましょう。
モンベルのダウン専用洗剤「O.D.メンテナンス ダウンクリーナー」
ダウン製品を洗う際に、普通の洗濯洗剤を使用するのはNG。羽毛に含まれている必要な油分までとってしまうので、逆にボリュームを低下させてしまいます。
そのためダウンジャケットを自分で洗うときは、ダウン専用洗剤を使いましょう。
おすすめのダウン専用洗剤は、モンベルが販売している「O.D.メンテナンス ダウンクリーナー 200mL」。
こちらはしっかり汚れを落としつつ、ダウンのボリュームを回復してくれるダウン専用洗剤です。これ1本で13着のダウンジャケットを洗濯することができます。
価格は700円(税抜)なので、1着あたりのコストはたったの53円。クリーニングに出すと安くても1500円はかかってしまうので、それと比べるとかなり安く済みます。
ダウン専用洗剤はほかのメーカーからも販売されていますが、モンベルのO.D.メンテナンス ダウンクリーナー 200mLは比較的低価格です。
そしてダウンジャケットやダウンシュラフの評判がいいモンベルの製品ということで、安心感もあります。まず、これを選んでおけば間違いありません。
ダウンジャケットの正しい洗い方
1.まずはダウンジャケットの洗濯表示をチェック
すべてのダウンジャケットが手洗いできるわけではありません。製品によっては家庭で洗濯できないものもあります。
そのため、まずはダウンジャケットに縫いつけられている洗濯表示を確認しましょう。
洗濯表示のなかでチェックするのはこの部分です。
このマークに「×」がついていると、家庭での洗濯はできません。
その場合は、クリーニング業者に依頼しましょう。
2.水をためてダウン専用洗剤と混ぜる
バケツ、たらい、洗面台、浴槽などに水をため、適量のダウン専用洗剤を入れてかき混ぜます。
使用する洗剤の量については、洗剤のラベルに記載されている内容を確認してください。
モンベルのダウン専用洗剤の場合は、水15Lに対してキャップ2杯(15mL)です。
ダウンジャケットの色落ちが心配な場合は、目立たない箇所に洗剤を塗り、問題ないかを確かめてから洗うようにしましょう。
3.ダウンジャケットを水に沈めて5分間つけ置きする
ダウンジャケット内の空気をしっかり抜きながら、ダウン専用洗剤を入れた水に沈めます。
空気が残っているとダウンジャケットが水に浮いてしまい、しっかり洗うことができません。
なかなか空気が抜けない場合は、縫い目から抜いてみましょう。縫い目には穴があいているので、簡単に空気を抜くことができます。
4.ダウンジャケットをやさしく押し洗いする
つけ置きによってダウンジャケットのなかに浮いた汚れを、押し洗いで排出させます。
羽毛やダウンジャケットの生地にダメージを与えないよう、力を入れずにやさしく洗うことが大切です。
押し洗いをしていると、水が少しずつ濁っていきます。
見た目ではわからなくても、ダウンジャケットはこんなに汚れているのです。
そのため、ダウン専用洗剤を使用して適度に洗濯をしてあげることがとても大切。
特に真冬のアウトドアで使えるようなダウンジャケットは高価なものが多いため、長く使うためにしっかりメンテナンスしましょう。
5.水がきれいになるまで何度もすすぎ洗いをする
ダウンジャケットの汚れでにごった水をすべて捨て、ふたたびきれいな水をためます。
そしてまたやさしく押し洗いをして、ダウンジャケットのなかに残っている汚れをしっかり排出。
この作業を水が濁らなくなるまで繰り返します。すすぎ洗いは最低でも2回はおこないましょう。
6.洗濯機で1分間脱水する
すすぎ洗いが終わったダウンジャケットを、洗濯槽の壁にピッタリと沿うようにセット。そして脱水コースを選択して起動します。
間違えてそのまま洗濯しないように注意しましょう。
脱水の時間が長いとダウンのかたよりが発生しやすいので、1回の脱水時間は1分にとどめておきます。
1分経過した時点でダウンジャケットを取り出し、脱水の具合を確認。
水が抜けてズッシリとした重みがなくなったらOKです。脱水が足りていないようであれば、さらに1分間脱水しましょう。
7.最後は乾燥機の低温でふっくらと仕上げる
脱水が終わったダウンジャケットを乾燥機に入れ、低温で乾燥させます。
家庭にある乾燥機を使用してもいいのですが、おすすめはコインランドリーの乾燥機。
コインランドリーの乾燥機は家庭用のものよりも大きく、ドラム内でダウンジャケットがよく動くからです。
この動きによって羽毛が広がり、ふっくらと仕上がります。
乾燥が終わったらダウンジャケットを取り出し、仕上がりを確認。
水分が抜けてダウンジャケットの重さがなくなり、しんなりとした状態から、ふんわりとした状態に変わったら完了です。
洗濯前と洗濯後のダウンジャケットを比較
洗う前の状態と、乾燥後の状態の比較がこちら。
洗う前(写真左)と後(写真右)では、ダウンジャケットの厚みがまったく違います。
この厚みこそが、ダウンジャケットにとっての生命線。ボリュームがアップしたことにより、低下していた保温性能も復活します。
ダウンシュラフやダウンコートも同じ方法で洗濯可能
ダウンジャケットだけでなく、ダウンシュラフやダウンコートなども同じ方法で洗うことが可能です。
クリーニングに出すよりコストを抑えられるうえに、毎日洗濯している衣類とは違って驚くほど汚れが落ちるので、洗っていて気持ちよくなります。
よいコンディションを長く維持させるため、しばらく洗っていないダウン製品をていねいに洗ってあげましょう。
その際には正しい手順で進めることと、ダウン製品に適した洗剤を使用することを忘れずに。
ダウンを洗濯して毛が出てきたらどうしたらいい?
力を入れずにダウンを手洗いしても、まれに中の毛が飛び出してきてしまうことがあります。
この場合、そのまま飛び出てきた毛を引っこ抜いてしまうと絡み合った毛がどんどん出てきてしまい、ボリュームが減ったり穴が空いてしまう原因になったりします。
そのため、ダウンを洗濯して毛が出てきた場合は無理に引っ張らず、表面に出てきた毛にガムテープなどを貼って剥がすことで除去するか、出ている箇所の裏側から毛をつまんでウエアの中に戻しましょう。
モンベル(mont-bell) O.D.メンテナンス ダウンクリーナー 200mL
用途:合成繊維製品、天然繊維製品用
液性:中性
内容量:200ml
写真・文/斎藤純平
【Profile/斎藤純平】
キャンプ、バイクツーリング、スキューバダイビングを趣味とするアウトドアライター。加えてこれから狩猟を始めようかと画策中。何をするのにも基本的にすべて一人で、キャンプもツーリングも思い立ったら即出発。読み手にとって本当に役に立つ情報を発信します。