景色の良い場所でコーヒーを飲むためのツーリング
キャンプツーリングやラーメンツーリングとともに、バイクの楽しみ方のひとつとして人気のコーヒーツーリング。
その名の通り、コーヒーを飲むことを目的とするツーリングです。
最高のロケーションを探し求め、たどり着いた先で飲む1杯はまさに格別。「バイクに乗っててよかった!」と感じる瞬間でもあります。
海が見える丘の上や、静寂に包まれる森のなか。
そのような場所であれば缶コーヒーであってもおいしく感じるものですが、やはりその場でいれたコーヒーの味には到底かないません。
しかし自分でいれた最高の1杯を味わうためには、最低限必要な道具というものがあります。その最低限必要な道具が以下の6つ。
- お湯を沸かすための道具
- コーヒーミル
- ドリッパー
- ケトル
- カップ
- ウォーターボトル
これらの6つに分けた道具のなかにもさらにいくつかの種類があり、どのようなスタイルでコーヒーを楽しみたいのかで道具の選び方が変わります。
コーヒーの知識を持っていない方でも自分に最適な道具をチョイスできるように、それぞれの道具の特徴と、どのような方に向いているのかなどを解説します。
お湯を沸かすための道具がまずは必要
コーヒーを作るためには、バーナーなどの水を加熱するための道具が必須となります。
コーヒーツーリング以外にも、景色が良い場所でラーメンを作って食べるラーメンツーリングや、ツーリングとキャンプを一緒に楽しむキャンプツーリングなど、使用する機会が多いアイテムです。
お湯を沸かすための道具として一般的な、3つのアイテムの特徴を解説します。
・シングルバーナー
火力が大きく、調整も簡単。そしてもっとも手軽に扱えるのがシングルバーナーです。
まだ何も持っていない方は、まずはシングルバーナーから手に入れるのがいいでしょう。
国内メーカーの安い製品は3000円ほどで購入することができ、これからコーヒーツーリングやキャンプツーリングをしたいのであれば、ひとつは持っておくべきアイテムといえます。
・焚き火台
焚き火でお湯を沸かすのも楽しいものです。
ひとり用のコンパクトな焚き火台であれば大した荷物にもならず、少しの燃料があればコーヒー1杯分のお湯は簡単に沸かせます。
シングルバーナーよりも手間と時間がかかるので、火をながめながらのんびりとコーヒーを楽しみたい方におすすめです。
・アルコールストーブ
ちょっと扱いにくいところもありますが、独特の風情や面白さを持っているのがアルコールストーブ。
コンパクトで荷物にならないうえ、燃料代が安いのもメリットです。
「シングルバーナーで簡単にお湯を沸かすのは味気ないし、焚き火台は使えるシチュエーションが限られるから面倒だ」
そのような考えを持つ方にとって、アルコールストーブはちょうどいい道具といえます。
コーヒーミルはスリムなものを
粉の状態で販売されているコーヒー豆もありますが、やはりその場で挽いて抽出するのが一番です。
コーヒーミルにもさまざまな種類の製品がありますが、外に持ち出すコーヒーミルは片手で握れるスリムなタイプ一択でしょう。
このタイプはステンレス製のものが多く、ガラスや天然木で作られているコーヒーミルよりはるかに軽量です。
そしてバイクの振動で壊れる心配もいりません。屋外のみならず、家庭においても便利に使うことができます。
ドリッパーは種類が豊富
コーヒーミルで挽いたコーヒー豆を入れ、お湯を注いで抽出(ドリップ)するために使用するのがドリッパーです。
抽出の方法にはたくさんの種類があり、その方法によって使用するドリッパーも変わります。
ここではドリッパーのなかでも一般的なものを3つご紹介します。
・ペーパードリップ用
ペーパードリップはもっともポピュラーな抽出方法。ペーパードリップ用のドリッパーは初心者でも扱いやすく、お手入れも簡単です。
初めてコーヒー用品を買う方は、まずはこのタイプを選択しておけば間違いありません。
ドリッパーのサイズは、1〜2人用と3〜4人用の2通りのサイズが一般的。自分ひとりで使用するのであれば、1〜2人用のものを選びましょう。
・ネルドリップ用
ネルドリップで作ったコーヒーは、ペーパードリップで作ったコーヒーよりまろやかで風味豊かなのが特徴です。道具自体もかなりコンパクトかつ軽量なので、荷物になりません。
しかしフィルターが使い捨てではないため、使用したあとはコーヒー豆を取り出して洗う必要があります。コーヒーツーリングにおいては、その点が唯一のネックとなるでしょう。
・使い捨てタイプ
カップのフチにひっかけて使用する、使い捨てのドリッパーです。
あらかじめコーヒー豆が入った状態で売られているものもありますが、自分で豆を入れて使用するタイプも販売されています。
使用する前は薄く折りたたんだ状態のため、もっともコンパクト。コーヒーを抽出する面白みには欠けますが、手軽さにおいてはダントツです。
可能な限り荷物を少なくしたい方、コーヒーの味にはそれほどこだわらないという方におすすめします。
ケトルは収納性も考えて
お湯を沸かしてドリッパーに注ぐための道具。要するにヤカンです。
コーヒーを上手に作るためには、ケトルの使いやすさは非常に重要。しかし持てる荷物が限られるコーヒーツーリングにおいては、収納性にも着目する必要があります。
・ドリップケトル
濃厚で風味豊かなコーヒーに仕上げるには、お湯の注ぎ方がとても大切。注ぎ口が細くなっているドリップケトルであれば、狙った場所に最適な量のお湯を注ぐことが可能です。
一般的なドリップケトルはバイクに積むには大きすぎますが、なかには1杯用の小さな製品もあります。
そういった小型のドリップケトルであれば、手軽にコーヒーツーリングに持ち出すことができ、抽出にもこだわった最高の1杯を楽しむことができるでしょう。
・アウトドア用ケトル
薄型で収納に便利なのが、アウトドア用ケトルの特徴です。アルミ製のケトルであれば、重さはせいぜい200gと軽量なのも大きなメリット。
しかし注ぎ口が太いため、注ぐお湯の量を微調整するのが難しいというデメリットもあります。
アウトドア用ケトルで濃厚なコーヒーを作るには、かなりの慣れが必要です。
カップはデザインにもこだわろう
コーヒーを最大限楽しむためには、カップにもこだわりを持ちたいところ。カップの素材や構造の違いに着目するだけでなく、好きなデザインのものを選びましょう。
お気に入りのカップを使用するだけで、コーヒーブレイクの時間がよりいっそう楽しく感じられます。
・ダブルウォールマグ
二重構造のダブルウォールマグは、保温性に優れているため寒い時期であってもコーヒーが冷めません。外側が熱くならないため、持つのがラクというメリットもあります。
一方で、ダブルウォールマグは少々重いのがデメリット。少しくらいなら重くなってもいいという方にはかなりおすすめのタイプです。
・シングルウォールマグ
シングルウォールマグはダブルウォールマグに保温性で劣るものの、軽量であることや、マグ自体を加熱できるというすぐれている部分もあります。
チタン製のシングルウォールマグは飛び抜けて軽量ですが、かなり薄い素材で作られているため熱が伝わりやすいのが特徴。熱々のコーヒーを飲むときは、唇にヤケドを負わないよう注意しましょう。
・マグカップ
ある程度の保温がきき、金属特有の味や匂いもしないので、コーヒーの風味を最大限味わうことができるのがマグカップの良いところ。
重いうえに割れる可能性もありますが、そういったデメリットを受け入れてまで、気に入っているマグカップを使用するというこだわりがあってもいいと思います。
ウォーターボトルは保険として持っておく
ツーリングの道中でミネラルウォーターを購入するのであれば必要ありません。しかし、「この場所でコーヒーを飲みたい!」と思った場所の周辺でコンビニが見つからない場合もあります。
出発の段階からボトルに入れた水を用意しておけば、そのような困りごとは回避することが可能です。
そしてウォーターボトルは、飲み口が広いものを選ぶのが得策。湧き水を汲むのに都合が良いうえに、余ったお湯を戻すのも簡単です。
結局はどこで飲むかがもっとも重要
おいしいコーヒーを作るために、道具や抽出のしかたにこだわるのもひとつの楽しみ方。
しかしコーヒーの味を極めるのではなく、あくまでコーヒーツーリングを楽しみたいのであれば、ロケーションがもっとも重要であると考えます。
バイクだからこそたどり着ける場所。
そこから見える景色が、何よりもコーヒー1杯にかける時間を豊かなものにしてくれます。
コーヒーツーリングはバイク乗りの特権。
バイクに乗っているすべての方に、この素晴らしさを体験して欲しいと感じます。
写真・文/斎藤純平
【Profile/斎藤純平】
キャンプ、バイクツーリング、スキューバダイビングを趣味とするアウトドアライター。加えてこれから狩猟を始めようかと画策中。何をするのにも基本的にすべて一人で、キャンプもツーリングも思い立ったら即出発。読み手にとって本当に役に立つ情報を発信します。