写真家エバレット・ブラウンさんと料理研究家中島デコさんが自然に囲まれた暮らしをするため、千葉県いすみ市に移住したのが1999年のこと。もともとあった古民家を改築しながら、田んぼを作って稲を植え、畑では野菜を育てる暮らし。早くも17年の月日が流れました。ふたりの引越し先に、食を中心として、自然と繋がった暮らしをしたいと考える人が集うようになったそうです。そこがブラウンズフィールド。
農園ではオーガニックな米と野菜を育てています。暮らしそのものもオーガニック。日本の食卓には欠かせない味噌やしょう油、さらに調味料として発酵食品も自分たちの農園から収穫した材料で手作りしているのです。
そんなブラウンズフィールドで日々心がけている「自然の中にあるものを活かす、無駄にしない」取り組みを肌で感じることができるのがサスティナブルスクール。全6回開催されるスクールの、9月中旬に開催された稲刈りの日にお邪魔させていただきました。
サスティナブルとは「持続可能であることがら」です。生活におけるサスティナブルとなると、自然との共存を抜きには考えられません。
ブラウンズフィールドによると『マクロビオティックの“一物全体”を、“種を蒔き、土に触れ、自らの手をかけて育て、料理して、まるごとおいしくいただくこと”を通して、自分にとっての「サスティナブル」とは?を考える第1歩にして頂く連続スクール』がそのサスティナブルスクールにあたるのです。
参加者は鎌を片手に田んぼへと入っていきます。
今年は日本各地で台風被害、水害、天候不順が続きました。ブラウンズフィールドのある千葉県いすみ市の農作物も例に漏れず、大変な被害を被ったそうです。もちろんブラウンズフィールドにも同じように台風が襲ってきました。
ところが、田んぼも畑も甘やかさないオーガニックな育成方法を取っていたため、農作物が台風に負けなかったそうです。近所の田んぼでは稲が倒れてしまっているのに、ブラウンズフィールドの稲はピンピンしていたのです。
稲をひと束刈り取り、さらにもうひと束刈る。そしてふた束をクロスさせて束ます。
稲を刈る人、刈り取った稲を運ぶ人、運ばれてきた稲を干す人。
誰かに指示されたわけでもないのに、足りない人手を把握しながら、先ほど顔を合わせた同士が、みごとに分業していくのです。
ただ雑に刈り取っているのではありません。
稲の穂についている黒い塊に注意しながら、丁寧に刈り、束ねていくのです。
これは米麹。この麹から味噌やしょう油を作るのです。
米麹は貴重だし、大切。とても機械を使った稲刈りはできません。
いまや刈った稲も機械で乾燥させますが、ブラウンズフィールドでは天日干しして、米本来のうまさを引き出します。
『自然の恵みを育み、収穫し、加工して、丸ごといただく』という都会生活ではないがしろになっていることに、ここではみんなで力を合わせ、稲刈りに没頭します。
稲刈りをはじめるまえは空だった棚も、わずか数時間で稲でいっぱいになります。
太陽がてっぺんに来るころには、作業を終了します。
そして参加者のみなさんが持ち寄ったおかずをおすそ分けし合いながら、それぞれのランチプレーをを作っていきます。
煮物を作ってきてくれる人。
たくさんのおむすびを握ってきてくれる人。
お料理上手な参加者がいれば、キッシュなんておしゃれなレシピも並びます。
自分ひとりで作るのは1品だけど、たくさんの人が持ち寄るので、ランチはとても豪華になります。
次の週末、10月15日(土)~16日(日)にもサスティナブルスクールは開催されます。ご興味のある方は、参加されてみてはいかがでしょうか。
またブラウンズフィールドでは出版部門を立ち上げ、ここでの暮らし方・生き方をまとめた本BF Books『ブラウンズフィールドの丸いテーブル』(11月29日発売予定)が出版されます。
現在先行予約受付開始中です。こちらもぜひ!
photo:ULALA
text:アマキン
【PROFILE/アマキン】
本業はクリエイター。アウトドアアクティビティ、DIY、クッキングを得意とすると豪語しながら、すべてはプロフェッショナルには遠く及ばない「素人にしては、まあ上手だな」程度のレベル。