昨年夏にオープンした山梨県富士河口湖町にあるアウトドアリゾート「PICA Fujiyama(ピカ フジヤマ)」。こちらは山梨県を中心にさまざまなアウトドア施設などを手掛ける、「PICA(ピカ)」の最新リゾート。上質なアウトドアを体験できると聞いて、さっそく取材に出かけてみた。
富士山の麓に5万㎡のアウトドアリゾート施設が誕生
中央自動車道・河口湖インターチェンジを降りて10分ほど走ると、「ピカ フジヤマ」の入り口が見えてきた。舗装路を進むと、現れたのは立派なセンターハウス。聞けば、もとは5万㎡もの敷地を持つ旧地方職員共済組合の保養所だった施設をリノベーションしたそうだ。
施設内には、宿泊設備のバリエーションが豊富。その中で今回はトレーラーコテージに宿泊することになった。受付を済ませ、鍵を受け取ったら、いよいよトレーラーコテージへ向かう。場内はほとんどの道路が舗装されていて、通行は非常に快適に行なえる。
トレーラーコテージのエリアは砂利が敷かれ、自然の中にいる気分を味わえるのがうれしい。
キッチンにシャワーも!設備充実のトレーラーコテージ
トレーラーコテージは全部で14棟あり、定員は1棟4名。各棟にクルマを1台停めるスペースも確保されている。31㎡の居住スペースのなかにシャワー、トイレも完備されていて、なにひとつ不便を感じることなく過ごすことができる。シンプルでオシャレな内装のうえ、できたばかりとあって、実に心地いい。
トレーラーコテージでは夕食・朝食がセットになったプラン、または素泊まりが用意されていて、食事はテラスでとれる。食事付きのセットプランの場合、地元産をメインとした食材がコテージに届けられ、自分で調理を楽しめる趣向だ。なお、メニューは、夕食がバーベキュー、朝食はホットサンド。
室内にキッチンと料理器具、バーベキューグッズ、食器など、必要なものはひととおり備えつけられており、調理がスムーズにこなせるのはありがたい。
食材はコテージまでスタッフがデリバリー!
夕方、そろそろお腹が空きはじめたころに、スタッフがバスケットに入った食材を届けてくれた。バスケットは2つで、夕食と翌日の朝食とが入っている。
朝食・夕食の食材はビーフ、ポーク、チキンのほか、ホタテ貝、野菜、牛乳、パンなど盛りだくさん。調味料も入っているので、ご安心を。
食べやすいサイズに切り分けられ、下準備されたバーベキューの食材たち。あとは、塩コショウ、バーベキューソースなどお好みの味付けをして焼くだけだ。
快適に調理を済ませたらいよいよバーベキュー
キッチンを使って準備を済ませたら、食事は開放的なウッドデッキのテラスがおすすめだ。別荘のような使い勝手でありながら、アウトドア気分を味わえるバランス感は、ふだんキャンプをしない人にとっても魅力十分だろう。
もし、急に雨が降ったり、強い風が吹いたりした場合でも、室内に4人用のダイニングセットがあるのでご安心を。ついでに言うと、トレーラーハウス内は土足禁止。調理準備の間はキッチンとテラスを何度も行き来するので、サンダルを持参すると重宝する。
開放感と快適さ キャンプとホテルのいいとこ取り!
日も暮れて食事が終わり、後片付けは利用者次第。食器は流し台に置いておけば翌日、スタッフが片付けてくれるし、自分で洗いたければもちろん、それもOK。いずれにしても、キャンプと違い、時間に余裕がもてるのはうれしいかぎりだ。
コテージ内でシャワーを浴びたら、エアコン・床暖房完備の部屋のベッドに入って就寝。アウトドアって、こんなに快適だったっけ? とキャンパーにとっては目からウロコかもしれない。
ホットサンドで楽しむ朝食
続いて翌朝、チェックアウトは11時なので、8時ごろに起きれば十分。昨日届いた食材を冷蔵庫から取り出し、コーヒー(これも備えられている)を入れながら、ホットサンドとサラダの準備に取り掛かる。夕食もそうだが、朝食もボリュームたっぷりで朝からぜいたくな気分だ。
時間を有効に使えるアウトドアもいい
気持ちのいい空気と陽射しを浴びての朝食は実に気持ちのいいもの。キャンプの最終日の朝のように慌ただしく食事を済ませ、撤収に取りかからなくてよいのは実にラクちん。片づけが一段落したら、あとは荷物をまとめてチェックアウトするだけ。
設営と撤収に時間の必要なキャンプにはない、アウトドアの楽しみ方として、こんなリゾートが誕生したのはよろこばしいことだ。自分でなにもかもを行なうキャンプと、手軽で快適なアウトドアリゾートを、メンバーや気分に応じて使い分けられれば、きっとソト遊びはさらに楽しいものになるに違いない。
アウトドアのハードルを下げるのが狙い
ややハードなものからソフトなもの、さらにはラグジュアリーなものまで、さまざまなスタイルでアウトドア ステイを楽しめる「ピカ フジヤマ」。施設開発の背景について、プロジェクトを主導した「PICA」ディレクターの与茂雅之さんにポイントを聞いた。
「こちらのコンセプトは『富士の自然を世界に開く』です。山歩きをはじめ、冬になれば周辺ではワカサギ釣りも楽しめます。ピカ フジヤマは、その拠点となれる場所です。自然の中で過ごすためのハードルをいかに下げるかを意識しました。外で食事をしながら、コテージ内には床暖房もあります。いろいろなハードルの下げ方を用意したわけです」
旅行と同じく着替えだけを持ってくればよいコテージから、オートキャンプサイトまで、「ピカ フジヤマ」には用意されている。また、食事は自分で食材を準備・調理する。用意された食材を自分で調理する。施設内のレストランで食事をする(※)、など自由自在。いっぽうで、ムササビウォッチング、カヌー、富士山登山、溶岩洞窟の見学など、豊富なアウトドア アクティビティにも抜かりがない。
※レストランでの夕食・朝食はスタンダードコテージ、
アウトドアとのかかわり方を、利用者が好みで選べるようになっている提案は面白い。また、与茂さんによれば、従来のキャンプでなくとも、自然のなかで過ごす楽しさを知ってもらうことで、アウトドアを楽しむ人たちを増やしていきたいとの思いもあるそうだ。また、「ピカ フジヤマ」では、施設をグランピングと自称していないのも興味深い。
グランピングと自称しない意味
「第三者から見れば、アメージングドームは、グランピングと解釈されるでしょうね。周りから施設をグランピングと言われるのは、まったくかまいませんが、自ら『グランピング施設ですよ』とは言いません。自分たちではアウトドアリゾートと呼んでいます」
流行りのキーワードとなったグランピングではあるが、そう呼ぶことで施設のスタイルが狭められてしまうこともあるだろう。多彩な宿泊バリエーションを用意している施設だけに、より視野の広いキーワードを掲げているのは、説明を聞けば納得がいく。
「PICA Fujiyama」には5つの宿泊バリエーションがある
今回は、「ピカ フジヤマ」のトレーラーコテージの宿泊体験を紹介した。が、「ピカ フジヤマ」には、ほかにもさまざまな宿泊設備のバリエーションがある。気分やシチュエーション、予算などに応じて、チョイスできる幅の広さが魅力だ。
【アメージングドーム】
ウッドデッキにドーム状のテントを乗せた個性的な設備だ。中にはスポットクーラーと扇風機を備えている。ドーム外の芝生部分に、シェルターとチェア、焚き火台がセットされていて、気候に応じて中でも外でも過ごせる。天体望遠鏡が置かれているので、ロマンチックな気分も味わってほしい。
定員4名、全13棟。料金1万2000~2万2000円(1名1泊2食付き/税込み)。
【テントサイト】
屋根付きのウッドデッキを備えたオートキャンプサイト。もちろん、クルマは各区画内に駐車可能。テントとタープ各1張りが使用できる設定だが、屋根付きウッドデッキがあるので、実際にはタープを張る必要がない。区画サイズは約100㎡と余裕がある。AC電源や、共有の炊事棟あり。
定員6名、全11棟。料金8700~1万4500円(1名1泊2食付き/税込み)
【ラグジュアリー・コテージ】
施設内でもっとも上質な滞在を体験できるのがこちら。キッチンはスタンダード以上に高級感のあるデザインになっているほか、2階のテラスにはコクーン状のハンギングチェアを設置。
定員4名、全2棟。料金1万4500~3万7000円(1名1泊2食付き/税込み)
【スタンダードコテージ】
スタンダードタイプとはいえ、冷暖房、バストイレ、キッチン、屋外流し台付きテラス、寝室など、必要にして十分すぎるスペックを満たしている。アウトドア体験のない人や苦手な人でも、これならきっと安心して利用できるだろう。
定員6名、全10棟。料金1万1700~3万2250円(1名1泊2食付き/税込み)
キャンパーの”気分”をとらえた、一歩先行くアウトドアリゾート
地方にグランピング施設が次々と誕生しているなか、「ピカ フジヤマ」はそんな流れとは違う視点を取り入れた、一歩先行く施設と言える。気軽にアウトドアを感じたいときはコテージ、もう少し外を感じたければテント、非日常な雰囲気ならアメージングドームと、アウトドア好きのさまざまな気分に対応してくれる。
新しいもの好きの人はもちろん、キャンプ一筋だったキャンパーも自然に触れる選択肢として、「ピカ フジヤマ」に目を向けてみてはいかがだろう。
「PICA Fujiyama」施設詳細
住所 〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津6662-10
電話 0555-28-6303(フロント)
HP https://www.pica-resort.jp/fujiyama/
取材・文/T.Kawata