電球色の灯りがアイコンのヘッドランプブランド「マイルストーン」に聞く(3)
自社製品はパーフェクトとは傲らず、自ら発展途上のメーカーと位置づけ、アップデートを常に考えるヘッドランプ・ランタンブランド「マイルストーン」。
明るさ調節のできるヘッドランプに、その調節した明るさを記憶し次に使うときも同じ明るさで使えるよう、「ディミングメモリー」機能を付けたを付けたというものアップデートの一例。
独自の視点で製品開発を進める大阪発信の新進気鋭のブランド「マイルストーン」創設者である西岡修平さんにお話を伺った。
cazual編集部(以下、c) 全部の製品に「ディミングメモリー」機能って付いてるんですか?
マイルストーン・西岡さん(以下、マ) ランタンとUSBモデルには付いてないですけど、そのほかは「ディミングメモリー」機能が付いてます。
c USBモデルってなんですか?
マ 今までのヘッドランプは単三電池が単四電池の乾電池仕様でしたが、乾電池の代わりにリチウムイオン充電池が入ってて、USBから充電できるんです。暗くなってきたら、充電してまた使う。電池を捨てることがない、エコを考えた製品です。
c 大きさ的にはどうなんですか?
マ 乾電池仕様とほとんど変わらないですね。ちょっとだけ分厚くなったくらいで、ほとんど変わらないです。
c 重さは?
マ 重さもほとんど変わらないです。
単四電池3本分ぐらいのリチウムイオン電池が中に入っていて、若干軽くなってますけど、ほぼほぼ差はないですね。
c 電池の持ちは?
マ リチウムイオン電池がいいですね。寒冷地にも強い。乾電池だと寒いところでは電池の活性が悪いので、やっぱりリチウムイオン電池の方が寒冷地には強いですね。
MS‐B1+
マイルストーン・シリーズで最も人気のある『MS-B1』のアップグレードモデル。
USB充電式になったことで、環境に優しく電池を持参する必要はない。
c ランタンのUSBモデルは作らないんですか?
マ 売れる価格帯っていうのが絶対あると思うんですよ。
USBモデルにするとリチウムイオン充電池が入っているので、高くなってしまう。ランタンのUSBモデルを作れないことはないんですけど、市場に入れてもこの価格じゃ売れないと判断してて。今はまだ製品化してないようなランタンもあるけど、開発は進んでます。
c やっぱりリチウムイオン充電池にすると高くなる?
マ そうですね。充電式と充電式じゃないのだと、定価で2000円ぐらい違います。
c 単四電池って、安いですもんね。
マ そうなんですよ。
MS‐B4
『MS-B1』のアップグレード版、抜群のハイパワー・ワイド照射モデル。
サブLEDに赤色/白色LEDを搭載。
赤色LEDは暗闇に慣れた目に優しく、手元灯としてテント内の使用に適しています。
c でも、その安いっていうのをどう考えるかってことなんですよね?
マ 本当そうです。
電池式のヘッドランプだと暗いなって感じると電池を交換するんですけど、この電池まだ残ってるわけじゃないですか。だから中途半端な使いかけ乾電池が、家にいっぱい転がってて、たぶん使い切らずに捨てますよね。
充電式であれば、廃棄する必要もない。だから僕はもっともっと充電式モデルの開発をやっていくべきやと、常にそのこと考えてますね。
c 将来的にはエコなUSBモデルが増えていく予定ですか?
マ そうですね。改良しないといけない点が2、3あるのでアップデートしながら、もっともっと作っていきたいと思ってて、実際に開発も進めてます。
c マイルストーンのアイテムをどんな風に使ってもらいたいですか?
マ ヘッドランプって本当にいろんなシーンで使えると思うんですよ。極端な話、防災用にも使えますし。やっぱり1人に1つは必要。
阪神大震災をもろに体験したんで。
c 阪神大震災のときは日本にいたんですか?
マ いました。僕は神戸の高校に通ってたんですけど、阪神大震災の年に高校卒業して、4月にアメリカの大学に入って。阪神大震災が3月だったんですけど、校舎が潰れたんで高校では卒業式ができなくて、大阪のホテルで卒業式をやりました。
c 震災の経験とかもあるから、ぜひいろんな人に持っていてもらいたい?
マ そうですね。
もちろん防災用に持つだけではなく、キャンプ、釣り、アウトドア、広く使ってもらいたい。
今はトレイルランニングの方がすごく熱くて、「より軽くて、より明るいもの」っていう要望もあるので、常に僕の中では考えてて、いろいろ新製品の開発をしています。
c トレイルランニング用のモデルですか?
マ 実は構想3年以上掛けて作ったトレイルランニング向けのヘッドランプを開発中です。多くのトレイルランナーにアンケートを行い、要望の多かった ①:軽くて、②:明るい、そして、③:飛んだり跳ねたりしても外れない装着感の高いヘッドランプを課題にし、それをクリアした国内生産したモデルが、この2018年夏に発売します。
c 日本製ですか?
マ 日本にはヘッドランプメーカーは数社ありますが、すべて海外製ですね。大手の海外メーカーには負けないように、日本人向けに発売するヘッドランプ『トレイルマスター』は最大800ルーメンというハイエンドモデルになっています。
c ほかに特徴はありますか?
マ 本体質量は180g(専用リチウム電池込)でとにかく軽いです。特にフィット感を上げるために QDS(Quick Dial System)という機構を開発しました。ダイヤル形状になっていてワイヤーで絞めていく感じにしています。
独自の視点で切り込む背景には、使いやすさ、エコな思想、なにより人が何を欲しているかというニーズに自分なりの答えを出していく誠実さがあった。
自らを発展途上のメーカーと位置づける「マイルストーン」は、その飽くなき開発姿勢があれば今後も目覚ましい進歩を遂げていくだろう。
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本業はクリエイター。アウトドアアクティビティ、DIY、クッキングを得意とすると豪語しながら、すべてはプロフェッショナルには遠く及ばない「素人にしては、まあ上手だな」程度のレベル。