横田智之社長って試験のとき「全然勉強してこなかったよ!」
とか言っちゃって、目の下にクマつくりながら、徹夜でガッツリ勉強してたタイプですよね?
ニュアンスはちょっと違うかもしれないけど、秘めたる実力は、きちんと確保しておきたい。品質が一番いいものを仕入れて、使ってもらったときに『温かいな』って言われたい。
示したフィルパワーは、絶対に順守したいんですね。
ナンガではフィルパワーを過小スペックで謳ってるんですか?
「過小スペックで謳ってますね。いろいろと問題起こすのがイヤなんで。
でも1000フィルパワーのダウンジャケットが3万円ぐらいで売られてたりする。1000フィルパワーの羽毛って、1キロの仕入れで30万円するんですよ。1着に100グラム入れたら、原価だけで3万円っすよ。
850フィルパワーで作るなら、成り立つやろうって思うんやけど『ホンマに1000フィルパワーもあったん?』って言う疑問が僕からするとある。
昔、ある取引先からウチのダウン製品を『この数字じゃないよ、絶対もっとある』みたいに言われて。
『いやあ、うちらは正直にやってますけどねえ。国内基準だとこうなるんですよ』って答えると『お願いやから、海外基準に合わせた数字にしてよ。これええもんやけど、数字が低すぎるから売れんよ』って言われて」
海外と国内では、フィルパワーの基準とは違うんですか?
「海外基準と国内基準は違います。検査は同じで、反発力の数字ですね。羽毛を筒にいれて、どれだけ反発するかを数値化したのがフィルパワー。
日本人は真面目なんで、計測値の下の数字をとってくるんですよ。海外では上の数字をとってくるんですよ。最大値が860とか900って。
僕らはやっぱり怖いから、計測値をベースにちょっと下げたりとか」
ダウンの品質って、見た目ではわからないんですか?
「よっぽど触ってないとわかんないです。
自分たちの900フィルパワーとか、800フィルパワーのダウンを僕らは毎日見てる。そのうえで、他メーカーの800フィルパワーっていうのを見る。
すると『こんなん全然800ないやん』って、僕らはわかるんですよ。
羽毛工場とかに行って、これが800フィルパワーで、こっちが600フィルパワーですよって持たされたら、絶対800フィルパワーの方がよく見える。でも僕らは、毎日触ってるからわかる。いつも見てる800フィルパワーとは、全然違うって。
ダウン90%・フェザー10%のとか言われても、『ホンマに?』って。
『僕らがいつも触ってるフェザー10%のは、もっとフェザーに触れないっすよ』ってなる。
向こうも『いや、これ90、10ですよ。ちゃんと選別してます。フィルパワーの検査表もあります』って、表まで出してきて『買ってください』ってなるんですよ。
で、僕らは『いや、この品質で800フィルパワーって言われても絶対買わんわ。これが800フィルパワーやったら、900フィルパワーっていうもん出してきてや』と。
ほれ見て、これやったらいくら安くても買えんわっていうような話になっちゃうんですよね。
まあ、洗浄工場、販売してる工場、羽毛屋さんは、かなりたくさんある。その中でどこの何でダウン製品を作って、販売するかはメーカー側が決める。コストパフォーマンスに合った素材をいかに選んでくるかは、多分メーカーの選別する目やと思う。
仕入れる方が、どこを見て選んでるかっていう部分がおっきんじゃないかなとは思いますね。その仕入れる方が、羽毛の知識を持ってるかでも、変わっちゃう。
毎日見てたらダウンの品質はわかるんですけど、メーカーの仕入れには、わかんない方も多いんじゃないかなと思いますけどね」
極論をいうと、毎日触ってる人にしかわからない?
「同じところから同じスペックのものを仕入れてても、ロットによって質が悪いのがありますもん。だから質の悪いものは返して、質のいいものに替えてもらってる。
信用できるものを、信用できるルートと信用できる工場で洗毛してもらってるかどうかっていうのは、やっぱり大きいのかなあと」
永久保証を謳うナンガ寝袋は、品質だけではなく、隠されたジャパンクォリティがハンパない!
知ってるようで知らない寝袋のこと、世界一と名高いNANGAに聞いてきました/その5へ続く
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