都会と田舎のハイブリッド、神奈川県
異国情緒あふれる大都市・横浜や、日本屈指の温泉地・箱根、湘南の海辺や丹沢の山並みなど、多彩な魅力が詰まった神奈川県。
首都圏からのアクセスも抜群で、都会の便利さと豊かな自然環境の両方を楽しめるため、20代のUターン就活生から30〜50代の子育て世帯、リモートワーカーまで幅広い層に移住地として人気です。
実際、リクルートが発表した「SUUMO住みたい街ランキング」 内では、横浜が8年連続で1位を獲得しているほか、鎌倉や藤沢などのエリアもランクインしています。
利便性の高い生活環境や豊かな自然環境、都内への良好なアクセスを求める移住希望者にとって、神奈川県は非常に魅力的でしょう。
本記事では、神奈川県への移住を支援する補助金・支援制度のほか、UIJターン(後述)の転職・就職支援情報や移住相談窓口、移住イベント情報をご紹介。
さらに、神奈川県で移住先としておすすめの人気市町村5選をピックアップし、それぞれの地域の特徴と利用できるおもな支援策をご紹介します。
神奈川県の移住支援制度(令和7年度)
神奈川県では、県全体としてUIJターンによる人材還流を支援するため、移住希望者への相談窓口の設置や各種セミナーの開催など多方面からサポートしています。
もっとも、東京都心に近い都市県である特性上、他の地方県のような大規模な移住支援金の交付は限定的で、経済的支援策の多くは市町村ごとに用意されている状況です。
したがって、神奈川への移住を検討する際は「県の総合相談窓口」で情報収集しつつ、希望する移住先の市町村が独自にどんな支援制度を実施しているかも合わせて確認することが大切と言えます。
以下に、令和7年度(2025年度)利用可能なおもな支援制度をピックアップしてまとめました。
移住支援金(神奈川県内のUIJターン支援策)
近年、地方創生の一環で国の「移住支援金」制度が創設され、東京23区から東京圏外へ移住し就業・起業する方に対して、単身60万円・世帯100万円(+18歳未満の子ども1人につき100万円)の支援金が支給されています。
支援金の受け取りは「条件不利地域」へ移住する人が対象です。
条
件不利地域とは、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」「山村振興法」「離島振興法」「半島振興法」「小笠原諸島振興開発特別措置法」の対象地域を有する市町村および、平成22年から令和2年の人口減少率が10%以上の市町村のことをいいます。
神奈川県内は都内へのアクセスがしやすく活気のある街が多いため、令和7年度にこの移住支援金を受け取れるのは、以下の6つの市町村のみ。
三浦市、山北町、箱根町、真鶴町、湯河原町、清川村
支給額
- 世帯の場合は100万円以内(18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は18歳未満の者一人につき最大100万円を加算)
- 単身の場合は60万円以内
おもな要件
- 移住元が東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している人
- 移住先が東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・市町村に限る)
- 就業先が地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施していること
そのほかにも、移住支援金は転入後3か月以上1年以内に申請する必要があり、5年間の継続定住が求められるなど条件が細かく定められています。
要件を満たさない場合は支給を受けられなかったり、途中で転出すると返還を求められたりすることもあるので、制度を活用する際は各市町村の担当窓口に事前によく相談しましょう。
なお、神奈川県内のその他の市町村(横浜市や小田原市など)は東京圏への近接度からこの国の移住支援金制度の対象外となっていますが、その分各自治体独自の支援策が充実しています。
結婚新生活・移住支援制度
神奈川県内には、新婚世帯を対象として、結婚に伴う新生活のスタートアップにかかる費用(家賃、引っ越し費用等)を支援する制度を用意している自治体が複数あります。
詳しい要件や手続き方法は実施市町村によって異なるため、各市町村の公式サイトや、移住先の市町村窓口に問い合わせてください。
自治体名 | 補助額(上限) | 対象者 | 条件(申請要件) | 備考 |
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相模原市 | 15万円 | 令和7年1月1日~令和8年3月31日に婚姻届(またはパートナーシップ宣誓)を受理された新婚世帯 |
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横須賀市 | 最大60万円(夫婦とも29歳以下は60万円、30~39歳は30万円) | 令和7年1月1日~令和8年2月28日に婚姻届(またはパートナーシップ宣誓証明)を受理された新婚世帯 |
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三浦市 | 最大60万円(夫婦とも29歳以下は60万円、30~39歳は30万円) | 令和7年4月1日~令和8年3月31日に婚姻届が受理された新婚世帯 |
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秦野市 | 最大60万円(夫婦とも29歳以下は60万円、30~40歳は30万円) | 令和7年1月1日~令和8年2月28日に婚姻届を提出・受理された新婚世帯 |
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南足柄市 | 最大70万円(夫婦とも29歳以下は70万円、30~39歳は30万円) | 令和7年1月1日~令和8年3月31日に婚姻届を提出・受理し、婚姻を機に夫婦の一方または双方が南足柄市に移住した新婚世帯 |
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※補助対象は住宅の購入費・リフォーム費のみ(賃貸費用対象外) |
寒川町 | 最大60万円(夫婦とも29歳以下は60万円、その他は30万円) ※引越費用補助は5万円まで |
令和7年4月1日~令和8年2月28日に婚姻届を受理された新婚世帯(町内に転入し住民票を有すること) |
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新婚世帯への独自支援としてデジタル地域通貨「さむかわPay」ポイント最大4万円分付与(基本2万円+町内勤務1万円+自治会加入1万円 |
中井町 | 最大60万円(夫婦とも29歳以下は60万円、その他は30万円) | 令和7年1月1日~令和8年2月29日に婚姻届を提出・受理された新婚世帯 |
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松田町 | 15万円(定額上限) | 婚姻日に夫婦とも39歳以下で、世帯所得500万円未満の新婚世帯 |
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山北町 | 最大60万円(夫婦とも29歳以下は60万円、その他は30万円) | 令和7年1月1日~令和8年3月31日に婚姻届を提出・受理された新婚世帯 |
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箱根町 | 家賃補助:家賃の1/2(月額上限2万円) | 申請日から1年以内に婚姻し、町内の民間賃貸住宅に入居した新婚世帯 |
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【住宅取得支援】箱根町若者世帯住宅取得補助制度:条件該当世帯に最大100万円補助 |
湯河原町 | 最大60万円(夫婦とも29歳以下は60万円、その他は30万円) | 令和7年1月1日~令和8年3月31日に婚姻届を提出・受理し、湯河原町で新生活を始める新婚世帯 |
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愛川町 | 最大60万円(夫婦とも29歳以下は60万円、その他は30万円) | 令和7年1月1日~令和8年3月31日に婚姻届を提出し、本町に住民票を有する新婚世帯 |
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清川村 | 最大60万円(夫婦とも29歳以下は60万円、その他は30万円) | 令和7年3月1日~令和8年3月31日に入籍した新婚世帯 |
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住宅取得・リフォームへの補助
住まい探しに関する支援も神奈川県内の多くの自治体で充実しています。とくに郊外エリアを中心に、中古住宅の購入や空き家リノベーション、新築住宅取得に対する補助金制度がみられます。
中古住宅購入・改修費補助(相模原市)
相模原市では子育て世帯または若年夫婦世帯が市内の中古住宅を取得する際、または親世帯と同居するために親所有住宅を改修する際に費用の一部を補助します。
おもな要件
補助対象住宅
購入:居住誘導区域又は中山間地域の災害ハザードを除いた区域にある中古住宅
改修:居住誘導区域又は中山間地域の災害ハザードを除いた区域にある親世帯が所有する住宅
※利用できる補助金の種類は購入か改修のいずれか
※市内の不動産事業者等又は市内の施工業者の利用が対象です
補助対象者
<必須>
- 補助対象住宅を購入又は改修する者
- 交付申請後、本市の住民基本台帳に記録され、その住宅に5年以上住み続ける意思がある者
- 市税等の滞納がない者
<いずれかに該当>
- 39歳以下の妊婦
- いずれも39歳以下の夫婦又はパートナーシップ宣誓者(予定者を含む)
- 18歳以下の子と同世帯の親
※年齢の基準日は、交付申請日となります
補助金額一覧表
区分 | 加算額 | 最大補助金額 | |||||
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親世帯と同居 又は近居 |
市外転入 | 居住誘導区域外 からの転居※ |
市内企業勤務 | 津久井産材利用 | 基本額 | ||
中古住宅の取得 | 15万円 | 20万円 | 15万円 | 15万円 | - | 50万円 | 100万円(市外からの転入) 95万円(市内間の転居) |
親世帯の住宅改修 (親世帯と同居) |
- | 20万円 | 15万円 | 15万円 | 5万円 | 対象工事費の 5分の1(上限40万円) |
80万円(市外からの転入) 75万円(市内間の転居) |
※居住誘導区域外から区域内への転居が対象
はだのOMOTANライフ応援事業(秦野市)
自然豊かな秦野市では、令和5年度から市外からの転入若者世帯を対象に、市内で新築または住宅購入する際の費用を最大60万円助成する「OMOTANライフ応援事業」を実施中です。
この制度は令和4~6年度の「丹沢ライフ応援事業」をリニューアルしたもので、若者世帯の定住促進と人口減少抑制を目的に実施されています。
助成対象者要件
<以下のすべてを満たすことが必要>
- 契約者と配偶者がいる場合はその配偶者が、いずれも40歳以下であること
※単身世帯、母子・父子世帯の方も対象
※助成対象住宅の工事請負契約又は売買契約を締結した時点の年齢 - 申請日において助成対象住宅に居住しており、10年以上居住する予定であること
- 申請日において本市の住民基本台帳に記録されていること
- 助成対象住宅の工事請負契約又は売買契約の契約者であること
- 地域の自治会に加入している、又は加入する意思があること
- 助成対象世帯員に市税等の滞納がないこと
- 助成対象世帯員が過去にこの助成金の交付を受けていないこと
- ミライエ秦野住宅購入助成金の交付を受けていない又は受ける予定がないこと
- はだの丹沢ライフ応援事業助成金の交付を受けていないこと
- 世帯員に外国人を含む場合は、その外国人が永住権を有していること
助成対象住宅
- 助成対象世帯員が、自ら所有し居住する住宅であること
- 市内の戸建て住宅又は分譲マンションであること(中古住宅を含む)
- 令和6年12月1日以降に所有権保存又は移転登記の受付がされている住宅であること
助成金額内訳
助成金額は、基本額20万円に加えて、下記の加算額(各10万円)を合算したものです。合計上限は60万円です。
項目 | 内容 | 加算額 |
---|---|---|
基本額 | 全対象者に支給される基本助成金 | 20万円 |
転入加算 | 市外からの転入者(転入前に1年以上市外に居住)を含む世帯 | 10万円 |
子育て加算 | 小学校卒業前の子(胎児含む)を含む世帯 ※子1人につき加算 |
10万円/人 |
同居・近居加算 | 親が1年以上本市に住民登録している場合 | 10万円 |
結婚新生活加算 | 過去3年以内に婚姻の届出をした夫婦 | 10万円 |
空家バンク加算 | 助成対象住宅が空家バンク登録物件である場合 | 10万円 |
上地区加算 | 助成対象住宅が菖蒲・柳川・八沢・三廻部地区にある場合 | 10万円 |
※合算上限:60万円まで
令和7年度 脱炭素リノベ住宅推進補助制度(横浜市)
神奈川県最大の都市・横浜市でも、移住者の定住促進につながる独自支援を開始しており、その一つが「令和7年度 脱炭素リノベ住宅推進補助制度」です。
最高水準の断熱性能を備えた省エネ住宅への改修費用の一部を補助することで、空き家の流通促進と市内への転入・定住の促進を目的としています。
既存住宅をフルリノベーションし、断熱性能等級6または7と再エネ設備を備えた省エネ住宅へ高性能化するための費用を補助する制度です。
補助金額
子育て世帯の住み替え:最大150万円
その他定住者向け:最大120万円
おもな要件
申請には、事業者側が「よこはま健康・省エネ住宅 事業者登録制度」に登録済みであることが必要です(本人登録済みであれば再登録不要)
こちらはそのほかにも多くの要件を満たす必要があるため、詳しくは以下のサイトをご確認ください。
移住相談窓口と移住イベント情報
神奈川県の総合移住相談窓口としては、東京・有楽町の「NPO法人ふるさと回帰支援センター」内に「ちょこっと田舎・かながわ暮らし支援センター」が設置されており、専任の移住相談員が常駐しています。
ここでは神奈川県内各地域の暮らしの魅力紹介から移住全般の不安相談まで、オンラインでも対面でも対応してもらえます。
まず情報収集したいという段階でも、気軽に問い合わせてみましょう。
お問い合わせ先
070-4127-5905
kanagawa@furusatokaiki.net
営業時間:10:00−18:00
定休日:月・金曜日、祝日及び夏季・冬季休業
神奈川県移住セミナー・イベント
移住セミナー・イベントも定期的に開催されています。
令和7年度は、「知るほど、なるほど、かながわ移住セミナー」と題したオンラインセミナーシリーズがスタートし、7月30日には第2回として「地域でつくる豊かな未来~近場ローカルで自然と共に生きる暮らし方~」が開催されました。
この回には相模原市と愛川町が参加し、それぞれの地域の魅力や移住者のリアルな暮らしぶりを紹介しています。
今後もさまざまなテーマで神奈川県主催の移住セミナーが企画される見込みなので、興味のある人は以下のサイトをチェックしてみましょう。
神奈川県各市町村のオンライン移住相談会
神奈川県の各市町村も独自に移住相談会やツアーを実施しており、なかでも気軽に参加しやすいのがオンライン個別移住相談です。
現在、神奈川県内14市町村(小田原市、茅ヶ崎市、三浦市、逗子市、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、箱根町、真鶴町、清川村)では、Zoomを活用した1対1の移住相談を随時受け付けています。
例えば二宮町では毎月第3土曜日に定期的なオンライン移住相談デーを設け、希望者には地域おこし協力隊員との座談も提供しています。
ネット検索だけでは分からない地域の実情や、移住後の生活イメージなどについて直接自治体担当者に質問できる貴重な機会です。
神奈川県各市町村のお試し移住
神奈川県内では、「お試し移住住宅」への宿泊体験を用意する自治体も増えてきました。
たとえば、秦野市の「TANZAWA LIFE」や真鶴町の古民家ステイ体験、箱根町のトライアルステイ住宅募集など、気になる地域で実際に短期間生活できる制度があります。
いきなり本格移住は不安…という方は、旅行がてらお試し暮らしを体験してみるのも良いでしょう。
お試し移住については、神奈川県公式サイトの「市町村お試し移住情報」を参考にしてみてください。
神奈川県への移住先として人気の市町村5選
神奈川県内には特色あふれる市町村が数多くあり、「どの街に移住しようか」と迷う方も多いでしょう。
ここでは神奈川移住のおすすめ移住先5つをピックアップし、それぞれの魅力と利用できるおもな支援策※をご紹介します。
都市部志向の方から自然重視の方まで、ぜひ移住先選びの参考にしてください。
※令和7年度に移住支援制度のある自治体を中心に選定
神奈川県への移住先として人気の市町村1. 横浜市
横浜市は言わずと知れた神奈川県の県庁所在地であり、関東を代表する大都市。
みなとみらい地区の洗練された都市景観から山下公園や住宅街の緑まで、都市機能と住環境のバランスが良く、毎年「住みたい街ランキング」で上位に選ばれる人気の街です。
実際に「充実した子育て支援」「クオリティの高い衣食住が揃う買い物環境」「都内へのアクセスの良さ」などが高く評価されており、若者からファミリー、シニアまで幅広い世代に支持されています。
横浜市は東京への通勤圏内でありながら、都心に比べて住宅コストが抑えめで、公立保育園の整備や子育てサポートも充実しているため、子育て世代にもおすすめの街。
市内には商業施設や病院も多く、車がなくても生活できる利便性の高さは神奈川随一でしょう。
また、少し郊外に行けば里山の景色や農産物直売所がある地区もあり、“都会過ぎない”暮らしやすさも魅力です。
横浜市の移住支援策
神奈川屈指の都市である横浜市は、移住者への直接的な補助金は少ないものの、近年開始された「脱炭素リノベ住宅推進補助制度」が注目を集めています。
これは市内への転入者を含む全世帯が対象で、中古住宅を購入して高断熱リノベーションする場合に費用の一部を補助するものです。
子育て世帯が市外から横浜に住み替えるケースでは最大150万円、一般の定住世帯でも最大120万円の補助金が交付されます。
高い省エネ性能を備えた住宅への改修が条件ですが、国の他の補助事業とも併用可能で、空き家活用+移住促進を一体的に支援するユニークな取り組みだと言えるでしょう。
そのほか、横浜市は情報提供や相談支援にも力を入れており、移住希望者向けの専用サイト「だから横浜で暮らしたい(横浜移住サイト)」では、エリア紹介や子育て・住まい・仕事などテーマ別に横浜の魅力を発信しています。
実際に移住した家族へのインタビュー記事や、市長からのメッセージも掲載されており、街の雰囲気をつかむのに役立つはずです。
神奈川県への移住先として人気の市町村2. 相模原市
相模原市は、神奈川県北部に位置する政令指定都市で、人口約72万人を擁します(県内第3位)。
東京都町田市と隣接し、JR横浜線や小田急線で都心とも結ばれているため、東京のベッドタウンとして発展してきました。
一方、市域は広大で、中心部以外に田園地帯や山間部(相模湖や藤野地区など)の豊かな自然も抱えていることから、「ほどよい郊外」として庭付き一戸建ての生活を望むファミリー層に人気の移住先です。
相模原市は住環境の良さと行政サービスのバランスが取れた街で、区画整理された新興住宅地から昔ながらの商店街まで多彩な地域があり、買い物施設や医療機関も市内に一通り揃っています。
子育て支援にも積極的で、待機児童対策や子ども医療費助成、高校生までの入院費無料化などを実施しています。
また、市内には大手企業の工場や研究所も多く、地元就職の受け皿が広いのも特徴です。
相模原市の移住支援策
相模原市は移住・定住促進の補助制度が充実しており、特に住宅取得関連では県内トップクラスの支援内容です。
新婚世帯が転入時に引越し費用最大15万円補助する「結婚新生活・移住定住支援事業」を筆頭に、 市外から転入する若年・子育て世帯が中古住宅を取得する際に最大100万円、親と同居するため親族宅を改修する際にも最大80万円の補助金を受け取れる「子育て世帯等中古住宅購入・改修費補助」を実施。
そのほかにも、 市外からの転入または市内在住の子育て中若年世帯が住宅を新築購入する際に20万円+条件加算(最大+20万円)を補助する「若年世帯住宅取得支援補助金」を実施しています。
これらの制度は、相模原市の公式サイトから要件や申請書様式を入手できます。さまざまな要件を満たす必要があるものの、相模原市でマイホーム取得を検討しているUIJターン希望者には大変心強い制度でしょう。
さらに、相模原市は移住後の就職や子育てのサポート体制も万全です。
市内に就職支援センターがあり、地元企業への就職相談や求人紹介を受けられるほか、創業希望者には融資制度や企業支援施設の案内もあります。
また、市公式の子育て支援サイトや、相模原の情報発信サイト「さがみはらむすび」では、先輩移住者の声や住まい探し情報を掲載し、移住検討者をサポートしています。
神奈川県への移住先として人気の市町村3. 横須賀市
横須賀市は三浦半島の東側に位置する港町で、東京湾と相模湾に面した海軍の街です。
国際色豊かな雰囲気と開放的な海辺の景観が魅力で、近年は都心から移住してくる若い世代も増えています。
横須賀市はJR横須賀線・京急線で都心へ直結しており、品川・東京方面へ約1時間と通勤圏内。
都会の喧騒を離れつつも無理なく通える距離感が評価され、「東京圏から移住したい街」ランキングでは常に上位に挙がっています。
エリアによって異なる街の雰囲気も、横須賀の魅力。中心部の汐入・本町エリアは商業施設や飲食店が並び賑やかですが、一歩郊外に出ると海沿いの長閑な住宅地や農村集落もあります。
観音崎や秋谷海岸など風光明媚な自然も多く、マリンスポーツや釣り、ハイキングを楽しむ移住者も少なくありません。
米海軍基地があり外国人も多いため、英語メニューのあるレストランやインターナショナルスクールなどグローバルな環境があるのも横須賀ならではの特長です。
横須賀市は移住希望者の就職サポートにも注力しており、独自の求人ポータル「よこすか就職応援サイト」を運営しています。
地元企業の求人情報やインターンシップ募集などを掲載し、UIJターン人材と企業をマッチングしています。
海の見える暮らしに憧れる方や、退職後は静かな環境で趣味を満喫したいシニア世代にも人気が高まっており、実際に2020年代に入ってから社会増(転入者超過)に転じつつあります。
神奈川で海辺のスローライフを検討中なら、支援制度が整った横須賀市は有力な候補になるでしょう。
横須賀市移住支援策
横須賀市は近年「Live in YOKOSUKA 自然とくらす、しぜんにくらす」という移住プロモーションを積極展開しています。
市の移住情報サイトでは、横須賀の暮らしやすさや移住者インタビュー、空き家情報などを発信し、「海が見えるまちで子育て」「都会に近いスローライフ」といったキャッチコピーでUIターン希望者にアピール。
空き家活用と住宅リフォーム補助にも注力しており、市内の空き家バンク登録住宅を購入して子育て世帯等がリフォームする場合、改修費用の一部を補助する制度を設けています。
また、親世帯との同居や近居のために二世帯住宅へリフォームする場合の補助金も用意されています。
補助額は工事内容や世帯条件によりますが、いずれも数十万円規模の補助が受けられるため、古家を安く買って自分好みに改装したいという移住者には大きな助けとなるでしょう。
さらに、横須賀市は前述の新婚世帯向け「結婚新生活助成」を2024年度より開始し、最大60万円(家賃・引越費用等)の補助を行っています。39歳以下&世帯所得500万円未満の新婚夫婦が対象で、UIターンを問わず市内定住を促進するという取り組みです。
神奈川県への移住先として人気の市町村4. 鎌倉市
湘南エリアに位置する古都で、豊かな自然と歴史文化が息づく街、鎌倉市。
東京から電車で1時間程度ながら、四方を海と山に囲まれた落ち着いた環境で「ほどよい田舎暮らし」を求める移住者に昔から人気があります。
近年はテレワーク普及も相まって、IT系フリーランスやクリエイターなどが鎌倉に移り住むケースが増え、メディアでも「鎌倉移住」が注目されています。
鎌倉の魅力は何と言っても、独特の文化的な雰囲気でしょう。
由緒ある寺社仏閣が点在し、季節ごとの花や紅葉が街を彩ります。由比ヶ浜や稲村ヶ崎の海岸ではマリンスポーツも楽しめ、オフには自然と触れ合いリフレッシュできます。
カフェやベーカリー、雑貨店などセンスの良い個人店も多く、都会にはないゆったりとした時間が流れています。
都心で消耗した心と体を癒やしながら、自分らしい生活を送りたい方に理想的な環境が整っています。
鎌倉市内の住宅事情としては、人気エリアゆえ神奈川県内の中古物件でも価格が高めで競争もあります。
ただ、市では空き家の有効活用を推進しており、古民家をリノベーションして住む事例も増えているので、根気よく探せばお気に入りの一軒に出会えるかもしれません。
なお、子育て支援では、鎌倉市は中学校卒業まで医療費無料、待機児童ゼロに向けた取り組みなどを行っており、教育環境も良好です。
総じて鎌倉市は「補助金がなくても住みたい街」としての魅力が際立っています。
経済的支援よりも地域コミュニティや暮らしの質を重視する方にとって、鎌倉での生活はきっと充実したものとなるでしょう。
鎌倉市移住支援策
鎌倉市はその人気ぶりから直接的な移住補助金こそありませんが、テレワーク移住や起業支援の取り組みが手厚いです。
市内にはコワーキングスペースやシェアオフィスが増えており、鎌倉発のスタートアップ企業も続々と立ち上がっています。
市も官民連携で「鎌倉テレワーク・ライフスタイル研究会」を立ち上げ、テレワーカー同士のコミュニティ形成や地域課題解決に取り組んでいます。
こうした緩やかなネットワークが新参者にも開かれているため、移住者が孤立せず馴染みやすい雰囲気です。
また、鎌倉市と周辺自治体(逗子市・葉山町・横須賀市・三浦市)は令和7年度に「三浦半島移住コンシェルジュ」を共同で開設しました。
これは三浦半島エリアへの移住希望者に対し、各市町の枠を超えて専任スタッフが個別相談や現地案内を行うサービスです。鎌倉市も参加しており、移住者一人ひとりに寄り添ったサポートが受けられます。
神奈川県への移住先として人気の市町村5. 三浦市
三浦半島の先端部に位置する三浦市は、人口約4万人と県内では小規模ですが、マグロで有名な三崎港やスイカ・大根などの農産物、海水浴で人気の三浦海岸など、自然資源と食に恵まれた土地です。
都会の喧騒から離れてスローライフを送りたい方や、農業・漁業など一次産業に関心のある移住者に近年注目されています。
三浦市の魅力は、何と言っても豊かな自然環境とゆったりと流れる時間でしょう。
市内は畑や丘陵地が広がり、海沿いにはマリーナや漁港、磯釣りスポットが点在します。
東京駅からは電車とバスで約1時間半と決して遠くはありませんが、日常の景色は都会とは別世界です。
朝市で採れたて野菜や魚を買い、海岸線をドライブし、夕日は相模湾に沈む……自然とともに暮らす日常を求める人にとっては非常に理想的なエリアでしょう。
また、近接する城ヶ島や油壺など観光地も多く、休日のお出かけにも困りません。
三浦市の移住支援策
三浦市は人口減少に直面していることもあり、UIJターン歓迎の姿勢が明確です。
移住希望者向けのポータルサイト「みうら暮らし」では、移住者インタビューや空き家情報、支援制度の案内をまとめています。
三浦市は全国版空き家バンクに参画し、市内の空き家情報を提供しています。また、空き家を購入または借り上げて住む場合のリフォーム費用補助制度があり、耐震改修工事には上限30万円、住宅リフォームには工事費の一部を助成しています。
古い空き家を安く取得し、自分好みに直しながら暮らしたい方にはありがたい制度です。
就職・就農支援: 三浦市では移住者の仕事探しをサポートするため、市内企業と連携した「移住者受入協力企業」のリストを公開しています。
地元の漁業会社や農業法人、商店などが協力企業として名乗りを上げており、UIターン人材を積極的に採用しているほか、ハローワークと協力して出張職業相談会を開き、移住希望者の就職相談にも応じています。
農業分野では、新規就農者向けに研修制度や農地斡旋、国の就農支援金の情報提供なども行っています。
実際、都市部から移住して農業を始めた若者がメディアで紹介されるケースもあり、三浦で「半農半X」の暮らしに挑戦する人も増えてきました。
三浦市は子育て世帯の移住にも優しく、中学校卒業まで子どもの医療費を全額助成しているほか、児童手当の上乗せ支給や第3子以降の保育料無料化などを実施しています。
小規模な市ですが学校教育にも力を入れており、地域ぐるみで子どもを見守る風土があります。海や畑での体験活動も豊富で、のびのびとした環境で子育てしたい家庭には魅力的でしょう。
豊かな自然と都会ならではの利便性を両立した神奈川県
都会的な利便性を享受できる街から豊かな自然に囲まれた町まで、神奈川県には多様な受け皿とサポート体制があります。
移住支援金や補助金を上手に活用すれば、引っ越し費用や住居費用の負担を大きく減らすこともでき、相談窓口を利用すれば地域のリアルな暮らしを身近に感じやすく、不安を解消できるでしょう。
ぜひ神奈川県の公式移住・定住情報ページや、本記事で紹介した各市町村の参考サイトを訪れて、最新の募集要項やイベント情報をチェックしてみてください。
令和7年度募集の制度も時期によっては変更・延長されることがありますので、神奈川県の公式サイトなどを参考にして最新情報を確認しましょう。
多彩な魅力に満ちた神奈川で、ぜひあなただけの理想のライフスタイルを実現してください。