地方移住のイメージは?
みなさんは「地方への移住」と聞くと、どのようなイメージを抱きますか?
「自然に囲まれた生活」「のんびりした雰囲気」といったポジティブなイメージがある一方、「周囲に人が少なくて活気がなさそう」「子育てはできるのだろうか」などのネガティブなイメージをお持ちの方も多いことでしょう。しかし、そんな地方移住に対するネガティブなイメージを吹き飛ばすような町が、岩手県の中部にあります。
その町の名は「オガールタウン」。
エリア内で分譲された56もの物件はすべて完売、という人気ぶり。環境に配慮したエコタウンとして誕生したオガールタウンは、見事移住者の心をつかんでいます。調査を通じてオガールタウンの魅力に夢中になった筆者が、移住に不安を抱える皆さんへ「オガールタウン」をご紹介します。
移住に対する不安が解消されたり、移住に対し新しいイメージを持てたりするはず。それではまいりましょう。
オガールタウンはこんな町
JR盛岡駅から普通電車に乗り換えて約20分、紫波中央駅で下車後、徒歩わずか2分でオガールタウンが私たちを迎えてくれます。
そもそも「オガール」という名前は、フランス語で「駅」を意味する「Gare(ガール)」と、紫波の方言で「成長」を意味する「おがる」を組み合わせたもの。紫波の未来を創造する出発点として、持続的に成長していこうという願いが込められています。
オガールタウンがある岩手県の紫波中央駅前は、かつて町が開発事業を行うために公共施設用地として購入したものの、財政難のため事業がストップしてしまった、という過去を持ちます。その結果、雪捨て場としてしか使用されないような、塩漬け状態の土地になってしまっていました。
土地の活用方法を見出せず時間ばかりが経過するなか、あるとき町が動き出しました。民間事業者と手を組み、環境にやさしく住みやすい町づくりを目指す「オガールプロジェクト」を立ち上げたのです。
2009年度から立ち上がったこのプロジェクトを皮切りに、フットボールセンターや官民複合施設のオガールプラザなどが次々と開業。2013年にはオガールタウン日詰二十一区の宅地分譲が開始されるに至り、かつて雪捨て場だったエリアは人気の居住地に進化を遂げました。
筆者注目のオガールの魅力その1:農村と都会のいいとこどり
オガールタウンにおける町のデザイン構想のテーマは「農村と都市の新しい結びつきを創造する」こと。駅前という利便性のよい立地条件を生かしながら、もともとある自然も生かす。農村と都市両方の暮らしが楽しめるようになっているのです。
都会から移住をしていきなり自然に囲まれた生活になるのは少し不安、という方でも、都市の雰囲気を漂わせるエリアが近くにあるだけで、安心できますよね。
特に吹き抜け構造で解放感あふれるマルシェは、紫波の農畜産物や加工品などが豊富に揃う、オガールタウン目玉のスポット。オガールに住む老若男女が、夕飯の食材を求めて買い出しに集まります。都会のスーパーの清潔さ、賑わいをそのままに、地元の新鮮な食材を購入することができるという、なんとも贅沢な施設。
他にも、紫波町産の小麦を使用したベーカリーや、紫波野菜のバーニャカウダや紫波ポークのコロッケなどが味わえる大衆食堂など、食事処も充実。日曜のお昼はテイクアウトで、のような都会の生活スタイルもまるっと導入できます。
その他、コンビニ、図書館、カフェ、役場庁舎と、豊かな暮らしに欠かせない施設も集まります。
筆者注目のオガールの魅力その2:子育て世代に優しい環境
移住後の子育てはどうなるの? 塾や習い事に通わせることはできるの? といった不安が、パパママにはつきものかと思います。
オガールの場合を見てみると、2017年にはオガール保育園が開所。他にも小児科医院が開所するなど、オガールプロジェクトのエリア内には子育て世代を支える施設が充実しています。
広場は学校帰りの子どもたちの憩いの場に。さらに、テナント募集によってオガールプラザには「M進」という、岩手県で合格実績No.1をうたう進学塾も入っています。子どもの発達に関する相談窓口「紫波町こどもセンター」までもが開設され、教育面でのフォロー体制も完備されています。
筆者注目のオガールの魅力その3:観光客を取り入れて賑わいの創出を
オガールタウンは町の賑わい創出にも注力しています。開発後にはなんと、年間100万人もの人が訪れる観光地にもなったそうです。移住した先が観光地としても盛り上がっているのは、非常に魅力的。ひとり寂しがる時間もありません。
具体的には、2014年にバレーボール専用のアリーナが誕生。スポーツ大会の会場となることで、町の活性化の一助になりました。暮らす人と訪れる人との交流の場が設けられているのですね。また、前述のマルシェでは、お土産や特産品の品揃えも充実しており、訪れた人がお土産を買う場所としても賑わっています。
筆者注目のオガールの魅力その4:地方移住の理想の一つ、「エコ」な暮らしが叶う
オガールは冒頭に書いた通り、環境に優しいエコタウンとしてスタートしました。そのため、エコへの熱の入れようも他の地域とは段違い。
マルシェを通じて「食の地産地消」が叶うのは、まだまだ序の口。分譲住宅の開発では「住の地産地消」を叶えるべく、紫波町産の材木を使用し、省エネ建築方法を採用。工事も町内の事業者や職人に委託する、という完璧ぶりです。さらには「エネルギーの地産地消」まで実現しているというから驚きです。町内で集めた木質チップを燃料とした地域熱供給サービスがあり、地域一帯に熱を供給できるように配管が設けられているそうです。
都会の便利な暮らしもいいけれど、多少不便でも地球にやさしい生活がしたい。そんな気持ちにまで、オガールタウンは寄り添います。
地方移住を叶えるために
以上、今回は岩手県紫波町の「オガールタウン」のご紹介を通し、快適な地方ライフについて見てきました。「地方へ移住したい!」と思った瞬間から、移住への準備は始まっていると筆者は感じます。
オガール以外にも魅力的な地方都市が、全国に多数存在しています。ぜひ、未知の生活への不安に負けず、前向きに地方移住についてご家族で話し合ったり、情報収集したりしてみてくださいね。
写真/紫波町役場提供
文/鈴木香里
【PROFILE/鈴木香里】
元テレビディレクター。現在は地方創生系、観光系の記事を中心に執筆するライターです。地域の魅力を発掘し、お伝えする記事を発信していきたいです。
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