今こそ家族でキャンプに行こう
「キャンプ」と聞くと、それだけでワクワクします。
今日あの川原に行ったら気持ちがいいだろうなとか、山の空気をゆっくり吸ってみたいなとか、前に見たきれいな鳥がまた同じ場所で見られるかもとか。
そういうことを考えるだけで、野外に心が飛んでいきませんか。
アウトドアに関心が高まる近年、若いころに単身でキャンプをしていた方も、そうでない方も、「キャンプに行きたい」と思うことは多いようです。
特に子どもが一緒に外遊びを楽しめるようになった頃、家族でキャンプに出かけたくなるのではないでしょうか。
子どもにとって、多くのプラス要素があると言われる野外活動。とりわけ、キャンプでは3つの大切なことを学ぶ機会があります。
【大切なこと1】自然と、人と向き合う。
一歩、野外に出れば、子どもにとっては自然が先生です。
図鑑でしか見たことのない虫や花との出会い。示す反応はそれぞれですが、それがどんなものでも生きた経験になります。
怖い、気持ち悪いと思うものに出会うこともあるでしょう。でもそれは、どんなものか知らないだけなのかもしれません。
まずはポケット図鑑や虫めがねを片手に、ゲーム感覚で自然散策をするのがおすすめです。
ザラザラしている葉っぱの手ざわり、遠くまで通る鳥の声。ささいなことから学べる知識に、ムダなものはひとつもありません。
そして子どもたちが興味を向けるのは、自然だけではありません。人もそうです。
キャンプ場には個別に区画がありますが、共同施設も多いものです。
炊事場やトイレ、ゴミ集積所やサイト内の道は子どもも利用しますね。子どもだからどう使ってもいいということはなく、ひとりひとりがルールを守る必要があります。
他のキャンパーさんたちへのあいさつはもちろん、自分がきれいを心がけることで、みんなも気持ちよく使えるということを教えてあげましょう。それにはまず、大人が見本になることが大切です。
社会的な立場から人への思いやりを持つことは、コミュニケーション能力の発達にもつながっていくことでしょう。
【大切なこと2】夜の暗さと、月の明るさを知る。
現代の昼は明るく、夜も明るい。それは当たり前のことであっても、当たり前にもたらされているわけではありません。
なにもない田舎の夜道で、夜空を見上げたときの星の多さに圧倒された方はご存じでしょう。
電気の少ない環境に出かけたときが、学ぶチャンスです。
夜の暗さと、月明かりが思いのほか足下を照らしてくれることを、子どもにも教えてあげましょう。
電気があること、ガスがあること、水道があってお風呂のお湯が温かいのは、とてもありがたいことです。
不便を知ることで、自分たちの日常がどれだけのものに助けられているか、子どもながらに感じられることがきっとあります。
それは自分をとりまく人たちへの、感謝の気持ちにつながっていくことでしょう。
【大切なこと3】いつあるか分からない。だから、備える。
直接キャンプには関わりのないことですが、災害への備えも子どもに伝えたい大切なことのひとつです。
いざ災害が起こり、ライフラインが絶たれたときのことを想像することはできます。ですが、想像するだけなのと、実際にそういった環境を体験するのとでは大きな違いがあります。
キャンプでは自分たちの手で寝るためのテントを建て、食事を用意し、生活の基盤をととのえます。
たとえば火を扱えること、ロープの正しい結び方を知っていること、日常生活ではあまり使わない道具の使い方。
なにが不便でどんな対策をしたらいいかなど、災害時に強みになる技術が、キャンプ生活の中にはたくさんあります。
「アウトドアを楽しみながら、生きるためのいろいろなことを親子で学べる」
これがファミリーキャンプの、本当に素晴らしいところではないでしょうか。
【まとめ】体験から分かること
私は子どもの頃、海にキャンプへ行くのが毎年の恒例行事でした。
父と兄といとこと、友達とそのお父さんと、近くに水道すらない海へ夏休みになると出かけていったものです。
なにしろ昔のことで、装備もまともにありませんでしたから、内容は今よりもっとサバイバルに近かったように思います。
日焼けしすぎて横になれないほどあちこち痛くなったり、テントが暑くて寝苦しかったり、夜の波の音が怖かったり。
考えられないくらい不便なことや、非日常なことがたくさんありました。
それでもお日さまが今よりもずっと近くに感じたことや、海の冷たさ、深さ、水の中の景色。自分で獲った魚を食べたり、数えきれない星を見上げたりしたこと。
一緒に過ごした人たちとの濃くてかけがえのない時間は、それは特別なものでした。
あの頃の体験は、今しようと思ってできることではありません。子どものときにしか感じられない、わからない景色を見せてくれるのがキャンプなのではないかと思います。
とはいえ、ファミキャンに出かける理由は、もっと単純なものでもいいのです。
「キャンプで食べるとごはんがおいしい」ことを知ってもらえるだけでも、子どもにとっては価値ある体験になると思いませんか。
【PROFILE/天嶺 葵】
アウトドア系フリーライターで、3児の母。海にも山にも出没するママキャンパー。子どもを中心に楽しめる、ファミリーライクなアウトドアライフを提案します。料理、DIYが得意。”ないもの、欲しいものはお金をかけずに作る!”がモットー。