近くに「ビールのテイクアウト」ができるお店が増えるかも
お酒の販売は、「酒類販売免許」という免許を取得しなければ販売できないことを知っている人は多い。しかし最近、期限が付いた酒類販売免許が公布されたことを知っている人は少ないだろう。
この新しい免許は2020年4月からスタートしたもので、6月30日(火)までに免許申請書を提出した飲食店は、取得してから6ヶ月間に限り、在庫として抱えている酒類もしくは既存の取引先から仕入れたお酒をお客さんに販売できるものである。
2020年4月からスタートした期限付酒類販売免許とは
従来、飲食店は「開封したお酒」を消費者に提供しているが、開封していないお酒は販売できないようになっている。これは酒税法で定められており、開封したお酒の提供は飲食店営業許可という資格が、開封していないお酒の提供は酒類販売業免許が必要。
今回新しく登場した期限付酒類販売免許は、酒類販売業免許を持っていない飲食店が「開封したお酒を提供する」資格を比較的容易に取得しやすいように定めたもの。
新型コロナウィルスの影響を受けている飲食店への救済措置として、期限付きの免許が付与されることになったのだ。
通常、酒類販売免許を取得するまでに約2ヶ月を要するが、この新しい資格はわずか数週間で取得が可能に。これによって、経営が厳しい飲食店がお酒を販売して利益を確保しやすくなるのだ。
自宅近くにビールの量り売り店を発見
今回は、近くに酒類販売免許を取得してビールの量り売りをしているモデル店があったので、実際に行ってテイクアウトを試してみた。
今回行ったお店は、東京の狛江にある「ビアセラー東京」。アメリカ・オレゴン州で製造されたクラフトビールを中心に10種類ほどのビールを販売しており、ショップの奥ではオリジナルクラフトビールを数種類ほど製造。
量り売りだけでなく缶やビンでの販売も行っており、そのほかに不定期にショップでイベントを行うなど、地域密着で活動をしているショップだ。
紹介していただいたのは、同店のスタッフ・木村渓佑さん。3年前にアメリカへ旅行した際、ブリューレストランにて大型の壺を持ってビールを持ち帰る人がいたことに驚き、量り売りビールの文化を認知。
東京に戻り、意気投合したビアセラー東京のオーナーと一緒に同店をオープンしたそうだ。
テイクアウトにおすすめのアイテムは密閉性の高いグラウラー
ではさっそく、ビールのテイクアウトを開始! 筆者はお酒が好きだが、量り売りを経験するのは初めて。
ビールを持ち帰る際には、海外では”グラウラー”と呼ばれる容器が定番とのことで、スタンレーの「クラシック真空グロウラー」を用意してみた。
※グラウラーとグロウラーは、両方とも英語で「GROWLER」と書き、同意義。
スタンレーのグラウラーとは?
テイクアウトをする前に、ちょっとだけ自分が使用するグラウラーについて紹介。
こちらは64オンス(1.9L)のドリンクが入る真空断熱二重構造のもので、サイズは本体直径125×幅165×高さ294mm、重量は約990g。
真空断熱二重構造とは、ステンレス素材を二重にし、素材の間を真空状態にすることで外気を遮断して保温・保冷性を高めた構造のこと。
魔法ビンと呼ばれるものの多くがこれを採用している。同製品の保冷力は10度以下を24時間ほどキープでき、一般的な魔法ビンより高い効力を持っている。
フタには密閉性を高めるためゴムパッキンを採用。パッキンが付いていない密閉性の低い容器だと、ビールの炭酸ガスの圧力に負けてパッキンがずれ、液体が漏れてしまう恐れがある。
グラウラーとして用意する際は、この密閉性が大事なのである。
ビールのテイクアウトは容器の容量分を入れることになっており、ある程度正確な数字が記入されているものを用意するのが望ましい。
スタンレーのボトルの底には64oz/1.9Lと表記されているので、その量に合わせてビールを販売してくれる。
実際にテイクアウトしてみた
ショップに入ったら、まずは容器を洗浄。汚れやホコリがついているとビールの味の質を下げ、正確な量が計れない可能性があるという。
また、冷水に浸すことで容器を冷やし、ビールをより長時間保冷して持ち運べるメリットもある。
容器を洗っている間に、購入したいビールをチョイス。ビアセラー東京では常時10品を揃えており、後ろの黒板にラインナップを記載している。
ビールにはスタイル、ABV(Alcohol By Volume=アルコール度数)、IBU(International Bitterness Units=国際苦味単位)、製造元、1mlに対する単価が記載されている。
今回は2番目の「3A Farmhouse Ale」を選んでみた。同店のフラグシップビールとのことで、アルコール度数と苦味のバランスが取れた中間的立ち位置のクラフトビールとのこと。
選んだビールは1mlが1.6円なので、今回は、1.9L(1900ml)分で3,040円だった。
ビールを選んだら、浸した冷水から出してタップでビールを入れる。
木村さんによると、ビールを入れるポイントは、泡を限りなくゼロにして提供すること。
「ビールは泡3割:ビール7割が理想なのでは?」と思う人もいるかもしれないが、それはジョッキで提供されるすぐに飲むビールの飲み方。
泡は、ビールに含まれる炭酸ガスが抜ける際に生まれるもの。ジョッキに泡を残す理由は、ガスを外へ逃さない、クリーミーな味わいを出す、といった効果があるためである。
しかし、実は泡が液体に戻る過程で酸化して劣化が進んでしまう。それが残ることで、香りや風味を損なう原因となると木村さんは話す。
さて、注ぎ始めてから1〜2分ほど。グラウラーから泡が出始めてきた。この泡をゼロにするために、泡があふれてもそのままビールを注ぎ続け、パンパンになった状態で栓をして完了!
容器によるが、スタンレーは注文から提供まで5分ほどで持ち帰ることができた。
テイクアウトしたビールの味は?
持ち帰ったあとにフタを開けた状態。ご覧のとおり、ギリギリまでビールがしっかりと入っている!
しかも、思った以上に冷えていたので、さすがスタンレー……と感じた。木村さんによると、グラウラーの形状を考慮して、モノによってはここまでぴったりまで注ぐにはある程度の経験が必要とのこと。
もしビールがぬるくなってしまうのが心配な人は、クーラーボックスに保冷剤を用意して持っていくのがおすすめ。持ち帰ったら、容器を冷蔵庫に入れて飲むときに取り出せばおいしいまま飲める。参考にしてもらいたい。
実際にグラウラーを使ったテイクアウトの様子をYouTubeで紹介しているので、気になる人はぜひ参考にしてもらいたい。
近くにテイクアウトできる飲食店があればお試しあれ!
ビールの量り売りをしている飲食店はまだ少ないが、今回の期限付酒類販売免許によって少しずつテイクアウトできるお店が増えるだろうと木村さんは話していた。
公式サイトや店頭で「ビールのテイクアウト、できますよ!」とアピールしているお店が家の近くに登場するかもしれないので、探してみてはいかがだろうか。
「ビアセラー東京」 ショップ情報
東京狛江市和泉本町1-12-1 1F
TEL:03-5761-7130
問い合わせ先:info@beer-cellar-tokyo.com
http://www.beer-cellar-tokyo.com
スタンレー「クラシック真空グロウラー」商品情報
価格:8,800円(税込)
サイズ(約):本体直径125×幅165×高さ294cm
容量(約):1.9リットル(64オンス)
重量(約):990g
購入はこちら
【文/撮影】小川迪裕
【Profile/小川迪裕(オガワミチヒロ)】
フリーランス編集者、ライター。得意ジャンルはキャンプとファッションで、雑誌からWEBまで幅広く寄稿する。最近はタブロイドやイベント冊子の製作、イベントの企画、ブランドPRなどもやる何でも屋に。