バイクに積める荷物は限られている!
キャンプツーリングはバイクを持っている人しか味わうことができない、最高の娯楽です。私は車でもバイクでもキャンプをしますが、天気が良い日はバイクで行くほうが圧倒的に多いです。
キャンプ場へ行くまでの道のりが車以上に楽しく爽快で、ちょっとだけスリリング。キャンプツーリングをするために、バイクの免許を取ってもいいくらいだと思っています。
しかし、車でのキャンプと違い、バイクでのキャンプは持っていける荷物の量に限りがあるのが難点です。
そのため、キャンプツーリングに持っていく道具は重要度の高いものから用意をし、それほど重要ではないものは持って行くこと自体あきらめなくてはなりません。
道具の取捨選択をして効率的な収納方法を考えるのも楽しみのひとつではありますが、重要度を間違えるとキャンプ場についてから困ることになってしまいます。
そこで、これからキャンプツーリングを始めようとしている方に向けて、重要度の高い順に用意するべき道具を紹介します。
あくまで私自身の経験にもとづくものですが、よろしければ参考にしてください。定番のキャンプ用品のほか、バイクならではのアイテムも記載しています。
【重要度★★★★★】
これがなくては始まらない! 最初に買うべき道具
1 キャンプ用品を入れるリュック or シートバッグ or トップケース
まずはキャンプ用品を収納するためのものが必要です。おすすめは安くて機能的なシートバッグですが、すでに大容量のリュックを持っている方はそれでもOK。
樹脂製のトップケースは大雨が降っても中身が濡れないというメリットがありますが、設置するためにはキャリアを取り付ける必要があるのでけっこうな費用がかかります。
ホームセンターで売られているコンテナボックスを加工して取り付けている方も多く、見た目が気にならない方はこの方法も有効です。費用を安く抑えることができます。
2 小さく収納できて軽量なテント
テントは1人用、もしくは2人用のものを選びましょう。1人用のテントは軽量でとても小さく収納できますが、テント内が狭いので中に荷物を入れることが難しくなります。
2人用のテントは1人用のテントより少々重くなりますが、自分1人が寝るためのスペースと荷物を置くためのスペースの両方を確保することができます。
より軽量でコンパクトな1人用テントと、道具をテント内にしまっておける2人用テントのどちらにするかは好みの分かれるところです。
3 夜の気温に合った寝袋・枕・マット
良質な睡眠を取ることは、キャンプにおいても非常に大切です。泊まるのであれば寝袋と枕、そして下に敷くマットあるいはコットが必須となります。
最初は安いものでもいいのですが、寝袋に関しては価格が安いものと高いもので性能に明確な差が出てきます。
価格が高い寝袋の中綿には化学繊維ではなくダウンが使用されており、低い気温にも対応しています。そして化学繊維より軽くて、かなり小さく収納可能です。
快適な睡眠を手に入れるための道具には、お金を払う価値があります。たとえ初心者の方であっても、最初から良いものを購入するのは大いにアリな選択です。
4 十分な光量があるランタン
ほとんどのキャンプ場において、夜の間はあたりが真っ暗になります。ランタンを持っていなければ、キャンプを楽しむどころではありません。必ず用意しましょう。
キャンプで使用する照明には、オイルランタン、LEDランタン、ガスランタンがあります。このなかで最初に購入するのであれば、LEDランタンがおすすめです。
使い方が簡単で、使用可能時間が長く、光量も大きいのがLEDランタンのいいところ。コンパクトなのもキャンプツーリングに適しています。
デザインにこだわらなければ、1000円以下の安いLEDランタンでも十分に使えます。
【重要度★★★★☆】
できるだけ用意しておきたいキャンプ用品
5 扱いやすいフォールディングナイフ
料理をするとき、木を削るとき、ロープを切るときなどに使用するナイフ。絶対ではありませんが、キャンプではあるとなにか便利な道具です。
ナイフの種類は大きく分けて、刃を折りたためるフォールディングナイフ、刃を折りたたむことができないシースナイフに分けられます。
初心者の方が最初に購入するナイフとしては、フォールディングナイフがいいでしょう。刃が収納されているので安全かつ持ち運びが容易です。
6 丈夫な革製の手袋
野外においては落ちている枝を拾うと手が汚れ、薪割りをするとケガのリスクが発生し、高温の焚き火台を使用するとヤケドの危険がともないます。
楽しいキャンプの中にひそむ危険から大切な手を守るためにも、手袋は重要な道具です。軍手でもないよりはマシですが、軍手よりも保護性能が高い革製の手袋がベター。
使い捨てることを前提としている軍手とくらべて、丈夫な革手袋は長い目で見ると経済的です。余裕があれば早い段階で買っておきましょう。
7 折りたたみ可能なテーブル
テーブルは快適なキャンプを実現するためには必要な道具です。しかし、テーブルは使い勝手とコンパクトさのバランスを取るのが意外とむずかしい道具。
大きければ大きいほど快適に使用できますが、そのぶん荷物を圧迫してしまいます。逆に小さすぎると窮屈さを感じてストレスになります。
テーブルを選ぶ際には天板の広さも大事ですが、高さも重要なポイントです。ある程度、高さがあるテーブルのほうが、ラクな姿勢で使用できます。
8 ゆったり座ることができるチェア
チェアもテーブルと同様に、キャンプを快適に過ごすためにはぜひ持って行きたいアイテム。そして大きければ大きいほど快適であることも同じです。
チェアを選ぶときには、背もたれがついているものを選ぶのがいいでしょう。背もたれがついていない小さなチェアは、長時間座っているのが苦痛になります。
あえて、チェアを使用しないのもアリです。その場合は、かわりに折りたたみ式の座布団を使用するのもいいでしょう。あぐらをかくことができるので、小さすぎるチェアに座るよりは疲れません。
9 コンパクトなガスバーナー
料理を作ったりお湯を沸かしたりと、キャンプにおいては使いどころが多いガスバーナー。現地の飲食店で食事をしたりスーパーの弁当や惣菜を買って行く方以外は、用意しておくべき道具です。
ガスバーナーは家庭用のコンロと同じようにCB缶を使用するタイプと、アウトドア専用のOD缶を使用するタイプに大別されます。
CB缶のタイプはガス代が安く済み、OD缶のタイプはコンパクトで場所をとらないうえに寒い冬でも使用できます。初心者の方は経済的なCB缶のタイプから始めてみるのがおすすめです。
10 アルミかチタンのクッカー
料理をするのであればクッカーは必須です。キャンプツーリングには重いステンレスではなく、軽いアルミかチタンで作られているクッカーを選ぶのがベターです。
最初に購入するものとしては、大きいクッカーと小さいクッカーがセットになっている商品がおすすめ。クッカーに関しては、セットで3000円もしないような安いものでも十分に使えます。
チタンのクッカーはアルミのクッカーよりも軽くて長持ちするスグレモノです。しかし高価なので、まずはアルミのクッカーで自分にとって最適なサイズを知ってから購入するのがいいでしょう。
11 容量10000mAh以上のモバイルバッテリー
バイクに乗っている方はスマートフォンをナビとして使用していることが多いので、モバイルバッテリーは必須ともいえるガジェットです。
最近ではバッテリー容量が10000mAhのものでもかなり小型化されていて、価格も安くなっています。スマートフォンでナビを利用したとしても、これくらいの容量があれば安心です。
街の喧騒からはなれて自然を楽しむキャンプであっても、スマートフォンのバッテリーが切れてしまうとさすがに不安になります。できる限り持っていきましょう。
【重要度★★★☆☆】
余裕があれば持って行きたいアイテム
12 雨や風をしっかり防げるレインウェア
爽快で楽しいキャンプツーリングも、時には雨との戦いになります。そんなときにレインウェアを持っていないと悲惨です。「もう楽しくない。帰りたい」となってしまいます。
陰鬱としたキャンプにならないように、レインウェアはほかの道具をあきらめてでも持って行きたい道具です。
良いものになるとハイテク素材を使用して快適性を向上させたレインウェアもありますが、まずは快適性よりも雨を防ぐことを第一に考え、上下セットでそろえておきましょう。
13 大きすぎないタープ
雨や風、それと直射日光を防ぐのに役立ってくれるタープ。必須ではありませんが、あるとより快適に過ごすことができます。
しかし、タープは設営と撤収が面倒に感じてしまうこともあるうえに、ポールとセットになっているものはけっこうな荷物。これを持っていくためにほかの道具を諦めるかと言われると、正直微妙なところ。
とはいえ、空模様があやしい日には持たざるを得ない道具なので、早めに購入して手元に置いておくほうがいいでしょう。
14 小さく折りたためる焚き火台
キャンプツーリングにおいて焚き火台は必ずしも必要ではありませんが、あるとキャンプがより楽しくなる道具です。焚き火をしたい場合は、コンパクトに収納できるものを選びましょう。
そして、焚き火台にはクッカーを乗せることができるものと、できないものがあります。前者はそれひとつで料理に使用できますが、後者は焚き火を見て楽しむのが主な使い方です。
手軽なガスバーナーではなく、あえて焚き火台での料理に挑戦するというのも楽しいもの。上手に使いこなすには少々慣れが必要ですが、そのぶん自分自身の上達を感じやすくて夢中になれます。
【重要度★★☆☆☆】
それほど重要ではないがあると便利なもの
15 バイクを転倒から守るサイドスタンドプレート
バイクを地面が柔らかい場所に駐車すると、サイドスタンドが地面に埋まり、バイクが倒れてしまうことがあります。そのような事故を防ぐのに便利なのがサイドスタンドプレートです。
サイドスタンドの下に敷くことで地面にかかる圧力を分散し、サイドスタンドが地面に埋まるのを防止します。要するにただの板なので、木の板や小さめの鉄板などでも代用可能です。
持っていないライダーも多いようですが意外と使用頻度が高く、とくにテントサイトにバイクで入れるキャンプ場に行く方は、持っておくべきアイテムです。
16 厚手のグランドシート
テントの下に敷いてテントが汚れるのを防いだり、キャンプ場についてすぐに道具の置き場として使用したりと、さまざまな使い方ができるのがグランドシートのいいところです。
最初から立派なものを買わなくても大丈夫。ホームセンターに売っているブルーシートで十分です。しかしあまりにも薄いものはすぐにダメになるので、厚手のものを選びましょう。
使い方を工夫すればタープの代わりにもなる便利な道具ですが、荷物を最小限にしたい方は持たなくても問題ありません。
【重要度★☆☆☆☆】
持って行きたい人は持って行くといい小物
17 こだわりのコーヒー用品
コーヒー好きにとって、キャンプでのコーヒーブレイクは至福のひととき。木漏れ日の下や朝日を反射してきらめく湖畔で飲む一杯は格別です。
しかしコーヒーは、こだわればこだわるほど道具が多くなってしまうもの。ペーパードリップに最低限必要なポット・ドリッパー・フィルター・カップ・ミル・コーヒー豆をそろえるだけで、けっこうな荷物です。
ですが、人によっては、なんとしてでも持っていきたい道具でもあります。そしてそのようなこだわりがあるほどキャンプが楽しく、より深みがでます。
18 小型のラジオ
キャンプに慣れてくると、話し相手がいないソロキャンプではちょっとだけ退屈さを感じる日もあります。そんなときにラジオをBGMがわりにするのもいいものです。
入ってくる情報が常に新鮮なので退屈しませんし、朝の時間帯には明るく軽やかな番組が、夜の時間帯にはスローでおとなしめな番組が放送さることが多いので、キャンプの雰囲気に意外と合います。
ラジオはダイヤルを回して周波数を合わせるアナログ式と、自動的に周波数を合わせてくれるシンセチューニング式があります。とくにこだわりがなければ、手軽なシンセチューニング式がおすすめです。
19 映画を観ることができるタブレット端末
キャンプだからといって、ハイテク機器を持ち込んではいけないということはありません。真っ昼間からお酒を飲みながら、ネットフリックスの映画を見て過ごしたっていいんです。
前もって観たい動画や映画をダウンロードしておけば、電波が届かない山奥でも視聴できて便利。夜にやることがなくなってテントに入ったあとも退屈しません。
タブレット端末に折りたたみ式のBluetoothキーボードを加えると、さらに使い勝手が向上します。その気になれば、キャンプを楽しみながら仕事をこなすことも可能です。
重要度の高いキャンプ用品から買っていこう
これからキャンプツーリングを始める方が、これらの道具を一気にそろえるのは大変です。それにバイク自体が未経験であれば、いまいちイメージしづらい点もあるはず。
まずは本当に必要なものから用意していき、最低限の装備でいいので一度実践してみましょう。そこから新たな気づきを得て、いろいろ試してみればいいのです。
なかには、「キャンプツーリングはしてみたいけど、バイクはお金がかかりそうだな……」と思っている方もいることでしょう。その通りです。バイクを維持するのはそれなりにお金がかかります。
そのようにバイクの維持費がネックで思いとどまっている方におすすめしたいのが、125ccのバイクです。
125ccのバイクは125ccを超えるバイクと比較して、税金や保険料がとても安く、圧倒的に維持費が安く済みます。学生さんでもバイトの給料で十分支払える金額です。
125ccのバイクでは高速道路を走ることはできませんが、だからといってキャンプツーリングの楽しさが損なわれるということはまったくありません。
免許も2日で取得できるので、まずはここから始めてみてはいかがでしょうか。
バイクを持つと新たな道が見えてきますし、キャンプツーリングの楽しさを知ると、抜け出せなくなるほどの魅力があります。
一人でも多くのキャンパーやライダーに、この素晴らしさが伝わればいいなと願います。
写真・文/斎藤純平
【Profile/斎藤純平】
キャンプ、バイクツーリング、スキューバダイビングを趣味とするアウトドアライター。加えてこれから狩猟を始めようかと画策中。何をするのにも基本的にすべて一人で、キャンプもツーリングも思い立ったら即出発。読み手にとって本当に役に立つ情報を発信します