初開催の野外イベントに4000人以上が集結!
2019年秋に、千葉県我孫子市の手賀沼公園で開催された「ネイバーシップ我孫子国際交流文化祭」は、我孫子周辺から4000人以上の人を集め、大成功を収めた。
地元の学生などもボランティアとして多数参加した今回のイベントは、地元密着型の不動産業を長年営んできた、いち企業の社長が発起人となり開催したもの。実際に会って、イベントへの思いや我孫子市の魅力を語ってもらった。
「ネイバーシップ我孫子国際交流文化祭」とは
2019年10月27日(日)に、千葉県我孫子市のシンボルである手賀沼のほとりで開かれた野外イベント。「未来を担う子供たちがワクワクできるようなイベントを!」をコンセプトに、子どもが楽しめるコンテンツを用意。
第1回となる今回はスペインをテーマとした企画を展開し、スペイン人のサッカーコーチによる子ども向けサッカー教室やスペインの絵本の読み聞かせ、フラメンコやスペイン楽曲によるステージなどが行われた。
イベントの発起人、中澤洋一さんについて
今回のイベントを企画したのは、地元で不動産業を営む中澤洋一さん。インタビューに入る前に中澤さんの略歴を紹介する。
<晃南土地開発株式会社 代表取締役 中澤洋一さん>
1977年 千葉県印西市に生まれる
2000年 都内で不動産会社に就職
2002年 晃南土地開発に転職、先代の社長と出会う
2014年 晃南土地開発株式会社の代表取締役に就任
2019年 発起人として「ネイバーシップ我孫子国際交流文化祭」を企画
出身は隣町。現職に就くまでの道のり
ーー中澤さんは印西市の出身だそうですが、なぜ我孫子で会社を立ち上げようと思ったんですか?
「我孫子市で不動産業を営むようになったのは、偶然の出会いからでした。最初は都内で不動産会社に勤めていたのですが、そのころから漠然と、いつかは地元の人たちと関われる仕事がしたいと感じていました。
米屋を営む父の背中を見て育ち、地域の人とコミュニケーションを取りながら暮らしたり仕事をしたりする姿に憧れていたのかもしれません」
ーーなぜ、地元(印西)ではなく我孫子に来たんですか?
「最初は、地元に近い柏市あたりの会社に転職しようと思っていたんです。ですが偶然ご縁があって、ここ我孫子の晃南土地開発で働くことになりました」
ーー5年前に代表取締役になられたそうですが、すぐに地域活性事業を始められたのですか?
「いいえ。最初の何年かは思いを巡らせるばかりで、地元の地域活性化について考え始めたのは2年ぐらい前でしょうか。ある日ふと、不動産業というのは街を変えられる職種なんじゃないかと考えるようになったんです。
そこでまずは、JC(日本青年会議所)や商工会議所などに所属して、手広く活動してみるところから始めました。今回のイベントを開催しようと思い立ったのは、今年の6月ですね」
ーー今回のイベントを企画された理由は何ですか?
「地域に必要なイベントは、地域に住んでいて、地域で仕事している、地域の仲間達とでないとできないと思うんです。そういった意味で、『地元で何かやりたい』と思っている同世代の仲間たちが集まる”場”が欲しかったんです。
地元出身ではない僕が、本気で我孫子のことを考えて何かを始めようとしているんだ、という宣誓の意味も込めて開催したのが、このイベントです」
中澤さんがこだわる我孫子の魅力とは?
ーー開催されるなかでいろいろと大変なこともあったかと思いますが、”我孫子のいちばんの魅力”は何ですか?
「多賀沼の水辺と、たくさんある緑と……そういった魅力は言うまでもないのですが、いちばんの魅力は実はうまく言葉にできないんです。
ひと言で言ってしまうと”人がいい”。新しくやってきた人を温かく迎え入れる風土というか、昔から暮らす人達の雰囲気のようなものがあると感じています」
ーー人がいい、ですか……。
「はい。いざ『我孫子で子育てする!』『商いをする!』と覚悟を決めると、地元の人たちが『じゃあ、それなら……』と、人と人を繋いでいってくれるんです。
快く自分達の仲間に入れてくれる感じというか。新しく来た人でも本気で何かにチャレンジさせてくれる空気があるので、そんなところに可能性を感じているのかもしれません」
ーー中澤さんは今後、地元(印西)に帰る予定はないんですか?
「はい、今はまったく考えていません。僕自身のワクワクする未来は我孫子にあると思っています。ですが、我孫子で得た人脈や知識を、僕が架け橋となって印西と繋げることで、地元に恩返しできればうれしいと思っています。
僕自身、今はまだスタートラインに立ったばかりだと思っています。僕の思う”我孫子らしさ”を発信して、一緒に何かをしたいと思う仲間と繋がるためのイベントを終えたばかりだと。
この先、下の世代にもずっと続いていくような、魅力ある街にしていくためには、我孫子だけにとらわれずに多くの方と繋がって、中からも外からも街を眺めてみたほうがいい。そして、同じ思いを共有できる同世代の仲間を増やしていきたいと思っています」
今回の我孫子国際交流文化祭は、晃南土地開発株式会社という地元のいち企業の社長が発起人となり、副委員長を始めとする地元の仲間が熱意に賛同するかたちで繋がり、イベントは大成功に終わった。
中澤さんが地方を思うほかの人々と違うのは、熱い想いを形にする人の繋がりを持っていた点。何かしたいと思ったときに話を聞いてくれる仲間がいて、アドバイスをくれる先輩や地元の方々がいた。
”地域を変える”という大きな波も、真ん中にあるのはひとりの熱意とそれを支える人の輪。今後の我孫子の変化が楽しみだ。
※次の記事では、中澤氏を支える副委員長の想いに迫ります。
同イベントを主催する「Abiko A-life」の公式ページはこちら
撮影/小川迪裕、Abiko A-life 文/安井直子
【Profile/安井直子(ヤスイナオコ)】
整理収納アドバイザー、一般社団法人 日本オートキャンプ協会キャンプコーディネーター、ライター。母と子のためのアウトドアイベント「Campeena(キャンピーナ)」代表。主に家族とキャンプについて執筆している。