ウェブメディア「CAZUAL(カズアル)」はアウトドアとローカルをテーマに掲げていて、自然豊かな環境に惹かれて地方移住をした方々を取材する機会も多いです。興味深い調査結果を見つけたので、ぜひ紹介したいと思います。
それは、日本財団が実施した、”地方創生”がテーマの『18歳意識調査』です。同財団が2019年1月に実施した調査で、その名の通り、17~19歳の800人(都市部育ち299人、地方育ち501人)を対象とした調査です。
若い世代が地方創生問題をどう考えているのか、リアルがわかる調査報告です。
「東京一極集中に問題がある」と考えている若者は約半数
問題がある理由としては、「地方が衰退する」が約7割、次いで「災害時の機能マヒ」、「通勤ラッシュや交通渋滞」も半数以上が問題に思っているようだ。
約6割が「地方創生がうまくいっているかはわからない」
「うまくいっていない」理由
「東京の人口が増え続けている」「就職、進学、便利さ、などで東京や東京の近辺を中心に考えている人が多くいる」「地方の過疎化が改善しているように思えない」などの意見があがり、東京への一極集中・地方の人口減少が改善されている実感がない様子がうかがえる。
また、「具体的成功事例を聞かない」「どういう内容の活動をしているのか全然有名でない」などの意見も出た。
「うまくいっている」理由
「地方志向の人が増えているのを肌で感じる」などの回答があった。
「わからない」理由
「言葉の意味を知らない」「考えたことがない」「どのような政策を行なっているのかを知らない」などの回答があがり、そもそも「地方創生」策を認知していない若者が多い。
18歳が対象ということを考えれば、地元を出たことがない割合が大きいだろうし、そもそも自活の経験も乏しいだろう。それを踏まえれば、地方創生問題への関心自体が低いのではないだろうか。都市と地方というような二項対立的な思考はまだ実感を伴うものではないのかもしれない。
地方育ちの2人に1人が都市部の生活を希望
「どこで暮らしたいか」という質問には、全体の6割が都市部と答えている。地方育ちに限定して見ると、育った場所、もしくはより地方で暮らしたいと答えたのは約半数。一方、都市部育ちの若者の中で、より地方で暮らしたいと答えたのは15%と、圧倒的に都市部での生活を求めているのが興味深い。
暮らしたい場所の理由は「生活がしやすい」がトップを占める
都市暮らし希望も地方暮らし希望も、理由は「生活のしやすさ」がトップとなっているが、2位〜5位の理由を見比べると面白い。
都市希望は、「娯楽が多い」「多様なチャンスがある」「就労の選択肢が多い」「人の交流が活発」が上位に来ている。遊びや仕事といった面で、都市暮らしに惹かれているような印象だ。一方、地方希望は、「育った場所だから」「自然環境が豊か」「治安が良い」「子育てがしやすい」という理由が上位にあり、どちらかというと日常の生活環境が重視されている印象だ。
首都圏人口集中対策の1位は地方公共投資の増加30.3%
アンケート回答者の育った場所は、「都市部」37.4%、「地方」62.6%
今回の調査報告書は、日本財団のプロジェクトページに詳細版がアップされているので、気になる方はぜひチェックを。
https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/eighteen_survey/
18歳意識調査について
2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられ、翌年の参院選から新たに「18~19歳」が投票に参加しました。民法の改正に伴い2022年4月には成人年齢も18歳に変わります。そこで日本財団では、18歳の若者が何を考え、何を思っているのか、継続して調べる意識調査を昨年10月からスタートさせました。次代を担う18歳が政治や社会、仕事、家族、友人、恋愛などをどのように考え、意識しているか、幅広く知ることで新しい社会づくりに役立てるのが狙いで、多くの社会課題に取り組む日本財団の事業にも調査結果を反映させたいと考えています。
問い合わせ
日本財団 コミュニケーション部 担当:坂本
メールアドレス:pr@ps.nippon-foundation.or.jp