祖父の代で自転車屋をはじめ、布団の加工から寝袋の下請け、そしてついには寝袋ブランドまで登り詰めた。
しかし素材はどんどん進化し、特にいまの生地は薄く縫いづらい。
「知ってるようで知らない寝袋のこと、世界一と名高いNANGAに聞いてきました」
ナンガ社長・横田智之さんへのインタビューは続く。
最近のウルトラライトな薄い生地は縫ってしまったら、やり直しがきかないとか?
「そうですね。まぁ、チェックが細かいというか。
昔はね、縫製面の未熟ですけど、針が抜けてるとことかがあっても『それがナンガやろ』みたいな感じで売ってたんですよ。それでもまあ、性能が劣るわけではなく温かいんで、売れてたんですけど。
最近知名度が上がり過ぎて、それが通らなくなってきた。ジャパンクォリティなんていって、逆にいまはそれで苦労してるんですよ(笑)」
この間も、15年ぐらい付き合いしてるお客さんとお話ししてて『昔のナンガの製品は、すごかったよねえ』って話になりましてね。
『あのころから比べたら、いまの製品は良くなったけど、クレームも増えたよな』みたいな話で。僕らの成長よりも、お客さんの要求してる部分が高くなってる。『国産のメーカーだったら、もっと品質いいもんやろ』って、お客さんの意識の方が勝ってんじゃないすかねって。
『昔は性能を理解したうえで買ってたお客さんが多かったけど、いまはユーザーが広がっちゃたんで、難しい時代になりましたね』みたいな話になる」
スペック以上のものを求められていますよね?
「そうですね」
見た目の美しさみたいな?
「そうですね。だから、まあ、きれいな野菜みたいな感じになってますよね。
ウチらはどっちかっていうと、見た目キレイな野菜よりも、形は悪いけどオーガニックで安全みたいな感じのを作ってたんですけど(笑)。
いまは見た目も質も両方ともなってないとダメって言われるので、なかなか難しですよね」
謙遜しますけど、ナンガの製品は、見た目も品質も高いレベルでいい。
だからコラボかが増えてますよね。それをやりはじめたのはいつぐらいですか?
「いま、たくさんやらさせてもらってますけど、アパレルに進出していくっていう流れは12〜13年前やと思うんですけど」
アパレル進出のきっかけは?
「もともとヒマな会社やったんですけど、冬モノ作ってるんで夏場は特にヒマ。夏って特にすることがないわけでして(笑)。
タイミングも良かったんですけど、そのころ国産を重宝する兆しっていうのがウエアにあって、ダウンジャケットを作れる工場を探してるアパレルメーカーさんが何社かあったんです。
それで『やってみませんか』というお話をいただいたので、『よかったら、1回作らせてください』という形でお受けさせてもらったのが、はじまりでした」
下請け出発なので、コラボが得意?
「まぁ、得意といえば得意ですよね。もともと下請けからのスタートだったので。
最初はOEMからはじめさせていただいて、OEMからダブルネーム、それからいろんなとことコラボ。
そのコラボしていった先に、シングルネームでの発売の道筋ができて。
今後は自分たちのシングルネームとして、メーカー品をしっかりと売っていく。ナンガのアパレルも、そういう段階に移行しつつあるんやと思うんですけどね」
いまだと、いろんなところがコラボしたがるのでは?
「ちょっと、もうこれ以上はできない。だから断ってます。
やっぱり自分たちの製品を作って売ってるほうが、利益率も高いですし、効率もいい。
自社製品のメイン20型ぐらいのラインを充実させて作っていくのと、バラバラに200型作っていくのでは、生産効率も全然違いますし。
同じように売れるのであれば、申し訳ないですけども、ちょっとずつ縮小していくっていう流れ。
いまも寝袋の別注多くて、自社メインが6割で、4割が別注。
ウエアは8割がOEMで、2割が自社製品。
この比率がだんだん変わってきているので、やっぱりとれない仕事っていうのも増えて来ちゃうんですよ」
仕事は、なくても寂しいが、多すぎても意図したものを作れない。
知ってるようで知らない寝袋のこと、世界一と名高いNANGAに聞いてきました/その3へ続く
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