蟹蔵こと吉浜崇浩さんは伊良部島で獲ったカニを養殖することで特産化しようとしている。
蟹蔵さんがカニ漁で獲るのはガザミ。
獲ってきたのを養殖して大きく育てたガザミが絶品と評判で、各地から「養殖を見せて」と問い合わせが殺到している。
「自分のやってる養殖技術って人に教えられるほど立派じゃないから『大学とか、研究しているところに協力してもらった方が』と勧めたんですけど『民間でやりたい』とか言われる」
「それで、なんで養殖をやりたいかをたずねると、漁獲量が減ってるって。それは養殖をやるっていうよりも、海の自然を守る方が先なんじゃないかって。
養殖どうのこうのに走るよりも、なんで減ったかってことを地域のみんなで考えて、守ってくって方向にした方がいいですよって。(笑)」
蟹蔵さんは伊良部島産地蟹の漁師であり、養殖を本業としている。
自然が豊かな伊良部島。天然のガザミがたくさん棲んでいそうなのに、なぜここで養殖を?
「生まれも育ちも伊良部島。子供のころは常に入江で遊んでました。毎日毎日グルグルグルグルと、筏乗って遊んだり、ガザミを獲ったりして。入り組んだ入江。それがね、今、どんどん減っている」
「伊良部島の砂浜は、現状でもみなさんにすごいキレイって言っていただける。でも子どものころはもっと砂浜が広大で、キレイだった。たくさんガザミも捕まえられたし。でも村のオジイとか、オバアに話を聞くと『昔の人はもっとキレイだった。ガザミもたくさん獲れた』と言う。
自分が年をとったときに『昔はもっとキレイだった』って言いたくない。自分が伊良部島の自然を守って、ガザミを有名にすることによって、自然を残していこうって声がもっと必ず上がるはず。だからガザミの養殖をはじめたんです」
ガザミの養殖をはじめる前には、意外すぎる過去が!
ずっとガザミ漁師をやってるんですか?
「本格的に養殖事業をはじめる前は会社員だったんですよ。高校を卒業して島を出て働いたんですが、帰ってきて久しぶりにガザミを食べて、その美味しさに驚いて。それで養殖をしようと決めたんです。
そして、昔と比べて自分が遊んでいた入江でガザミが減っていることに気づいたんです」
「なんでガザミが減ってるのかなと調べたら、海が汚れてるからとわかった。昔は入江だったところが埋められて、家が建って、畑がものすごい増えて。畑から赤土が入り江に流れ出る。
でも『畑から海に赤土が流れ出てる』って声をあげても、自分の話は聞いてもらえない。ガザミ漁のカニ篭を仕掛けて置いてる入り江のとなりでは開発工事があったりとか。
自分の生まれ育った島の美しい自然がどんどんなくなっていくっていうのが、つらい。黙って見てるわけにもいかないでしょって」
具体的には、どう変わった?
「自分が子どものころ、入り江に橋や道路が作られて。それで干潟が減って潮の流れが激しくなり環境が変わってしまった。干潟が減るとサンゴ礁もダメージを受ける。この入江もダメになる。
昔は入り江でうなぎが捕れていた場所に、ウツボがとれるようになったりとか。生態系がガラッと変わって」
生態系が変わると・・・
自然を元の形に戻すのは難しい?
「自分が子どものころは遊べていた入り江が、変わってしまった。稚ガニが入り江で育ってたのに、外海と変わらない魚種が入ってくるから、エサにとして食べられてしまう。結果的にガザミは減って行くんです」
「だから自分はツアーなどで入り江を体験してもらい生態系の大切さを伝えながら、ガザミを放流してるんです」
お問い合わせ先
伊良部島産地蟹・マングローブ蟹養殖「蟹蔵」
沖縄県宮古島市伊良部字佐和田1381-6
電話:0980-78-4737
メール:kanizouyoshitaka@yahoo.co.jp
宮古島ひとときさんぽツアー
蟹蔵と行く!マングローブガザミ漁ツアー 8000円~(税込み、前々日までに要予約)
佐和田の浜 風(KAJI)サバニツアー 1万5000円(税込み、前日までに要予約)
電話:0980-73-7311
メール:hitotoki@plannet4.co.jp