地元ならではの魅力が詰まった、仙台の名物地方食材の「仙台せり」!
その地域ならではの特色ある地方食材は、全国に多数存在しています。そのなかでも、東北地方の宮城県では古くからせりの栽培が盛んです。春の七草のひとつでもある「せり」は、きれいな水の流れる沢や、河川の水際で多く栽培されています。
宮城県仙台市の隣にある名取市では、根っこまでおいしく食べられる「仙台せり」が有名です。
新鮮なせりは、生でもおいしく食べられます。せりを丸ごと味わうことができる「せり鍋」は、近年人気の鍋メニューで、広く全国に知れ渡っています。根っこまでおいしく食べられると好評の「仙台せり」の魅力を、根っこの味わいを生かしたレシピと共にお伝えします。
根っこまでおいしい「仙台せり」とは?
宮城県では、せりの栽培が古くから盛んでしたが、根っこまで入れたせり鍋が全国で有名になったのはここ数年です。地元では天ぷらや、サラダ、鍋料理、お正月のお雑煮、汁物などさまざまな料理に使われています。
年末になると宮城県のスーパーの野菜コーナーではたくさんの「仙台せり」が並び、お正月料理にも使われる定番食材です。
根っこの洗い方
新鮮なせりは根っこまでおいしく食べることができます。まずは根についた土を、流水で洗い流しましょう。ボウルなどに水を張って優しく揺すり、根の絡まった部分をほぐしながら土を洗い流します。
根の間に入っている汚れは、竹串や、手で揉むようにしながらとりのぞきましょう。
しっかりと洗うことで、泥臭さがなくなりおいしく食べることができます。
せりを再生栽培する
せりは、根付きの状態で保存するのが長持ちの秘訣ですが、再生栽培をして新しく生えてきたせりを楽しむこともできます。再生栽培は、水に浸けておくことで野菜などを栽培する方法です。キッチンでも手軽にできることで知られています。
豆苗などのスプラウトで行ったことがある方も多いのではないでしょうか。
まずは、株に根を1〜2cmほど残して切り落とします。これを水に浸けておくことで、せりが再び生えてきます。
せりを使用する場合は、株の外側から取り除いて使用しましょう。適宜、水を交換しながら1週間ほど、キッチンなどで栽培します。
葉や茎が伸びて、飾り用や、味噌汁の具材などで使用できる量のせりが収穫できます。せりは傷みやすい野菜でもあるので、収穫したてのものは香りも良くおすすめです。
せりの根っこで作るおひたし
新鮮な根っこ付きのせりが手に入った場合は、あっさりとした味のおひたしにすると、根の味がしっかりと楽しめます。
まずは、よく洗ったせりの根の部分を切り取ります。
次に、沸騰させたお湯に30秒ほど入れて茹で、ザルで湯切りして水で冷やします。
茎〜葉の部分もさっと湯通しします。シャキシャキとした食感を残すため、茹ですぎには注意してください。
しっかり水で冷やして、絞ったら食べやすい大きさに切ります。一緒に春菊や小松菜、ほうれん草などをプラスしてもおいしいです。
鰹節を加えて全体を和えたら、器に盛りつけて醤油をたらして召し上がってください。新鮮な根の香りが楽しめるおひたしは、採れたてが手に入る地元野菜ならではの食べ方です。
根っこで旨味のある出汁を作る
せり鍋などの汁物に根っこを入れた料理を作る際には、水から入れてゆっくり弱火で煮ることで旨味たっぷりの出汁が出ます。
せり鍋には、せりの根っこが必須の食材だと言われているほど出汁が出ます。あっさりとした鶏肉の脂の味とあわせて、鍋出汁を作ると絶品です!茎と葉の部分は加熱し過ぎに注意して、食べる直前にサッと煮ると食感を楽しめますよ。
産直野菜売り場での地元食材の発掘が楽しい!
地方のスーパーの一角には、必ずと言っていいほど産直の野菜売り場があります。地元の農家の方が、新鮮な野菜を並べているのでどれもおいしさが違います。珍しい野菜や、お得に手に入る野菜を見つける楽しさもありますよね。
「仙台せり」も、シーズンになると根っこ付きのままスーパーに並ぶのは、地方ならではですね。根っこがついたせりが流通するのは、10〜2月頃。宮城県に訪れた際にはぜひ「仙台せり」をチェックしてみてくださいね。
【PROFILE/さとう あい】
宮城県仙台市在住の料理家。料理教室の運営や、レシピ提案などのフードコーディネーター業をする傍ら、ライターとしても活動中。やんちゃ盛りの2児の母であり、子どもと海や川、山などアウトドアへ出かけ、休日は自然の中で遊ぶのが日課。