真冬のアウターはダウン一択…だけじゃない!?
マイナス気温になることも増えており、保温性の高いアウターを選ぶ人も多いのではないだろうか。
圧倒的に寒い場所では、ウールや化繊よりダウンが大活躍!
と言いたいところだが、ここ最近は技術進歩によってダウン一択ではなくなってきている。
今回は、NASAの宇宙服でも採用される素材を使ったアウターが登場したとのことで、気になったので実際に使ってみた。
防寒、防水、難燃というすごい素材を採用
今回紹介するwen times(ウェン タイムズ)のBoreas jacket(ボレアスジャケット)は、マイナス196度の液体窒素を吹きかけても凍らないエアロゲルという複合断熱素材を採用したジャケット。
ウェン タイムズは2010年に香港で誕生したブランドで、このジャケットは2年以上の開発期間を経て本格的に生産することとなった。
一般販売はまだ始まっておらず、クラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」にて先行発売中で、50万円の目標額に対して6,888万円(1月8日時点)と13,700%を超える達成率を実現している注目のアイテムである。
それでは、ジャケットのディテールを見ていこう。
ポイント1:難燃素材を混紡した独自生地
ボレアスジャケットの表面生地は、ポリエステルにアラミド繊維を混紡している。この繊維は難燃性があるので、キャンプで焚き火をしていても、火の粉による穴あきがしにくい。
耐水圧は5,000mmで、一般的な傘が250mmと言われているので実に20倍もの数値。さらに、油が付いても水で洗い流せる防油性もあり、屋外での作業や食事で汚れが付いてもきれいに保てるのはうれしい!
ポイント2:断熱材と反射シートを採用して保温性は抜群
内側には、ナノ銀で加工した反射シートが貼られており、体の熱を外へ放出せずに保っておける機能を有している。これは最近の作業着やアウトドアウエアでも採用されているので、トレンドを汲み取っていると言える。
さらに、表生地と裏生地の間には冒頭でも紹介したエアロゲルと呼ばれる複合断熱素材を注入している。
これはゲル状だった物質を2mmの薄い生地に加工し、腕や身頃に取り入れている。2mmという薄さでマイナス40度の環境下でも保温機能が損なわれないというのだから驚きだ!
ポイント3:熱を外へ逃さないディテール
ボレアスジャケットには、エアロゲルなどの素材だけでなく細かい保温機能が備わっている。たとえば、高い襟元や袖口から風が入りにくいリブ、下からの風を防ぐウエストゲーターなど。
いずれも街中だけでなく、キャンプやスキーといった屋外での使用を想定しているためで、細かいところにまで配慮していることが伺える。
ポイント4:収納ポケットが豊富
ポケットが豊富にそろっているのも特徴。
ウエストポケットが2つ、胸ポケットが2つ、そして内ポケットが2つと計6つのポケットが付いている。サコッシュやポーチがなくても小物をたくさん収納できる。
いちばん大きいウエストポケットはメガネケースが入るほどで、口にはファスナーが付いているほか、中に水が入らないようにフラップが付いている。
胸ポケットのファスナーはグローブを着けてもスライドしやすいようにタブが付いている。
ポイント5:内側に温度計を装備
さらに興味深いのが、電池不要の温度計が前身頃の裏に付いていること。
これで衣服内の温度を見ることができ、16〜38度まで表示される。色味がイエローになったところがそのときの温度になる。
12月の北海道でボレアスジャケットを試してみた
機能性から特筆すべき面白いところまで紹介したところで、12月に北海道へ出張する機会があったので、このボレアスジャケットを実際に試してみた。
12月の北海道は数十cmもの雪が積もっており、調査した際の気温はマイナス1度! 都内は7度前後だったことを考えると、同じ服装では到底過ごせない気温だった。
服装はこちら。ボレアスジャケットの中にコーデュロイシャツを着て、その中はメリノウールのインナーウエアを着て3レイヤーで挑戦!
まずは吹雪いている天候の中で10分間動かずに過ごしてみた。足先はすでに感覚を失いつつあり、ダウンジャケットでもかなり寒そうだ……。
10分後にジャケットの温度計をチェックしたところ、20度のメーターに色が付いていた! 体感的には、顔、脚は冷え切っていたものの、ジャケット内はそこまで寒くなかった。
特に、背中に温かみを感じたのは意外だった。と当初は思ったが、反射シートが機能していたのだろうと後ほど気づいた。
次に1時間以上外で仕事をしてみた。ここでは焚き火をしたり、荷物をあちこち持ち運んだりと、実際に動いている状態である。
結果はこちら。1時間以上も外にいたのに、着内温度は16度でイエローが付いていた!
ポカポカとした感覚はないが、まだ1時間以上は外にいても寒くない体感だった。むしろ、ジャケットを着ていない他の部位が寒さで厳しいので、1時間でで終了したのであった。
また、焚き火をした後にニオイをかいでみたところ、直後は多少の焚き火臭があったものの、翌日には気にならなくくらいまで落ち着いた。
結論は、雪が降っている場面でも寒さを感じず、快適に過ごすことができたのだった!
サイズに注意しよう
今回はメンズのSサイズを着用してのぞんだが、袖がかなりピッタリしており、シャツだけでもややタイトに感じた。
筆者の身長は164cmで体重は63kg。ふだん、アウトドアジャケットはSサイズでジャストもしくは大きいと感じるレベルである。
ジャストサイズで着ることで風を中に通さず、暖かく過ごせるのは一理あるが、個人的には思ったよりタイトで腕を動かしにくかったので、Mサイズが良かった。
現在はMakuakeのみで販売しており試着ができないため、サイズ選びはふだんより1サイズ大きめで選んだほうがいいかもしれない。
極寒地で大活躍するボレアスジャケットに、こうご期待
サイズが小さかったこと以外は、保温性や防水性、難燃性などキャンプで必要な要素をすべて盛り込むボレアスジャケットは、これからさらに注目を集めそうなアウター。
Makuakeでの先行販売は2021年1月15日までなので、気になる人はぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
ボレアスジャケット アイテム紹介
価格:45,800円(税込、一般販売予定価格)
サイズ:S〜XXXL
重量:約725g(メンズMサイズ)
Makuakeでの販売サイト
https://www.makuake.com/project/boreas_jacket/
【文/撮影】小川迪裕
【Profile/小川迪裕(オガワミチヒロ)】
フリーランス編集者、ライター。得意ジャンルはキャンプとファッションで、雑誌からWEBまで幅広く寄稿する。最近はタブロイドやイベント冊子の製作、イベントの企画、ブランドPRなどもやる何でも屋に。